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第67話

別室でのフィニスとの話が終わり、開発室へと戻り席へと着くラビィ。


ソワソワした様子で三人が近付いてきた。

「で? どっちから告白したの?」


「初デートどこ行ったんスか?」


「手ぇ繋いだのか!?」

ナナミ、マヤ、ショーンの三方向からの質問攻め。


「ちょ、ちょっと待ってください順番に……!」

顔を真っ赤にしながら必死に対応するラビィ。


離れた席で努は微笑ましそうに見守っているだけだった。


(仕事より疲れる……)

そんな一日を終え、ラビィは帰宅すると迷わず端末を手に取った。


「よし……今日はちゃんと遊ぶ」

ベッドに横になり、ログイン。


⸻


視界が開けると、ミラクレアのギルドホールはいつもとまるで違っていた。


飾り付け、花火エフェクト、記念衣装のプレイヤーたち。

一周年祭の熱気がギルドの中にまで満ちている。


「わぁ……」

思わず声が漏れる。


けれどラビィは観光に来たわけではない。


まっすぐ受注端末へ向かう。

端末を操作すると、画面に表示が浮かび上がる。


⸻


周年祭限定イベント《王の帰還》参加受付期間中


どちらの陣営として参加されますか?


▶ レジェンズ

▶ レガリア


⸻


ラビィは一瞬も迷わなかった。

静かに選択ボタンを押す。


その直後。


「ラビィ!」

聞き慣れた声。


振り向くと、ロランが駆け寄ってくるところだった。


ラビィは反射的にぺこりと頭を下げた。

「昨日はごめんなさい! あまりにも急でテンパっちゃって……」


ロランは困ったように笑う。

「大丈夫だよ。それに姉さんにもちゃんと言われたしね」


「え?」


「ラビィのことは大切にしてあげなさいって」

頭を掻きながら、少し照れた顔。


ラビィの頬が熱くなる。

「そ、そうなんだ……」


そしてハッとした顔になる。


「あと私、運営側だけどロランに情報は流せないからね!」

真顔で言う。


ロランはすぐに頷いた。


「うん。そのつもりは無いよ。安心して」

いつも通りの、やわらかい笑顔。


ラビィの肩の力が抜ける。


「ところで、もう陣営選んだ?」

ロランが尋ねる。


「うん! もう終わったよ」

ラビィはにっと笑う。


「どっちかは開戦までのお楽しみ!」


「ふふ、じゃあ敵同士になっても恨みっこ無しだね」

ロランは軽くラビィの肩を叩いた。


「もし味方だったら私が助けてあげるね」

ラビィもロランの肩を叩き返す。


二人は顔を見合わせ、同時にニヤリと笑った。


「とりあえず、選択期間終わるまでは楽しく行こう」


「うん! 限定ショップもあるみたいだし!」

自然に手を取り合い、二人はギルドを出た。


⸻


外へ出ると、ミラクレアの街は完全に祝祭空間になっていた。


垂れ幕、光の装飾、限定衣装のプレイヤーたち。

NPCまでもが特別仕様だ。


「これ、他の街も全部こうなってるんだよ」

ロランが言う。


「すごいよね! ……知ってたけど」

ラビィは苦笑する。


「あ、そうだった。運営だった」

ロランもつられて笑った。


二人は屋台を回り、ミニゲームに挑戦し、記念エモートではしゃぐ。

戦いの気配など、どこにもない夜だった。


⸻


そして、日付が変わり……

静かにシステムメッセージが全プレイヤーへ告げられる。


⸻


陣営選択期間終了

ただいまより24時間後、戦闘開始となります


祝祭の空気の奥で、確実に近付く戦いの足音。


一周年祭限定イベント《王の帰還》開幕まで

あと23時間59分……

ここまでお読み下さり本当にありがとうございました。


《ブックマーク》や《評価》を頂けると大変励みになります!


更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。


平日:7時頃、19時頃の1日2話

土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話

です。


また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!

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