↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
65/77

第64話

「これで……完成ね……」

椅子の背もたれに体重を預けながら、フィニスが深く息を吐いた。

モニターの光が少しだけやつれた横顔を照らしている。


「いやー……今回もハードでしたね……」

ナナミも机に突っ伏しそうになりながらぐったりしている。


「あと残ってるのは、周年祭当日の会場運営まわりのイベント調整くらいですね……」

ショーンが資料端末を確認しながら言うと、


「今言わないで下さいっス……」

マヤが椅子に座ったまま天井を仰いだ。


そこへ、開発室のドアが勢いよく開く。


「皆さん、お疲れ様でしたー! ご飯買って来ましたよー!」

ラビィが大きな袋を両手に抱えて入ってくる。

その後ろから、少し息を切らせた努も続いた。


「努さんにスイーツ買って貰えました!」

ラビィは嬉しそうに小さな箱を掲げ、ナナミに見せる。


「こ、今回はラビィさんも本当に頑張ってたからね」

努は照れくさそうに笑った。


「良かったわねラビィちゃん。で、努くん……私のは?」

ナナミがすっと手を差し出す。


「ハハハ……ありますよ。どうぞ」

努はちゃんと用意していた箱を渡した。


「やったー!」

「食後の楽しみ確保っスね……」


ラビィとナナミは、すでにスイーツのことで頭がいっぱいの顔をしている。


その様子を見ながら、フィニスは小さく笑った。


「……レジェンズ一周年イベント、プロジェクトチーム全業務終了よ。お疲れ様」


誰からともなく、拍手が起こった。

一周年祭まで、あと五日。


⸻


そして迎えた当日。


巨大ホールに設営されたリアルイベント会場には、朝から長蛇の列ができていた。

天井から吊られた大型モニター、壁一面のキービジュアル、物販ブース、試遊コーナー。

まるでゲームの街がそのまま現実に出てきたような空間。


開発チームも今日はスタッフとして駆り出されていた。


「人、多っ……!」

ラビィはスタッフパスを首に下げながら目を丸くする。


ステージでは、レジェンズで有名なアイドルプレイヤーたちがトークで会場を盛り上げていた。

歓声と拍手が何度も波のように押し寄せる。


やがて照明が落ち、会場中央の巨大モニターに映像が映し出された。


荘厳な音楽。

雲を裂いて差し込む光。

そして現れる、かつてレガリアで語られた王の紋章。


『王権は伝説へと導かれ蘇る――』


《レジェンズ × レガリア クロスイベント》


どよめきが会場を包む。


続いて表示されるイベント概要。


⸻


《王の帰還》イベント詳細

・ 本日より2日間は陣営選択期間

・ 陣営選択期間終了より24時間後にイベントの開始

•全プレイヤーは 陣営選択期間中にレジェンズ陣営 / レガリア陣営 のどちらかを選択

•イベントの開始から終了までの3日間のメンバー編成は不可

•異なる陣営のプレイヤー同士が出会った瞬間から戦闘開始

•対戦人数の制限なし(1vs多も発生)

・ 戦闘不能時、選択陣営内へ転送。クールタイム消化後に再戦可

•イベント最終日終了時、累計撃破プレイヤー数の多い陣営が勝利

•個人累計撃破数など、各種ランキング報酬あり


⸻


「……始まったね。ラビィちゃんのイベント」

モニターを見上げながら、ナナミがぽつりと言う。


ラビィは少しだけ驚いた顔をして、それから照れたように笑った。

「そうですね……なんか、まだ実感わかないですけど」


自分の考えた企画が、こんな大舞台で発表されている。

歓声の中にいるのに、どこか夢の中みたいだった。


ステージ上のMCが声を張り上げる。

「それでは――レジェンズ一周年祭、メインイベント!」


会場の照明が点滅し、カウントダウンが表示される。


5!

4!

3!

2!

1!


バンッ! と音を立てて紙吹雪が天井から降り注いだ。


歓声、拍手、光、音楽。


レジェンズ一周年祭――そして

《王の帰還》イベントが、ついに開幕した。

ここまでお読み下さり本当にありがとうございました。


《ブックマーク》や《評価》を頂けると大変励みになります!


更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。


平日:7時頃、19時頃の1日2話

土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話

です。


また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。