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第61話

吹雪の向こうに、見慣れた背中が見えた。


「ロラン!」

ラビィは雪を蹴り、全力で叫ぶ。


視線の先――

ロランはすでにスノーゴーレムを撃破し、残るアイスゴーレムと対峙していた。


氷の巨体が腕を振り上げる。


その時。


「ラビィ……!」

声に反応し、ロランの意識が一瞬だけこちらへ向く。


そのわずかな隙をつき、アイスゴーレムが巨体ごとロランへ倒れ込んだ。


「ロラン!!」


ドォーーン……


轟音。


雪煙が舞う。


ラビィが駆け寄った時には、ロランの姿は氷の下敷きになって見えなくなっていた。


「やだ……やだ……!」

二刀を握ったまま、ラビィの手が震える。


「ロラン……ロランッ!!」

涙が零れ落ちる。


その瞬間。


アイスゴーレムの身体が光の粒子となって崩れ始めた。


「勝手に殺さないで……イテテ……」

氷の残骸の下から、聞き慣れた声。


「……え?」

ラビィが顔を上げる。


地面に深々と突き立てられた槍。

その穂先(ほさき)が、砕けた氷の中心を貫いていた。


「コアは、ちゃんと狙ってたからね……」

ロランが苦笑する。


「ぶ、無事なの……? ロラン……」

涙でぐしゃぐしゃの顔のまま、ラビィがしゃがみ込む。


「ああ、何とかね……」

微笑むロランの姿を見た瞬間。


「よがっだぁぁ……!」

ラビィは声を上げて泣き出した。


「も、もう泣かないでよ……ラビィ」

少し困ったように笑いながら、ロランは身体を起こす。


槍を引き抜こうとして――違和感に気付く。

「あれ、何だこれ? ラ、ラビィ。コレ見て」


「え……?」

涙を拭いながら、ラビィが近付く。


ロランが差し出した槍の先。

そこに刺さっていたのは、透き通る氷の結晶。


綺麗な――星の形。

「ほ……し?」


「多分……そうだと思う」


二人は顔を見合わせる。

そして自然と笑った。


ラビィはロランの腕をそっと抱える。


「行こ。あの木まで」

雪を踏みしめながら歩く二人。


山頂の巨大なもみの木が、静かにそびえている。


下まで辿り着き、ロランが立ち止まる。


「行くよ、ラビィ」

ラビィは小さく頷いた。


ロランは槍から星型のコアを外し、大きく振りかぶる。


そして――


もみの木へ向かって放り投げた。


星は枝に触れた瞬間、やわらかな光を放った。


ピコン!

二人の端末が同時に鳴る。


《シークレットクエストクリア》


「シークレットクエストだって……」

ロランが驚いたように笑う。


「うん……! うん……! ロラン頑張ったもん……」

また目を潤ませるラビィ。


「だからもう泣かないでって……」

ロランは優しくラビィを抱き寄せた。


その瞬間。


空から舞っていた粉雪が、光に変わる。


一つ、また一つ。


夜空一面に星が灯る。


『シークレットクエストクリア報酬

 ――満天の星空』


見上げた空は、本物の夜よりも綺麗だった。


星が降る世界の中心で。

ラビィは、ロランの腕の中で静かに笑った。

ここまでお読み下さり本当にありがとうございました。


《ブックマーク》や《評価》を頂けると大変励みになります!


更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。


平日:7時頃、19時頃の1日2話

土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話

です。


また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!

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