第47話
孤島の船着場。
穏やかな波の音を聞きながら、ラビィたちは定期便を待っていた。
青く澄んだ海が、どこまでも広がっている。
「次ここに来る時までに水着ゲットしときたいなー」
背伸びしながらラビィが言う。
「これだけ綺麗な海だと、泳ぎたくなるよね」
ロランも海を眺めながら頷いた。
「でも水着の衣装なんて、どこかで売ってるのかな? それともクリア報酬とかかな。探してみよーっと」
イベントのことになると行動が早い。
そんな話をしているうちに、船がゆっくりと桟橋へ近付いてきた。
「ほら、来たよ」
一行は船に乗り込み、孤島を後にする。
サウスタリア――
ギルドへ戻り、ラビィが伸びをする。
「ふぅ……じゃあ、今日はそろそろ落ちるね。案外ちょびっとじゃ無くなっちゃったし……」
苦笑いしながら頭をかく。
「ラビィらしいね」
ロランが優しく微笑んだ。
ラビィは手を振りながらログアウトしていった。
⸻
視界が暗転し、現実の自室。
端末を置きラビィはそのままベッドに仰向けに倒れ込む。
「はぁ〜……楽しかった……」
ぼんやり天井を見つめて――
数秒後。
「……はっ」
思い出す。
フレイムドラゴン討伐後。
勢いのままロランに飛びついた自分。
「うわあああああ……!!」
枕に顔を埋め、足をバタバタさせる。
「な、なにやってるの私ぃぃ……!」
顔が熱い。
誰も見ていないのに、ひとりで悶絶するラビィであった。
⸻
ハーフアニバーサリーイベントも終わり、世界は少し落ち着きを取り戻した。
そんな、ある日の朝。
ラビィが開発室へと入る。
「おはようっス、ラビちん」
席に着くなり、マヤが声をかけてくる。
「おはようございます、マヤさん」
まだ少し眠そうなラビィ。
マヤが椅子ごと近付いてきて、声をひそめる。
「ねぇラビちん? 今日の夜、空いてるっスか?」
「えっ、今夜ですか? ええ、特に何も予定は無いですけど。帰ってゲームするくらいです」
タハハ、と笑う。
「やっぱりっスか……」
マヤは少し照れたように頬をかく。
「ラビちん見てたらレジェンズ面白そうで、ウチも始めたんスけどね……テストでしかプレイしてないから難しい所があって助けて欲しいんス」
「えっ!? マヤさんもレジェンズやってるんですか!?」
ラビィの目が一瞬で覚醒する。
驚きと嬉しさが一気に混ざった表情。
「明日は休みだし、ウチの家に泊まりで一緒にやらないスか?」
「もちろん! いや、是非お供させてください!」
前のめり、完全に食いついた。
「恩にきるっス! いやー、楽しみだなー」
マヤも満面の笑み。
その会話に、ぬっと影が差す。
「えーっ! 楽しそうだなー。私もマヤちゃん家お泊まりしてレジェンズやりたい」
ナナミがにこにこしながら参戦。
「もちろん大歓迎っスよ。ナナちんさんも来てくださいっス」
「ナ、ナナミさんまで来るんですか!?」
仲間が増えた。
それも職場の仲間。
ラビィのテンションは限界突破寸前である。
「やった……リアル固定パーティ……!」
「仕事もそれくらい気合入れて欲しいっスね」
マヤのツッコミが入るが、もう聞こえていない。
その日の業務を終え――
夕暮れの街へ、三人は連れ立って歩き出す。
向かう先は、マヤの家。
ゲームの中でも外でも、ラビィのパーティはまだまだ増えていくのだった。
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平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




