第38話
前田家の陣へと近付くラビィたち一行。
だが、様子がおかしい。
中から怒鳴り声が響いていた。
「だから叔父貴のやり方じゃダメなんだって!俺が殿を務める!」
「うるさい!慶次!お前が殿を務めるまでもないわ!黙っておれ!」
ラビィとロランは顔を見合わせ、そっと陣の中を覗き込む。
赤い甲冑を身にまとった大柄な男と、威厳ある武将が向かい合って言い争っていた。
「うわぁ……めっちゃ揉めてる」
「いきなりタイミング悪かったかもですね……」
すると、赤甲冑の男が盛大に舌打ちをして陣の外へ出てきた。
「ちっ……話になんねぇ」
そのまま歩いてきて、ラビィたちの前で立ち止まる。
「ん? なんだお前たち」
鋭い目が四人を見回す。
「あっ、えーっと……その……」
ラビィがしどろもどろになっていると、
「僕たち、前田慶次郎さんと前田利家さんに用がありまして」
ロランが落ち着いた口調で言った。
男は一瞬ぽかんとしたあと、にやりと笑う。
「俺と叔父貴に? 俺が前田慶次郎だ」
親指で後ろの陣を指す。
「んで、あの中にいる偉そうな奴が俺の叔父貴、前田利家だ」
「やっぱり本人だ!」
ラビィが小声でロランに言う。
そして慌てて前に出た。
「あの、慶次郎さん! 少し私を手伝ってもらっても良いですか?」
慶次郎は一瞬きょとんとしたあと、豪快に笑った。
「おう! いいぜ!可愛い嬢ちゃんの頼みだ!」
屈託のない笑顔。
ラビィはすかさず端末を操作し、データ抽出を開始する。
淡い光が慶次郎を包み、数秒で処理は完了した。
「ありがとうございました!」
「ん? もういいのか?」
慶次郎は肩をすくめる。
「で、あのわからず屋のクソ叔父貴はどうするんだ? 呼んで来るかい?」
「お願いします」
ロランが丁寧に頭を下げた。
「任せとけ」
慶次郎は再び陣の中へ戻り、こっちを指差しながら利家と何やら話し始める。
やがて、重厚な甲冑姿の武将がゆっくりと歩いてきた。
鋭い目、堂々とした体格。
「何じゃ。慶次の奴が言っておったが、頼みがあるとか」
低く響く声。
ロランは一歩前に出る。
「はい。僕たちを助けると思って、手を貸していただけませんか?」
利家は四人をじっと見渡した。
そして、後ろに立つ二人へ視線を向ける。
「ほう……後ろの二人、強そうじゃのう」
呂布は腕を組んだまま無言。
趙雲は静かに一礼する。
「分かった」
利家は腕を組みながら言った。
「先の戦で、その者達を我が前田家として出陣させても構わぬというなら、お主の手助けとやら聞いてやらんでもない」
「ケチ臭えな叔父貴!頼みくらい、サッと聞いてやりゃ良いのに……」
陣の中から慶次郎が出て来て言った。
「うるさいな慶次!あっちに行っておれ!で、どうするのじゃ?」
ロランは趙雲を見る。
趙雲は迷いなく頷いた。
次に呂布を見る。
呂布はぷいっとそっぽを向く。
ラビィが無言で呂布の足を軽く蹴った。
「いってぇな!」
じーっと見上げるラビィ。
「ちっ……」
盛大な舌打ち。
だが拒否はしない。
「分かりました。僕たち四人、前田家のために戦います」
ロランが宣言する。
すると利家が目を丸くした。
「え? いや……そっちの二人でいいんじゃが……」
呂布は鼻で笑い、趙雲は困ったように微笑んでいた。
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平日:7時頃、19時頃の1日2話
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です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




