第36話
ハーフアニバーサリー期間中。
ラビィは毎日ニコニコしながら出社していた。
「ラビィちゃん、最近やけに楽しそうね。好きな子でも出来た?」
ナナミが書類を手にしながらニヤニヤする。
「ち、ち、違いますよ! と、友達です!」
「どーせ、ゲーム内の……だろ?」
ショーンが椅子をくるっと回して突っ込む。
「うっ……そうですよ! それよりイベントが楽しくて!」
「まっ、そんなこったろうと思ったよ」
ナナミは口元を押さえてクスクス笑う。
開発室はいつも通り……だが、レジェンズのハーフアニバーサリーイベントは折り返しを迎え、盛り上がりは最高潮だった。
「あっ、そう言えば何ですけど……」
ラビィが努のデスクの横からひょこっと顔を出す。
「限定イベント会場の近くに、やたらと強い魔物がたまーに出現するんですけど……今まで出た事も見た事も無い魔物で。前に貰った資料にも書いて無かったんですけど……」
「えっ?」
努の指が止まり、すぐに端末を高速で操作し始める。
ちょうどその時、フィニスが部屋に入ってきた。
「どうしたの?」
「し、室長。今ラビィさんから聞いた事なんですけど……」
努は事情を説明する。
フィニスの表情が引き締まる。
「変ね……そんな魔物の出現なんて説明されてないわ。努くん、何か分かる?」
「こ、この魔物かい?」
努は端末画面をラビィに向ける。
「いえ、違います。その魔物とも戦いましたけど……もっと強かったです」
「お前は、その謎の魔物と戦ったのか?」
ショーンが身を乗り出す。
「えっ? はい。倒しましたよ。かなり強かったですけど、もう一人のプレイヤーの子と一緒に」
「もう一回確認するね」
努が別のデータを表示させる。
「そうそう、この魔物です!」
画面に映る異形の大型モンスター。
「し、室長。この魔物って……」
「何ですって!?」
フィニスが画面を覗き込み、目を見開く。
「この魔物……今のレジェンズに出現している魔物の中でも最高難度に属している魔物よ……こんな所に出現していいレベルの相手じゃないわ……」
「お、お前それ倒したってのか? かぁ〜元トッププレイヤーってのは伊達じゃねぇってか!」
ショーンが半笑いで感心する。
「ショーンくん。感心してないで何か対策ない?」
「もうデータとしてアップされちゃってるのを、ゲーム止めずに修正は無理っすよ」
「告知飛ばして近寄らないようにするしか無いっスね」
マヤが腕を組む。
ナナミはすぐに大型モニターへレジェンズのマップを表示した。
「ラビィちゃん、どの辺からどの辺までとか分かる? なるべく詳しく教えて」
「そうですね……ここと、ここ。あっ、ここにも出ました」
ラビィは指で画面を示していく。
「ん? お前、何回も戦ってんの?」
ショーンの声が引きつる。
「えっ? はい。もう50体は倒してますかね……」
「えっ!?」
努が素っ頓狂な声を出す。
「い、一応ラスボスクラスのステータスなんだけど……」
「はい。だからかなり強いって言ったじゃないですかー」
ラビィはケロッとしている。
開発メンバー全員の視線が、マップを指差すラビィに集まった。
(こいつマジで廃人だ……)
その空気を読まず、ラビィはさらに指を動かす。
「あっ、ここにも出ました!」
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更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。
平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




