第35話
レジェンズは今日でサービス開始から半年。
ついにハーフアニバーサリーイベント当日を迎えた。
現実世界――PRイベント会場。
「ラ、ラビィさん! これステージ裏に持って行ってください!」
「はーい!」
箱を抱えて小走りするラビィ。
「ラビィちゃん、休める時に休んでお昼食べちゃってね!」
「分かりましたー!」
会場ステージではアイドルプレイヤーがマイクを手に、特別イベントの内容を元気いっぱいに紹介している。
横のプレイベースでは、来場者たちが実機でレジェンズを体験中。
歓声。拍手。楽しそうな笑顔。
(いいなぁ……私も早くやりたいよー!)
スタッフ用パスを下げたまま、ラビィはせっせと走り回る。
――そして夕方。
イベントは無事終了し、会場の撤収作業もひと段落した。
「よし、そろそろ終わりね。今日はここで解散だから、そのまま帰って大丈夫よ」
フィニスが手を叩いて締める。
「あっ、ラビィさん」
「はい?」
「明日も仕事あるんだからね! やり過ぎ厳禁よ」
「わ、分かってますよ! すこーしだけにしときます!」
周囲からクスクスと笑いが漏れる。
「信用できないなぁ」「絶対やる顔だよね」
「少しですってばー!」
笑いに包まれながら解散。
ラビィは今日は奮発して高速移動車に乗り込んだ。
(時間をお金で買うのです!)
帰宅後、荷物を放り出し――
「ただいまー! からの!」
ベッドへダイブ。
「ログイーン!!」
視界が光に包まれ、意識がゲーム世界へと沈んでいく。
⸻
【レジェンズ ハーフアニバーサリー開催中!】
華やかなテロップと共にログイン。
街中はお祝いムード一色。
花火エフェクト、装飾、賑わうプレイヤーたち。
「ラビィ! 来たね」
振り向くと、ロランがもう待っていた。
「イェーイ! ハーフアニバーサリーおめでとう!」
「おめでとうございます!」
二人は笑いながらハイタッチ。
「さっそく特別イベント行きましょう」
「もちろん!」
⸻
受注したクエストは――
クエスト名:星のカケラを集めアニバーサリーを盛り上げよう
内容:ミラクレアに落ちている星のカケラを収集し、イベント広場へ持ってきてね
特別クリア報酬
10個 → ハフバの証
20個 → ハフバソード
30個 → ハフバ限定武器メイクチケット
40個 → ハフバ限定アバター衣装
50個 → ???
⸻
ラビィ、呂布、ロラン、趙雲の四人は、ミラクレアの街中へ散開。
屋根の上、路地裏、噴水の影、時計塔の足元。
きらきら光る星のカケラを次々回収していく。
「ラビィ、いくつ集まりました?」
ロランが合流しながら聞く。
「んー、今私が43個で……呂布さんが10個だから、私たちは53個だね!」
「おお、すごい。僕の方も趙雲と合わせて50個超えました。イベント広場行きましょうか」
「うん!」
⸻
イベント広場は、ミラクレアの外れの草原に期間限定で出現していた。
中央には大きな装置。
入口には陽気なNPC。
「星のカケラ持って来ました!」
ラビィとロランが声を揃える。
「ありがとー! じゃあ持ってきた星のカケラを、順番にこの中に入れちゃって!」
NPCが巨大な筒状の装置を指さす。
まずはラビィ。
カケラを投入すると――
【53】
カウンターが表示された。
「次どうぞー!」
ロランも投入。
【51】
「終わった? じゃあこのボタン押してね!」
装置の前にはやたら目立つ大きなボタン。
「いくよ?」
「せーの!」
二人で同時に押す。
ヒュー……
ドドド……
ドンッ!!
夜空へと花火が打ち上がる。
53発。
続いて51発。
色とりどりの光が草原の空を埋め尽くす。
周囲のプレイヤーたちから歓声が上がった。
その瞬間――
ピコン!と二人の端末が鳴る。
【クエストクリア!】
【クリア報酬はアイテムBOXへ送られました】
「やったー!」
「大成功ですね」
花火を見上げながら、ラビィは満面の笑み。
(やっぱりプレイヤーとして参加するイベント、最高……!)
運営スタッフの顔ではなく、ただの一人の冒険者として。
ハーフアニバーサリーの夜は、まだまだこれからだった。
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更新は毎日致しますが、2話更新に変更致します。
平日:7時頃、19時頃の1日2話
土、日、祝:12時頃、20時頃の1日2話
です。
また、前作《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》はこの作品の過去のお話となっておりますので宜しければ、そちらの方もよろしくお願いします!




