第2話
ラビィの物語の正当続編となっております。
前作を、まだお読みで無い方は是非……
《月の兎、時代を駆ける~目指すはフルダイブ型MMORPG無双~》もよろしくお願い致します!
それではお楽しみください!
ベッドに横たわり、ゲーム端末を開いたラビィは小さく息を吐いた。
「今日でしばらく、ゆっくり遊べなくなるかもだしね」
視界が暗転し、次の瞬間、光が弾ける。
ログイン完了。
足元に広がるのは見慣れた石畳。青い空、風に揺れる旗。ここはクロノス・レガリアのラビィ専用拠点。
「キュー!」
振り向くと、仲間たちが待っていた。
ジャンヌは微笑み、コロンブスが大げさに手を振る。
ヴラドは静かに頷き、ファーブルは興味深そうにこちらを見ている。
リーは軽く手を上げ、ブリリアは嬉しそうに走り回っている。
ドラキュはラビィに向かいパタパタと飛び付いてきた。
歴戦を共に潜り抜けてきたメンバーたち。
ラビィは弾む声で言った。
「実はね、私このゲーム作ってる会社に受かったんだ!」
一瞬の静寂のあと、歓声が爆発する。
「おおおおお!!」
「マジか嬢ちゃん!」
「やったわね!」
「さすがです、ラビィさん!」
口々に祝福の言葉が飛んでくる。
ラビィは照れくさそうに耳を揺らした。
「えへへ……ありがと!」
ひとしきり騒いだあと、ラビィたちはギルドへと向かった。
ギルド内は多数のプレイヤーたちで賑わっている。
クエスト掲示スクリーンの前には人だかり。
装備の修理屋、アイテム取引所、情報交換をするプレイヤーたち。
中央の巨大スクリーンに、プレイヤーランキングが表示されていた。
ざわめきが広がる。
「見ろよ……」
「今日もトップ変わってねえ」
「本人いるじゃん……!」
ランキング一位の位置に、堂々と刻まれている名前。
ラビィ。
視線が一斉に集まる。
若いプレイヤーが駆け寄ってきた。
「ラビィさん! 今度のレイド、一緒に行ってもらえませんか!」
「共闘お願いしたいです!」
「攻略のアドバイスだけでも——!」
ラビィは困ったように笑った。
「ごめんね、今日はソロで行くんだ」
仲間たちは何も言わず、ただ小さく頷く。
ラビィはクエストボードの前に立ち、一枚の依頼書を選んだ。
高難度ソロ向け任務。
視線を感じながら、ラビィはギルドホールを後にする。
その背中には、羨望と憧れが集まっていた。
ラビィは小さく呟く。
「ここが、私の青春なんだよね」
クエストクリア――
「ふぅ……」
ゲーム端末を置きラビィは天井を見上げた。
現実の部屋。静かな空気。
――入社日当日。
「よしっ!」
身支度を整え、荷物の最終確認をする。
今日から金星での生活が始まる。
階下では、母が朝食の準備をしていた。
「忘れ物ない?」
「だいじょーぶ!」
明るく答えるラビィに、母は少しだけ寂しそうに笑う。
「体に気をつけるのよ。ちゃんと食べるのよ」
「子どもじゃないよー」
そう言いながらも、ラビィの胸も少しだけきゅっとなる。
でもそれ以上に、胸の奥はワクワクでいっぱいだった。
荷物を背負い、玄関のドアの前に立つ。
「お母さん……行ってきます!」
「行ってらっしゃい」
扉が開き、ラビィは新しい未来へ踏み出す。
金星、クロノスフィア本社前。
雲海の上にそびえる巨大建造物を見上げ、ラビィは息をのんだ。
昨日までのクエストとは違う。
でも胸の高鳴りは、あの世界にいた時と同じ。
ラビィは拳を握る。
「今日からここが……私のクエスト場所だ!」
金色の空の下、物語は次の舞台へ進み始めた。
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