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注射  作者: 八味とうがらし
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注射 寄り添い

白根は赤土耕太のもうしれを受け、桜木と緑川夫妻へ連絡を入れた。

「・・・・・」

「どうしたんだよ」

「いや別に・・・・」

「美月なんかさっきからおかしいぞ」

「・・・なんでもないって」

「オレなんかやったか?」

「流司はなんもないって・・・」

「じゃあなんだよ」

「さっきのデスクからの連絡・・・・赤土さんが紺野未知子を仲間にして今後一緒に増加システムの運用や削減の解除の研究をするって話・・・・」

「聞いただろ白根の話を・・・」

「聞いたよ。紺野未知子も加害者の気持ちが強くためらったって・・・でも私たちの赤ちゃんは未だに帰ってこないんだよ。いつ帰ってくるかもわからないのに・・・私は紺野未知子を許せない」

「・・・・どうすればいいんだよ・・」

「赤ちゃんを返してほしい・・・・」

「だからこそ赤土さんが紺野未知子の力を借りて・・」

「そんなことわかってる、わかってるけどわかりたくないし、わかりたくもない!」

「ふうぅん・・・」

 異国の地で解決できない問題を抱えていた。流司は美月にどう寄り添えばいいのかくるしみ、美月は流司の思いはわかっているのに、どうしても紺野未知子を許す気になれない自分に腹を立てていた。

「こんな時子猫でもいればましかもしれにけど・・この地には猫もいない・・いるのはたまに見かける巨大なトカゲくらいか・・・そうだ・・美月・・・・美月」

 流司は渋る美月を強引に車に乗せドライブに出かけた。ただ変わらない景色の中を無言で車を走らせた。ただ流司はできない過去への旅行を考えていた。つまり美月と初めて出会ったことや場所を二人でドライブして何か希望のかけらを拾えればいいと思っていた。

「なぁ美月相変わらず一面砂埃だけど・・・ここ覚えてるかぁ」

「ここ?・・・・」

「そう!まさか美月忘れてないよなぁ」

「・・・どこも一緒じゃないここも一面砂埃と赤茶けた大地だけだけど・・・・」

「そんな事ないよ。ここはほら美月がこっちに始めてきた日の夜大きなトカゲを捕まえた場所なんだよ」

「あぁ流司が『ラッキーだ私をついている』って言ったところ?」

「そうだよ・・あれからだいぶ経つけどあんな大物あれから見たことないだろ」

「確かに・・・でも会いたくはないよね・・」

「オレがいるから出会っても大丈夫なんだけどな」

「まぁ流司がいてくれるからこんなところに来ても全く不安がないんだけどね」

「オレも美月がこっちにくるまでは一人がいいとずっと思ってたんだけど、お前がこっちに来てからはすごく楽しかったんだよ!今だってオレたちは苦しんでると思うけど、でも二人だからこの苦しみを分かち合えると思うんだよ」

「一人だったらと思うと・・・オレは恐ろしいよ」

「そうだよね一人で問題を抱える苦しさは何倍も辛いよね」

「あっ美月。これ言っとくけど白根には言うなよな」

「お前たちはすぐにオレを陥れようとするからな」

「アハハハハ。流司そんなことしないよぉ」

 流司は久しぶりに美月の笑い声を聞いた。

「美月今からマフィドさんの集落に行ってみないか」

「なんで・・・」

「あそこはオレたちをいつでも歓迎してくれる。それに彼らも俺たちと一緒に苦しみながら生活している仲間だから・・・」

流司はマフィドの集落に自動車をすすめた。その間も流司は美月に寄り添うことを忘れなかった。

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