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注射  作者: 八味とうがらし
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注射 マフィドの集落

 前回襲われたことも忘れたかのように美月は流司とのこれからの事を考えていた。

「さぁついたぞマフィドさんの集落だ」

「前とそんなに変わってないわね」

流司と美月は集落の道端からマフィドを呼んだ。しばらくするとマフィドに比べかなり若い男性が近づいてきた。

「あんた達は誰だ!マフィドに何の用だ」

「俺たちは緑川と言って、数年前にマフィドさんにお世話になったものなんだ。久しぶりにこっちに帰ってきたから挨拶に寄ったんだよ」

男性は緑川夫妻にそこで待つように言いつけどこかの家に入って行った。しばらくするとその男性と他にもう一人男性がやってきた。

「あんた達が緑川か」

もう一人の男性の問いかけに頷くと男性達は笑顔で緑川にハグを求めた。

「ありがとうみなさん俺たちの事を忘れていなくて」

「何で緑川を忘れなくちゃいけないんだ!さぁこっちにきてくれ」

男性に導かれるとそこはマフィドの家だった。

「懐かしいなぁ。マフィドさんオレです。緑川です」

「緑川。マフィドはもういない一年前に亡くなったんだ・・・」

「そうだったのか最後にもう一度会いたかったな」

「まぁ座ってくれマフィドからあんた達の事について話を聞いているから」

緑川夫妻はマフィドの集落にと沢山の土産を持ってきていた。男性達は手土産に喜び奥から酒を持ってきて緑川夫妻に飲むよ進めた。

「緑川よく帰ってきてくれた。マフィドも喜んでいるよ」

「歓迎してくれた嬉しいよ。俺たちがマフィドさんにあったのは、確か・・・なんか変な輩が出てきた頃だった」

「そうだ。あの輩が力で俺たちを黙らせようとしていた時だった。その時お前達がきてくれて医薬品を沢山くれて治療もしてくれたんだ」

「そのあとどうなったんです」

「集落のみんなはその薬品や薬のおかげで怪我も治り元の生活を取り戻すことができたんだ」

「よかったね流司」

「そうだな」

「それからだいぶ時間が経ったある夜花火が夜空に打ち上げられたんだ」

「花火が・・・」

「それって一色のロケットだよね流司」

「あぁ多分な」

「マフィドはあの花火もあんた達のおかげだと喜んでいたんです」

「俺たちが・・・。マフィドさんが喜んだ?それってどう言う事なんですか」

「あの花火の後妊婦達のお腹の胎児が消えて行ったんです。この集落は新生児に栄養を与えてやることがままならないのが現状なので、集落のみんなが喜びました。そんなことができるのは緑川ぐらいしかいないとマフィドは言い、もし自分が死んだ後緑川がこの集落を訪ねてくることがあったときは、絶対に失礼のないようにとのいいつけなんですよ」

「マフィドさんそこまで俺たちの事を・・・」

「それでその後赤ちゃんはどうなったんですか」

「流産が続いてますよ。でも今のところこのくらいでかまいませんね。今また出産ラッシュが起きたらまた元の生活に・・・もっと酷い生活なってしまうでしょうね」

緑川夫妻は複雑な思いを胸にしまいこみ、マフィドの集落の安定を喜んだ。近いうちにまた来る事を約束しマフィドの集落を後にした。そのあと緑川夫妻はロケットの発射台があったところに行ってみた。

「流石になにもないな」

「それはそうよ、何年前だと思ってるの」

「それでも何かあるかもしれないしな・・・」

周りをうろつくも全く手がかりはなく、あいかわらず草木一本生えてもいない赤茶けた平原が広がっていた。

現地の取材を終えた二人はひとまず新しく建てた家に帰ることにした。

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