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注射  作者: 八味とうがらし
30/52

注射 行き詰まり

「それがよくわからないのです。この部屋がその研究室なんですがサッパリです。どこに何があるのか皆目見当がつきません」

赤土耕太は先ほどより部屋を見渡し、赤土耕太が使っていた時とほとんど変わっていない事を白根達に頷いて知らせていた。

「なるほどですね。以前私が伺ったときもこのお部屋に通されたんですが、その時色々金美部長にお見せいただいた時と何も変わっていないようですね」

「その金美って人は白根さん達に研究内容を見せていたんですか」

「はい。全てではないのですがわれわれがこの研究を高く評価させていただいてたものですから」

「そうなんですね。ひょっとして私よりもアナタ達の方が詳しいのかもしれませんね。ハハハ」

「それですみませんが・・・」

「ああいいですよ見てください。この研究は誰も研究を続けようとする方がいないのでどうしようもないのですよ」

「そうなんですね。ではちょっと見せてください」

「どうぞ」

白根は赤土耕太と一緒に資料を探して回った。その間緑川夫妻が端色学部長へのインタビューを続けた。

「学部長先ほどおっしゃられたロケットの研究なんですが・・」

端色学部長の顔が綻んだ。

「その事だったらもう少しは協力的な話ができるかもしれませんね」

「学部長はどちらの大学で研究をされていたんですか」

「⬜︎⬜︎理科大学の航空宇宙学科でした」

「⬜︎⬜︎理大と言えば桜木大臣の出身校ですよね」

「桜木君ならよく知ってますよ。彼は研究室は違ってたんですがしょっちゅう遊びに来てましたから」

「あいつ何してたんだ」

「緑川さんは桜木大臣をご存知なんですか」

「はぁ、まぁ腐れ縁とでも言いましょうか昔から知っておりまして・・・ハハハ」

「学部長は今も桜木大臣とは交流がおありですか」

「この度の学部長就任の時も連絡をくれました」

「それは素敵ですね。大臣もロケットには詳しいのですか」

「桜木君が。いやいや彼は全くですよ。どちらかと言えば彼は遊び専門でしたから」

研究室にいた誰もが大笑いをした。

「学部長さすがです。よく桜木大臣を見ていらっしゃいます」

 赤土耕太は勝手知ったるとばかりに当たりをつけた扉を開けてファイルを開けては閉じを繰り返していた。

「オレが辞めてからほとんどファイルは移動されてないですね。というより何も進んでいないようです」

「そうなると削減についてのファイルはどうですか」

「・・・ないかもしれないですね」

「・・・そうですか」

赤土耕太と白根は一通りファイルを探したが、結局何も見つけられなかった。白根は黄島に関するものが何かないか探していたが全くなかった。

「学部長本日はありがとうございました。お陰様で大変有意義なお時間をいただきました」

「何のお役にも立てなくてすまなかったね」

「そんな事はありません。それでは本日はこれで失礼いたします。またお会いできればと思っております」

「はいわかりました」

大学を後にした一行は再びファミレスに入り本日を振り返っていた。

「何も出てこなかったですね」

「そうなんですよ私が辞めた後何も研究はされてないようです。多分企業側も権利を手に入れただけでほとんど前に進まずそのまま終わったんだと思います。今考えると私が企業の研究員と話をしていたときも毎回同じことの繰り返しだったんです。今後の打ち合わせをした後に夕食を数名でいただくだけでしたから・・・」

「削減の効果を止めることはできないってことか」

「・・・・」

「でも今日の最大の収穫はなんと言っても学部長がロケットに詳しい事。それに桜木大臣と親しいって事だよね」

「そうだな本来の目的と違ったのは残念だけどな」

「やっぱり一色を探すしか方法はないのか」

「そうですね。オレがもっとしっかりしていればよかったんです」

「それは違いますよ赤土さん」

「そうですよ子供を産まれなくするなんて考えただけでも恐ろしいのに、それを実際にやってしまうなんて・・・間違ったことを研究する事ないんですよ」

 赤土耕太はお礼を言いながら、何とか一色の作った削減プログラムを解除するプログラムを作ろうと、見落としがないかもう一度過去データを見返すことにした。

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