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注射  作者: 八味とうがらし
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注射 思惑⁉︎

「教授っていつも昼過ぎに研究室後にして何を怠けてるんだろう折角俺たちのシステムが日の目を見るチャンスなのに」

赤土耕太は一人ぶつぶつ言いながら相変わらず教授の出した研鑽課題に取り組んでいた。

「だいたいこんなに奥深い研究なのに俺しか研究員が居ないってのもおかしいよな!やっぱ教授の出立や話し方がおかしいからなんだろうな・・。やば!俺も教授と一緒に見られてるのか、それにしても近頃教授から出される課題って脱線気味なんだよな」

トントン・・・トントン

「はい」

「あのぉ一色教授はいらっしゃいますか」

「教授なら外出中ですよ。たぶん今日は帰ってこないかも・・」

「少し見させてもらってもいいですか」

「どうぞ ってすみませんどちら様でしょうか」

「あっすみません!私黄島美波と言います」

「キジマミナミさん。オレ、いやわたし赤土耕太って言います」

「適当に椅子にかけてください。オレはまだやらなくちゃいけないことあるんで」

しばらく黄島美波は研究室を見渡していたがやがて赤土耕太の作業を見つめていた。

「・・・あのぉ〜キジマさんだっけ、教授になんのようなんですか?やっぱそこにずぅーといると気になって集中できないんですけど」

赤土耕太は自ら椅子に促したにもかかわらず、集中できない煩わしさに不満を口にした。

「すみません。改めて伺いますね」

「わかりました。何か教授に伝えときますよ。」

「また改めます」

そういうと赤土耕太へ微笑んで研究室を後にした。

「なんだったんだ。教授は変わってると思うけど、さっきのキジマって人も教授に用があるなんて変わってるな」

赤土耕太はまたしても自分への周りの目がどう言うものか改めて気づいた。

「あぁーあ」

 一色教授の研究室が取り組んでいる生物の増加コントロールとは生物の意志がどの瞬間に生まれてくるのかという壮大な研究を行なっている。

生物の意志がわかればそこに増やすことの情報を組み込み管理することができる。という発想から研究を続け成果を出していた。

 赤土耕太はこの研究室唯一の研究員であり唯一の卒業生でもあった。当時就活を始めた頃、一色教授から呼ばれ赤土耕太の今後の事を聞かれそのまま研究員となった。

 通常研究員は雇用の安定が保証されず不安定な気持ちを抱えて研究員を続けていると聞く。

 赤土耕太は一色教授と二人三脚で研究を続けていた為その不安を抱かず研究員になった。


 青木美月は国外への初めての出張となった。トランジットを1度行いトランスファーを2回、バスで46時間かけてついた場所は一面赤茶けた土埃舞うただただ広い平地だった。そこまで大変な移動をしてたどり着いたにもかかわらずガイドの姿はなかった。

「・・・・・・。な、なんだここ。何もないじゃん。えっえっ・・・・・・どうすぅればぁ・・・あっスマホスマホ!げっ圏外じゃん。ガイドがいるってデスクいってたけど、待ち合わせの時間も過ぎてるのに・・・・きゃ」

風が土埃を巻き上げる。

「最悪。あーもうデスクにお礼なんかいった私ってほんとバカだわ」

青木美月はトラベルバックに腰を下ろし途方に暮れていた。

「昔世界の中心で愛を叫ぶってあったけど、叫んだってどうしようもないじゃん」

そんな独り言を言って正気を保たせようとしていたところ、遠くからかすかに音と土埃が巻き上がっていた。青木美月は立ち上がり、かすかな音の方向をジーっと見つめていた。音は一向に大きくならず土埃も相変わらずのままだった。青木美月はガイドが出迎えてくれたのかと期待していたが、先ほどの風と思いまた腰を下ろした。ガイドとの待ち合わせ時刻はとっくに過ぎていた。動くにも動けない状況の中青木美月はうとうとしてしまった。しばらくして、先程の音が青木美月の方へ向かってくるのがわかった。再び立ち上がり近づいてくる音の方を見つめた。音が自動車のものとわかると、急に不安になっきた。ガイドの到着との期待もあったが、もし盗賊のような危ないグループだったらと思うと逃げる場所もなく隠れる木なども無いどうしようもない状態だったからだ。それでもこの場所に居ては危ないと思い荷物も持たずに自動車と反対方向へと走り出した。

「あーもっと真面目にフィットネスかよっとけばよかった!ハアハアハアもうダメ走れない」

走り疲れた青木美月の横で自動車が止まった。

「ハハハ暇だからってこんなところでジョギングしたら危ないな」

大きなSUVから体を乗り出し青木美月に声をかけてきた。

「チョット遅れたかな。さぁ乗った乗った」

青木美月は慣れ親しんでいる言葉を聞いて自動車の主が誰なのか疑わず助手席に乗り込んだ。

「あのぉ〜ひょっとして緑川さんでしょうか」

「ハハハそうそうまだ挨拶してなかったな」

「俺は緑川」

「私は青木美月と申します」

 青木美月は胸ポケットから名刺を出そうとした。

「ハハハハ。ココではそんな紙切れ要らないよ」

「か紙切れ・・・」

「お宅のデスクの白根から聞いてるよ」

 緑川は青木美月との待ち合わせ場所まで引き返すと荷物を後ろのトランクに積み込んだ。

「お疲れだったなぁ、さぁ宿へ行こうか」

「ありがとうございます。宿ってここから何分ぐらいですか」

「4〜5時間ってとこかな」

「はぁ〜緑川さんの遅刻が2時間位それから5時間・・・」

青木美月はつくづく自分が何をやっているのだろうと思った。

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