表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
注射  作者: 八味とうがらし
1/52

注射 何気ない日々

年を追うごとに深刻さを増す異常気象。

エリアによっては一年間全く雨が降らなくなったところも出て来ている。

作物収穫量も減少し食糧危機が頭をもたげて来て数年が経っていた。

「全世界の人口は120億人を超え、あと数年で150億人に達する勢いです」

「今のままでは飢餓に苦しむエリアが全世界に広がります」

「早急に対策を講じないと・・・」

「はい」

「何でしょうか」

「どの様な対策が必要なのでしょうか」

「その対策については次回の会議までに素案を策定したいと思います」

「本日の食糧危機対策協議会はこれまでとします。皆さま次回会議の時対策素案を用意願います」

「大臣!山吹大臣」

雑談をしながら廊下を歩いている先ほどの会議を主催した大臣を呼び止めた。

「山吹大臣先ほどはお疲れ様でした。私は嫁入り新聞の青木美月と申します」

「・・・」

「山吹大臣一つお聞かせ願えないでしょうか」

「・・・」

「食糧危機の被害と人口増加の・・」

「日紫喜次官後で青木サンに資料を見させてあげて」

「青木サンそれでok?」

「あ、ありがとうございます」

大臣一行は大臣室に消えていった。


「日紫喜次官様お願いします私嫁入り新聞の青木と申します」

青木美月は早速次官に電話を入れアポイントを取ろうとしていた。

「お電話変わりました。日紫喜次官只今取り込み中のためこちらから改めてご連絡するとのことです。」

「ご対応ありがとうございますそれではよろしくお伝えください」

電話を切って今までの食糧危機対策の資料に目を落とした。



 出雲大学では生物研究室を生物の増加をコントロールするシステムを研究する目的で20年前に設立していた。

「一色教授も次回の食糧危機対策協議会に出席なさるんですか」

「赤土耕太君我々の研究は亜流なんだよ。政府の会議に招集されることはないのだよ」

「一色教授そんな悠長なことでは・・」

「赤土耕太君いずれ近い将来我々の研究は日の目を見るよハハハ」

「赤土耕太君ちょっと出かけてくるから後を頼むよ」

「わかりました」

赤土耕太はシステムの研究を引き続き行った。

 研究室を出た一色教授は車を走らせ山道を進んでいった。

鬱蒼とした森を越えた先に山小屋があった。そこに車を停めると辺りを見回しながら隠れるように山小屋へと入っていった。

「赤土耕太君、君はよく働いてくれているよ。でも本当の意味での生物増加コントロールシステムを知らない」

一色教授は独り言を言って地下階段を降りた。



時間をおいて何度かけても次官に連絡を取ることができずにいた。

「日紫喜次官のやつ逃げたな。さーてどっしようかな」

タブレットを膝に置いて大きく背伸びをして一息入れた。

「青木ぃ青木」

部屋の入り口から呼ぶ声が聞こえて来た。

「はい」

すくっと立ち上がるとタブレットが膝から滑り落ちた。

「あー」

「青木」

「あっあっはいデスク」

「何をしてるんだ。ちょっとこっち来なさい」

青木美月はデスクに呼ばれ応接室に入った。

「先日の山吹大臣主催の食糧危機対策協議会議の件だが、先程大臣秘書からクレームの電話を受けたぞ」

「???クレーム」

「そうだ、お前会議が終わってから大臣に詰め寄った挙句毎日のように日紫喜次官に電話をしているそうじゃないか」

「それは、そうで・」

青木美月の言葉を遮るようにデスクが困り顔で説明するように言ってきた。

「青木、会議後廊下での飛び込みでの質問は基本的に行わない習わしとなっているんだよ。それはお前も知っているよな」

「はい」

「だから大臣も次官に対応させると言って場を離れたわけだ、それはお前の飛込みの心意気を汲み取ってくれた最大限の譲歩なんだよ」

「ですから・・・」

「ですからではなくて、もっと他の方法で情報を得たり、インタビューも大臣が話せる状況を作ってあげなければ、ただ聞きたいからと正面切って行っても」

「はいわかりました」

「まー分かってくれればいいんだ。でも青木の真っ直ぐに進む力はこれからもっと必要になってくるから」

青木美月は席を立ち部屋を出ようとした時にデスクが何かを思い出したかのように呼び止めた。

「あーそうだ青木、ところで来月からのスケジュール空けてくれないか」

「ら!来月からですか」

「そうだ、お前に出張に行ってもらいたいんだ」

「どこですか」

「内容については共有しといたから、わかんなかったら聞いてきて」

「はい」

青木美月は自分の机に腰掛けながら、大臣の件で食糧危機問題の件から外されたと思った。

「ちょっと出かけてきます」

青木美月はデスクからの共有の確認もせず取材と称して出かけていった。

「あーやっちゃった、言われればわかるけど現場に行くとつんのめっちゃうんあだよな」

青木美月は雑踏の中一人ぶつぶつ言いながらファミレスに入ってホットコーヒーとスイーツを頼んだ。

「ここのスイーツとブラックコーヒーの組み合わせが大好きなんですけどぉ」

また独り言を言いながら会社での気まずい気持ちを落ち着かせていた。

「そうだったデスクの共有確認しなくっちゃ」

タブレットの文字を無言で追っていた。

「えっえっえっどうしようどうしようやった」

ファミレスを後にして慌てて会社に帰っていった。

「デスク、デスク。あれ、デスクは?」

「あーデスクならちょっと前に出ていったよ」

「あー失敗。デスクっていつ帰社予定?」

社内の予定表はあって無いようなもの、デスクの帰社予定は17:00

となっていたが誰もそれが事実とは思っていない。

「デスクへのお礼は明日にするか!もう一度確認しよっとフフフ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ