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注射  作者: 八味とうがらし
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注射 we're gonna crazy little by little

結局一色と紺野未知子は実に2年ぶりの再会となった。満面の笑みを浮かべ再会を喜んでいた。また二人は飛行機の中にいた。別々に飛行機のチケットを取り別々に搭乗手続きを行っていた。

 彼らはこれから実に長い旅に出かける。何せトランジットを1度行いトランスファーを2回、バスで46時間かけてついた場所にいかなければならないからだ。ただし彼らの場合はスポンサー企業の本部がある空港から特別機で一気に現地に到着できる。その特別機に搭乗する為に今定期航空便に乗っていた。

空港に降り立つとスポンサーが車を手配していた。

「一色様お疲れ様です。お待ちしていました。こちらへどうぞ」

 二人はスポンサーの手配した高級車に乗り込むとホテルにチェックインをした。

 2年前と全く変わらないスポンサーの対応に一色は安心していた。この対応一つが相手の心変わりのバロメータだと一色は常に思っている。

「さぁ紺野未知子いよいよ明日からが勝負だよ」

「はい教授」

 二人は2年ぶりの再会をささやかにホテルの部屋で楽しんだ。

 翌朝スポンサーの車が二人を迎えにきた。足早に車に乗り込むと街を外れ荒野のようなところを進んでいった。

「ねぇ教授こんなところに飛行場ってあるんですか」

「ここは広いから飛行機なんてどこからでも離陸できるんだよ」

しばらくすると飛行機が一機二人の到着を待っていた。

そこにはスポンサー企業のトップ達も待っていた。

「一色教授いよいよですな」

「はいいよいよです。本当にご協力ありがとうございます」

企業トップは出迎えただけで飛行機には乗らず一色達二人と技術スタッフそれとスポンサー企業序列5番目ミスターNo.5が帯同した。

 どこにも滑走路など無いが飛行機は何事もなく離陸を開始した。

飛行機が安定飛行に入るとさっそく現地の状況の説明が行われた。

「発射台が完成してすでに2年以上の歳月が過ぎておりますが、我々は定期的に設備の調整を行っておりました。本日亜空間ロケットも発射台に設置を進めているところでございます。設置が完了次第こちらに完了報告があります」

ミスターNo.5の付き添いが耳打ちをしている。

「そうだそうだ教授!実はこの発射台の近くをあなたと同じ国の新聞記者が紛れ込んでおりました」

「新聞記者?」

「はい」

「でどうなったのですか?気づかれたのですか」

「いやいやそんなことは我々にはありません。それは教授も同じではありませんか」

一色は頷いて次の言葉を待った。

「記者が立ち寄った地元の集落の方々に今後一切記者とは関係を持たないと協力をいただきました」

「流石ですね」

「恐れ入ります。あーそれと教授からご指示いただいておりました発射台に『Univ I.Z. Laboratory Prof.Coda A 』と記載しております」

「クククありがとう。耕太がcodaに、間違いが良い意味になったよ。ところでその記者はどうなったのですか」

「一年も前に国外へ逃げ出して行きました」

一色は手際の良さに感心しながらもやはり慎重にことを進めなければと改めて気を引き締めた。

「では到着次第亜空間ロケットに亜空間突入システムをセットします」

「よろしく」

ミスターNo.5は握手を求めた。

「ところで教授もう一度この亜空間ロケットの事を教えていただけないだろうか」

一色は何度も説明をしてきたが誰も彼も皆効果にしか興味がないことはわかっていた。

「ミスターNo.5ご説明します。私は人間が生まれ成長しそして死んでゆくその流れが過去から現在そしてこれからも続く流れの中で世間で言われる輪廻転生という言葉を考えていました」

「教授。輪廻転生とは」

「はい仮に私がこの世を去ったのち何百年後に全く別の人間として再びこの地に生まれてくる事を輪廻転生と言います」

「なるほど!では私も以前どこかで生まれ生活をしていたと言うことですか」

「多分・・・」

「つまり輪廻転生をしながら生まれ変わると言うことは死んだ後どこかで我々は待機している訳ですよね」

ミスターNo.5は頷いて理解を示していた。

「ならばその待機をしている空間を探し出しそこにこの世界に来る事をしばらくの間待ってもらうようにお願いをするのです」

「それが亜空間ロケットなんですね」

「はいそうです」

「亜空間に入るには入り口を探すことが必要です」

「亜空間の入り口・・・」

「そうです。その入り口に亜空間ロケットを発射するのです」

「ですが教授」

「はい疑問ですよね。どこに入り口があるんだと」

ミスターNo.5はその通りと言わんばかりに深く頷いた。

「我々すべての生命には意識もしくは意志があるのです。ところでミスターNo.5あなたは母親の体内にいる赤ちゃんがいつから意識を持つのかご存知ですか」

ミスターNo.5は首を横に振り全くわからないというゼスチャーをした。

「これは非常に難しいところだったのですが・・・。わたしの研究では、約半年が過ぎると赤ちゃんに意識が芽生える事がわかったのです。その意識が芽生えるその瞬間にある一定の磁場が発生し存在することを突き止めたのです。その磁場へロケットを発射すると・・・」

「よくわかったよ教授。さすがとしか言いようがない」

「ありがとうございました」

機内放送が流れてきた。

『あと1時間で到着です』

ミスターNo.5はどこかから連絡を取っていた。おもむろに一色の方を見つめてロケットの取り付けが完了した事を説明した。


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