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注射  作者: 八味とうがらし
11/52

注射 一色と紺野

一色と紺野未知子は計画通り実験をこなしていった。そして実験を終えた地域では必ずその地域の妊婦の妊娠が突如消滅していた。

「教授これで全ての実験が終わりました。当初予測していた結果よりもプラスの成果を出してますね」

「素晴らしい事だよ紺野未知子。結果は我々が産婦人科に行かずともメディアがより細かな情報を調査してくれている。我々はそのデータをアウトプットするだけなんだよ」

 紺野未知子は一色の真横に並び体を密着させてきた。紺野未知子は一色に身も心陶酔していた。

「ねぇ教授・・・」

 実験が無事成功に終わった喜びに二人は濃密な一夜を過ごしていた。

 翌朝二人はこの成功をいち早く一色の実験をサポートするスポーサーに連絡する為タクシーに乗り込み空港に向かっていた。二人が揃ってタクシーに乗り込む時は、一切仕事の話はしない事が約束とされ、お互いを別の呼び名で会話をすることにしていた。

「ミカ。朝早いから空港で朝食を取ろうか」

「そうね。シンゴそれがいいわ」

二人はタクシーの後席に少し距離を空けて座っていた。タクシーの運転手は

兄妹か、親しいいとこか何かと思い特に何も感じなかった。

「お客さま空港につきました」

「朝早くからありがとう」

そう運転手に言って二人は空港に入っていった。

 朝食を食べながら紺野未知子は一色が以前話してくれたスポンサーのことを思い出していた。

「一色教授なぜ教授はそんなにお金を実験に注ぎ込めるんですか」

「それはわたしには世界の名だたる企業がスポンサードしてくれているからだよ」

「赤土耕太という私のところの研究員がこれからプレゼンをおこなうことになっている。そろそろそのプレゼン資料を赤土耕太にまとめさせようと思っているところなんだが、数年前にすでに私がまとめて企業にプレゼンしていたんだよ。その企業が私を完全バックアップを約束をしてくれている」

「じゃぁ赤土耕太さんのプレゼンって」

「それも私と企業の計画のうちなんだよ」

「赤土耕太さんかわいそう」

「そういうなよ。私も心が痛い。ただ大きな計画には多少の犠牲は付き物なんだよ」

「それで世界が地球が救われるのなら、赤土耕太一人犠牲で済むことを皆んなが喜ぶよ」

「でもなんで教授はいち早く学会みたいなところでプレゼンをしなかったんですか」

「紺野未知子それはこの世の中の仕組みに挑戦する新しいメカニズムなんだよ。そんな物をいきなり発表したらどうなると思う」

「世界が大騒ぎしますよね」

「そうだよ大騒ぎ。その上この事自体を批判する団体が多数出てきてすべたが終わってしまう。その上権利を横取りされてしまうだろう」

「嫌な世界ですね」

「わかるか紺野未知子!」

 紺野はそんな教授との話を思い出しながら、今自らも一色の計画の一人となって行動する事が夢の様な感覚だった。

 一色と紺野未知子を乗せた飛行機は日付変更線を越え誰もが一眠りをして現地に着いた。

「一色様お疲れ様です。お待ちしていました。こちらへどうぞ」

 二人はスポンサーの手配した高級車に乗り込むとホテルにチェックインをした。

「紺野未知子こっちにきてみなさい」

 一色は紺野未知子を最上階のホテルの部屋の窓に呼び寄せた。

「ステキィ」

「いよいよだ。明日この成果を持って企業からの最終的な契約をして、それから」

「それからいよいよ教授の大きな計画のが現実となるんですね」

 ホテルの雰囲気、夜景の情緒、明日への興奮など諸々の感情が二人を引き寄せあった。

 翌朝気怠く起きたのは紺野未知子の方だった。

「珍しいなぁ。教授まだ寝てる」

そっと口づけをした。

「うん。もう朝か」

「はい教授」

「スポンサーの迎えが13:00だからゆっくり身支度をしよう」

 そう言うと紺野未知子に先にシャワーを浴びる様促した。

一色はその間朝刊を眺め関連記事を探していた。

「フフまだこっちじゃ扱いが小さいな」

一色は扱いの小ささに安心していた。

シャワールームから悲鳴の様な音が聞こえてきた。

「どうした」

「・・・」

シャワールームの扉を開けると、紺野が一色に纏わりついてきた。

「ねえ教授・・・」

一色もやれやれと思いながらも、まんざらでもなくシャワーに濡れながら二人の時間を過ごした。

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