50.浮気に悩むのはわたくしだけでは無いようです(2)
ヘパイストスNTR事件のあった日から一週間後。
ポセイドンの仲介でアフロディテとヘパイストスは正式に離婚。アレスからは慰謝料として馬を渡しトラキアに謹慎、アフロディテはクレタ島での謹慎となりました。
「ヘパイストス、飛んだ目に会いましたわね。わたくし、結婚の神だと言うのにこんな事になってしまって……申し訳ないわ」
わたくしは今ヘパイストスの神殿に行き、2人で酒を酌み交わしながら話しているところです。まさかヘパイストスとこうやってしっぽりとやる日が来るなんて、思ってもみませんでしたわ。
「あの時は冷静さを欠いてお返ししますなどといってしまいましたが、ヘラ様のせいでは御座いません。やはり女性は、アレスの様に眉目秀麗で男気溢れる方が良いのでしょう。私の様な根暗男など……」
「そんな事はありませんわ。あなたを捨ててしまったわたくしが言うと説得力が無いのは分かっているけれど、もっと自信をお持ちなさい。わたくしのみならず、アレスやアフロディテまで捕まえてしまえる程の腕前ではないの。そんな者、人間にも神にもおりませんわ」
「……ありがとうございます。今回の事でヘラ様の気持ちがよく分かりました。浮気されるというのは、なんて惨めで悔しいのでしょう。他の誰がなんと言おうと、ゼウス様にどんな目的があっての浮気だろうと、私はヘラ様の味方です」
「ヘパイストス……」
他のみんなには怒り狂うわたくしの心情をなかなか理解して貰えませんが、息子とこの気持ちを分かち合えるとは……嬉しい! ……なんて、訳ありませんわ!!
不倫された方の気持ちなんて分からない方がいいに決まっています! アレスとアフロディテの事を思い出したらムカムカしてきました。
「それで、アフロディテが浮気をしているというのはどうして分かったのです?」
女の勘、と言うのはよく聞きますが、ヘパイストスは男です。アフロディテも浮気の証拠や痕跡を残すようなヘマをするような女ではありません。
「ヘリオス様が教えて下さったのです」
「ああ、なるほど」
ヘリオスは太陽神。彼は昼間は常に空から見下ろしているので、ありとあらゆる出来事を見ているのですわ。日中、アレスと逢い引きしていた所でも目撃したのでしょう。
「あの……ヘラ様。ヘリオス様が私に密告してくれた時に、こんな事を言っていたのです。何ヶ月か前のこと、ゼウス様に3日間太陽を登らせてはならないと言われたそうなのです。ヘリオス様はゼウス様がその間に何をしていたのかは東の地の果てにある宮殿に居たので知らないそうなのですが、もしかして……などと思いまして」
3日間太陽を登らせない?!
スッキリと目を覚ましたのに真夜中だった、あの日の事ですわね。
夜の長さをそんなに長くするなんて怪しい!怪しいですわ!!!
あの夜からどのくらいの月日が経ったかしら?えーと、そうね。あれは確か夏だったから、かれこれ8、9ヶ月位は経っている……。
「そう。その話をわたくしにした事は誰にも言わないでおきなさい。良いですわね」
「……はい」
ヘパイストスが、ゼウス様の浮気をわたくしに密告したとしてとばっちりを受けてしまってはいけません。きっちりと口止めをしておいた方が良いでしょう。
さて、どうやってゼウス様の浮気相手を見つけましょうか。
しばらく考えて、一人、その相手が誰なのかを予想するのに役立つ情報を知っていそうな女神を思い付きました。
絶対に、相手が誰なのかを掴んでやりましょう。




