救われた大恩、救えぬ大罪
++在りし日の、思い出と想い++
視界は灰に塗りつぶされた。
きっとそれは、俺が望んだから。
赤々と、黒々と、それだけを記憶してしまったあの情景から逃げるために。
耳の中で虫が這い回る。
掻き毟るかのよう。
外界の音はすでにその音に掻き消され、どれだけ叫ぼうとも自身の声すら聞こえない。
何の前触れもなく、呼吸をした途端に悪臭が鼻を突き抜ける。
目の前には何もないはずなのに。
顔に触れる手はまるで氷のように冷たく硬く。
どれだけの毛布を被ろうと震えが止まらない。
それでも血のにじみ続ける指先で毛布を握り強く深く自身を覆い続けた。
これは夢なのだと・・・
ただの夢なのだと、世界を拒み続けた。
だが、世界は非情にも俺の世界を肯定した。
今いる世界が本当なのだと・・・
親が目の前で互いを殺し合った
それが俺の世界なのだと
だが、俺はただの一睡もせず、水の一滴も口にしないまま必死に抵抗し続けた、それを拒み続けた。
そして・・・・・・
灰の世界に光りが差した。
あぁ、ようやく世界が根負けしたのかと思った。
だが、それは俺をただ絶望させるだけだった。
『あの人と出会えなければ・・・』
眼前に広がるのは何の変わり映えのない俺の部屋。
そして、目の端にうごめくものを見つけて眼球を動かせばそれは黒い人の群れ。
俺はまだ・・・この世界を抜け出せないのだと灰色の世界は言う。
群れは俺を見下すかのように一様に嘲笑を浮かべ。
それが恥ずかしくて、悔しくて、憎くて、哀しくて、視界を遮ろうと手を動かせばそこには力一杯に握り締めていたはずの毛布はなく、隠れる事は出来なかった。
それに動かしたはずの手は俺の命令を拒んだのかまるで動いていなかった。
「■■■■■、■■■」
黒い影が俺を覆うように近づき何かを喋っている。
まるで何を言っているのか聞こえない、ただ雑音だった。
「■■■■、■■■■、■■■■、■■■■」
答えられないまま、ただそれを見せられるだけ。
もう先程まで感じていた感情すら過去になるほどの時間延々とそれは俺に喋り続ける。
やめて・・・
ただその一言を言うのすら億劫でただ諦めるのを待つだけだった。
そして、ようやくと諦めたのか影は口を閉じた。
どうだ、俺は負けなかった
それを口にしようとしたが口が開かず、しょうがないとさっき笑われた分その影に笑い返してやった。
すると、どうした事か影は動かなくなった。
負けたことがそれほどもまでに悔しかったのかともう一度笑ってやろうとすると突然衝撃が走った。。
その勢いで世界は回転して横倒しになる。
「この、馬鹿者っ!!」
怒声が響き渡り、その声が全ての雑音を吹き飛ばしたかのように静まり返った。
何をされたのか分からない、ただ頬が熱い。
熱くて、熱くて・・・・・
先程まで冷え切った体の震えが止まった。
それから次第に頬が痛み出す。
痛くて、痛くて・・・・・堪らない。
頬だけじゃない、体中が痛い。
胸が燃えるように熱くて、痛くてそれを必死に抑えるように握り締めた。
ただ必死に”止まれ”と念じながら・・・・・・
そうしているとまた唐突に体が浮き上がる。
そして、目の前に女の人が現れる。
この人だけが他の黒い影とは違って色を持っている。
「小僧、何を見たのか知らんがな。意地を張るな!」
そう言ってその女の人の瞳を見つめた。
浮いていた体には静かに重さが戻り、地面に足がつく。
「あ、ぁ・・・たは・・・ぁえあ・・・」
痺れたような口は上手く動かず”あんたは誰だ”と言っているつもりでもまるで言葉になっていなかった。
けれど、その言葉に女の人は反応を見せた。
笑ったような、悲しむような、怒っているような、滑稽な俺を楽しんでいるかのような、そんな顔を俺に見せる。
「”あきら”だ」
「・・・あぃ・・ぁ・・・?」
名前を呼び返すと頷き今度は笑ったのだと分かった。
俺をあの影と同じに”嘲笑う”のだと睨みつける。
「・・・ったぃい・・・ぁえない」
「・・・・・・」
俺の言葉にその笑みはなくなり口を閉ざして俺を見つめていた視線が横を向く。
それは一瞬の間だけで再び俺を見つめる瞳は俺を睨み返すようだった。
それが酷く怖いと感じたがそれでも俺は負けず睨み続ける。
「小僧、もっとはっきり言え」
名前を口にした時はまったく別人のような低い声がした。
「おぇ、わ・・・まぇあい」
「それでは分からん」
見上げていたその顔が俺の眼前まで降りてきてはっきりとした口調で俺に告げる。
「お、であ・・・けないっ」
「分からん、もっと腹から声を出せ」
首を数回振るとその両手が俺の肩を抑える。
その姿を見てそれまであった感情は”悔しい”と言うものだけになっていく。
振り絞る、なんとしてもこの人に有無を言わせないほど大きな声で言ってやると。
「おれはっ・・・!」
体中が、その内側が熱くなっていく。
「おれ、あっ!まけ、あいぃ!」
「もっとだ、もっと”それ”を吐き出せ」
もうどうなっても構わない。
今、何故、何度もこの言葉を言おうとしているのかも忘れただ口を開き、喉が枯れていようと腹のそこからそれを口にする。
「俺はーっ!負けないぃぃぃっ!!!」
「よしっ!」
俺の肩を掴んでいた手が俺の頭をゴシゴシッと乱暴に撫でる。
そして、頭を揺さぶられるせいか、支えを失ったせいか足元がふらつく。
「んっぐ!あっ・・・ぃっ!」
ふらふらと安定しない足で床を何度も踏み続け近くの壁に手を伸ばしてなんとか転ばずに済ませた。
「く、くくくははははっ」
笑い声、俺がようやくと言葉にできたと言うのにそれを笑ったのかとそちらを見ようと顔を向けようとすると突然目の前が塞がれて息が苦しくなった。
「っ?!んーー・・・」
「悪かった。お前を嘲笑ったわけではない、ただしょうがない程に強情な小僧だと思っただけだ」
女の人の声は優しかった。
それで柔らかいのか硬いのわからないそれが俺を包みこんでいるのがわかった。
そして、息の限界が近づく前に放されポンッと女の人は俺の頭の上に手を乗せた。
「お前は一人にはならん、だからそこまで強がらんで良い」
「・・・っ」
よくわからない、この人は何を言っているのか。
ただ不思議とこの人に対して”悔しい”といった感情がなくなっていた。
そして、緊張の糸が切れてしまったのか力が入らない。
前のめりに体が傾き女性に寄りかかるように体を預けた。
「わからんのなら小僧は小僧らしく、今は何も考えず寝ておけ」
その言葉を最後に首筋をトンッと叩かれ、そこで意識が途絶えた。
俺は最後までこの時の感謝を口に出来ていなかった
ししょー?
まだだ
ししょーっ!
まだだ
うぅぅーーっ、ししょーのケチっ!
ケチで済むのなら易い事
外の賑やかしさ目を覚ます。
開いた瞳に映る世界には灰が残っていた。
けれど、あの時のおぞましさはない。
恐怖、不快さ、あれほどまでに気味が悪かった世界と同じ色だと言うのに心の中は静やかだった。
「あぇっ?」
体を起こそうと腕を立てるが力が入らない。
横倒しになっていた体を捻って這うようにしてベッドを抜け出す。
ドテっと転げ落ちてベッドに寄りかかりながら起き上がる。
すると、ガチャリと扉の開く音にそちらに顔を向ける。
「ほんに強情な小僧だ。おとなしく寝る事も出来んか」
「あきぁ・・・」
あきら・・・俺にそう名乗った女の人だった。
変わらず灰の世界に塗れているのにこの人だけは正しく俺の世界に色を放つ。
「・・・ここは、とこ?」
「私の家だ。これからお前の家になる場所でもある」
「いぇ・・・」
見える限りを見て確かに俺の記憶にない部屋だった。
「まぁ、色々伝えるべき事はあるんだが・・・一先ず立てるのならついて来い」
そう言われ踵を返す背中をふらついた足でその後を追いかけた。
着いた先は広いリビング。
先にたどり着いていた女性は先に席に座っていてその正面にはそこに座れと指名されているかのように湯飲みが置かれていた。
「説明させてもらう、一方的にな。お前に拒否権はない、まずまず拒否する気が起きないだろうが」
「・・・・・・」
「悪いようには・・・ならない。今のお前以上に悪い状況にはならないだろうさ」
変な間があったと感じたが確かに俺にはもう何もない。
だから、この人の言う言葉に頷いた。
そして、一方的に聞かされ続けた。
何故、俺がここにいるのか。
俺はこれからどうなるのか。
「まぁ、こんなところだがお前が独り立ちするまで好きにすると良い。他の親類ではお前を持て余すだろうし、お前も望まんだろう」
法律だとか分からない事が多かった。
けれどこの人の言う通りだと思う事も多かった。
先に言われたとおり俺に拒否する事は出来ないのだと、ただそれを説明されたようだった。
「改めて、自己紹介をしておこう。姓を佐伯、名を明と言う。それから・・・出て来て良いぞ”スバル”」
「・・・?」
明の視線を追いかけると扉の隙間から女の子が顔を出した。
「その子が新しい”家族”?」
っ・・・?!
「あたしは昴よろしくね。えっと・・・」
昴と言うこの少女は明とも違う。
明自身は色を持っていたがこの昴という子はその周囲に色をつけていた。
何故、そう俺の世界に映るのか分からないけれど。
とても眩しくて綺麗だった。
「ねぇ、君の名前は?」
「えっ?あ、・・・ぅうせい」
不思議な光景に呆っとしてしまった。
改めて名前を口にしようとしたが、声が上手く言葉にならない。
何度か声に出そうとしてもそれでも自身の名前にならない。
「少し落ち着け」
中々名前が口に出ない事を焦っていると、不意に明が俺の額にトンッと指を突きたてる。
すると、ピリリッと体中に小さな電気が走った。
「ん・・・」
「先に起きてしまったから忘れていた」
「ししょー、わざとな気がする」
「さぁてな、それでお前の名はなんて言うんだ。私にも名を教えてくれ」
わざとらしい仕草で明は俺を目を細めて見る。
その表情には緩やかな笑みを浮かべ、その笑顔はなんだか楽しげだと思った。
「・・・りゅうせい。俺は、龍成」
それから静かな日々を過ごす事になる。
いや、騒がしい日もあった。
静かと言うのは大半の日を明と昴、それから俺の三人だけで過ごす日が多かったという数字だけの意味で。
まるで外界から遮断されたような日を過ごしていた。
俺はそんなこじんまりとした小さな世界が気に入りだしていた。
昴と二人で家の近くの山で遊び昴と触れ合う度に世界は色を取り戻していった。
自然と笑むことが出来るようになっていった。
昴の態度も次第に遠慮がなくなっていきその本性を知る日が来たりもした。
酒癖の悪い明に難儀させられたり、そしてそんな明を師匠と呼ぶようになる日を向かえ。
その後、鍛錬と称した拷問かどこぞの国の処刑方法に近いその数々を潜り抜けることで師匠を超人だと理解し、以降師匠を師匠というカテゴリの生物として認識する事になった。
悪くない・・・良くも悪くも総合的に言えるのはやはり悪くないと思える日々ばかりだった。
俺は師匠と昴に出会う事で救われた
それから十年近い月日が流れ、ある日唐突に師匠に呼び出された。
気持ちの良い涼しい夜風が吹き抜ける修練場。
そこには先にやってきていた師匠が切り株に座り手酌で酒を注いでいた。
「なんだって?」
「昴をどう思うと言った」
俺がその傍に座ると第一声を同じように聞かれた。
師匠は盃に映る少し欠けた月を眺め、要領を得ない質問を繰り返す。
「いや、質問の意図がよくわからないんだが。普通に元気というか奔放だと思う、良くも悪くも」
思うまま素直な感想を言えばガクリッと項垂れると溜め息をつき酒を一気に飲み干した。
「あぁ~~~、私が悪かった。私が悪かったんだな、お前に、その・・・なんていうかそういう知識を・・・・」
「?」
「かぁーーったく、私自身得意な話じゃなかった。龍、今のは忘れろ」
師匠にも不得意なものがあるのかと意外な気分になった。
「話を変える。・・・少々面倒な仕事が来た」
「面倒って事は海外に行くのか?」
「そうだ、しばらくは戻れんだろう。なにせ会長自らが私を指名してくるくらいだ」
珍しいとは言えない事ではあるが本人が面倒だと先に断言する事は珍しい。
「師匠が言うなら面倒なんだろうけど、指名って事は良い額なんだろ?願ったりのタイミングだと思うけどな」
「金に困るような生活はさせていないつもりなんだが・・・」
「困る事はないが、どこぞの誰かが衝動買いするもんだから家計はいつも冷や冷やだ」
「ぐっ、言うようになったな」
いつぞやは見た目が気に入ったと言ってゴテゴテとカスタマイズされた三輪バギーをディーラーの言い値買い二週間で飽きたと整備やらを俺に任せて放置した。
またいつぞやは依頼料を高級食材の山に変えてしまったり、時には依頼料よりも高い修繕費を取られたりと貯蓄はあれどいつ吐き出されるか気が気でない。
「今はそんな事は些細な事だと置いておけ」
まるで他人事という風に空になった盃に酒を注ぐ。
「ここからが本題だ。まぁ留守をお前に任せると言うのはいつもと変わらないのだが・・・」
再び盃を眺めたかと思えば、軽く口を付けた。
まるでらしくない、その姿に疑問を持ったがそれでも師匠の言葉を待つほかなくしばらく静寂が流れた。
自然の中に消えていきそうなほど儚い笑み、嬉しげで悲しげで始めた出会ったあの日のような笑みだった。
「らしくない。いつものようにはっきり言ったらどうなんだ?」
堪らず俺はそう口にしていた。
すると、ようやく盃から視線を外して俺の顔を見た。
「まったく、でかくなったな小僧が」
「あれから10年、でかくもなるさ」
「そう、だったな」
少し余裕の生まれた盃に再び酒が足されると師匠はそれを一気に煽る。
「ふぅーー。お前に、全てを任せる」
「はぁっ?!!全てって・・・」
「言ったとおりだ。この仕事を終えたら私も隠居させてもらう」
ふざけている様子はなく、ただ静かにそう言葉にした。
「・・・冗談だろ」
言葉にしたのなら師匠は実行する内心でそう理解していたが、それでも隠居するほど師匠に衰えたところはなく一層にその力が増しているとさえ思えていた。
「冗談ではない。仕事が終われば悠々自適、好きな時に酒と詩と三国志を楽しむ生活だ」
「俺達の稼ぎじゃすぐに干上がって・・・」
その人格が半端を許さないのかしれないが師匠の浪費癖も半端ではない。
師匠の仕事を任される事は最近では多かったがそれでも依頼額は師匠がするときの半値以下になる。
それではきっと自由な時間を得た師匠を抑える事は出来ないだろう。多少の抗議をしてみるがそれを言いきる前に師匠は一枚の紙切れを俺に突きつける。
俺が驚愕したのを見ると師匠は得意げな笑みをした。
「ふふっ、中々の額だろ?」
それはゼロが乱舞する小切手。
それだけで都心の一等地に豪邸が立つ。
「なっ?どんだけ吹っかけたんだよ」
「それだけ面倒な仕事だと言う事だ。だからその多大な面倒事が終えたら私は働く気は当分起きないだろう」
そう言っていたずらめいた、いつも通りの顔で師匠は笑む。
「だから、隠居するっていうのか」
「そう言う事だ。任せたぞ、龍」
俺はその笑みに盛大な溜め息が漏らした。
師匠は師匠だったという事を再々々・・・認識させられた。
「女がそうと決めたのだ。男ならば有無を言わずそれに応えてみせろ」
「都合のいいときだけ女になるなよ」
「あははははははっ、気が向いたら働いてやる。だが、負けず嫌いのお前なら隠居した者の手など借りないだろ?」
そう俺を挑発するのを見て、しょうがないとその勝負を受けることにした。
これが師匠との最後の会話。
そして、以後の足取りを俺達は探し回る事になる。
ほとんどの情報は後手、辿る事すら間々ならないまま噂を耳にするたび現地へ飛んだ。
そして、俺は師匠との約束を破ってしまう
予定されていた期日をすぎても師匠は帰らなかった。
更にその時期が過ぎてから俺たちは幾つものトラブルに巻き込まれいくつも大切なものを忘れていった。
三年の時が流れた。
時間が過ぎるごとに師匠の手がかりは失われ、ここ半年有力な情報は手に入らず師匠の名を聞く事すらなくなっていた。
空振りの日々が続き昴は時折沈んだ顔を見せる。
そんな中で今まで以上にない情報が舞い込んできた。
これが最後になるかもしれないという思いで情報を探り始めた。
始まりは師匠の所属していた組織から、けれど次第にその情報はきな臭いものが混ざりだした。
けれど藁をも掴む思いだった。
そこに舞い込んできた依頼その報酬が師匠の手がかり、師匠が最後に受けた仕事その相手方からの依頼だった。
先に探し出した依頼元はすでに空となっていた。
ゆえにこの依頼主が師匠の消息を知るだろう唯一の当事者といえる。
冷静さを欠き、思考を麻痺させていた。
元は敵対していたはずの彼らの依頼を受けた事。
組織の援護は現地では望めないという事。
それを考慮すれば外側から探ればよかった。
力を過信した、相手を侮った、時勢を見誤ったどれを言い訳にする事もできる状況、ただ・・・。
運が悪かった、それだけは言い訳にできない
不安要素が多かったため躊躇したのだが最後は昴の一言に押される形で・・・最後の仕事へ飛び立った。
俺も二人でいればどれほどの戦場だろうと負ける事はないと、最悪逃げる事は簡単だと高を括ってしまっていた。
その結果、相手の手の内に嵌り、敵の潜伏先で敵に・・・味方だった者たちに囲まれた。
裏切られた・・・
現地のコーディネーターは即座に一台きりの車に乗り消え去った。
逃げ出した矢先、同行していた俺達と同様に集められた傭兵の二人は捕殺された。
そして、なんとか包囲網を抜け追っ手を振り切り、後は国境を越えてしまえば逃げ切れると思った矢先だった。
凶弾が昴の体を貫いた。
一命は取りとめた・・・だがそれもほんの一時だけ。
互い傷だらけのまま何とか組織の影響下の地域まで逃げる事はできた。
即座に昴を病院へ、そこでの応急処置が終わればそのまま日本へ。
とにかく、そのときの俺は逃げの一手と昴の命それだけを考えていた。
その時に俺は俺の犯した過ちを知った。
俺の因果に思考が辿り着いた。
それが、裏切り
始まりは両親達。
互いに互いを裏切り合い、その裏切りの果ての結果を知っている。
師匠と出会い様々な事を学んだ。
果ての姿にならぬよう、負けぬよう。
そして、俺は思い知った、昴がその身を床から起こす事ができなくなる事で。
俺の持つ力を、その限界を・・・裏切りの因果を。
だがそれは既に遅い回答。
全てが俺には遅い知らせだった。
師匠が残した言葉の意味、昴に対する思いを知ったというのにもう俺には何も出来なかった。
・・・裏切った。
大切なものを裏切った。
だから・・・・・
せめて・・・・・
それは贖罪といえるのかもしれない。
昴が俺に残してくれた最後の言葉、それを裏切る事はしない。
裏切らない、それを魂に刻み込んだ。
そして、負けない。
どんな因果なのだろうと負けない、と・・・。
だが・・・俺は弱かった
時を重ねると声が聞こえる始めた。
それは誘惑の声と断罪の言葉。
最初は疼きのように。
そして、それは確かな音となって耳を支配し始まる。
俺は・・・もう・・・
『何を言う、全てお前の責任だろう』
でも、俺は・・・
『また”裏切る”のか』
やめてくれ・・・
『龍、お前に任せたのが間違いだった』
もう、駄目なんだよ
『負け犬となるか』
あぁ、そうだよ。俺が勝てるものなんて
『何も償えんとは無責任だな』
もう、充分だろ
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
『龍、生きて・・・』
君がいないと、俺は・・・
『龍、お願いだから』
『泣かないで』
NextScene
++走り出す思い、変化への布石++
さてはて、さてはて?
なんとも重~~~い過去話です。
試し試しな書き方の部分があったのですが
とりあえずは今回はオリ主の”裏切り”に対しての感情を感じてもらえていれば幸い。
まぁ後は師匠登場。
最初に立てた設定と矛盾してないか不安になる人です。
何せ何年も前の設てっ・・・・
一先ずこのルートでの過去回は消化完了。
それにしても暑い最早暑いの領域を超えて熱い!!
あぁ、本編も熱い展開にしたいですが元より合戦がやりにくい時間軸にいる。
暑さを忘れて、熱さは気にしたいそんな中で次話を書きます。




