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恋姫天衝 ~対極の御遣い~  作者: 雀護
・沛国~
24/44

気になる存在と事象






++鈍磨な翌檜と知らず、辟易するほどの黄昏++







閻忠は女だった。

それには驚いた。

だが何故と言う疑問の方が俺の中では大きい。


 ・・・溜め息を吐く事も出来ない 


俺の根幹、根底に関わっている問題だった。

体を扱う感覚が違うなどという問題では片付けられない。


疑問は大きくなっていくばかり。

そこから見える答えはどこまでも浮世離れしたものばかり。

俺はあいつが目の前に現れるまでそんな思考を巡らせていた。


あいつは・・・俺を・・・。


あいつを・・・俺は・・・。








閻忠が女だと判明してから数日後。

「あの、馬龍殿?」

「・・・どうした、昼はまだだぞ?」

「いえ、程銀殿ではないのですから、そのような事では・・・」

俺の現状、その可能性を考えていると閻忠に声を掛けられた。

しかし、それを悟られないよう冗談で返せば閻忠の中で程銀をどう捉えているのかを理解できた。


 随分慣れてきたものだ


「うぇ~?ご飯?」

「まだだ、寝てろ」

昼飯の気配に荷台から寝ぼけた声がした。

寝た黒猫を起こすと面倒この上ないのでそれを再び夢の世界へ押し戻す。

「んん~?ごはんまだ、なら寝る~、ん~~~・・・」


 こいつは自分の任務を放棄してるんじゃないのか?


しかし、寝ていれば何の害もないので一先ず寝たままにしておく。

「それでどうした」

「明日には沛国も見えてきますし、本日は早めに野営先を決めてしまいませんか?」

悪くはない提案だったが、少々引っかかりを感じた。

「まぁそうだな。一先ず昼の時に・・・」

「お~ひ~る~?・・・・・・ん~~~」

現在ただ飯喰らいに会話を遮られた。

害はないと思っていたら妨害はあった。

思えばこの数日”朝”、”昼”、”夕”その単語を口にするたびに同じ反応をされていた。

寝ていてまで邪魔されるとその内に俺の許容範囲を超えるかもしれない。

「・・・閻忠」

「・・・はい」

閻忠は俺と同じものに視線を向けたまま答える。

「点穴で日暮れまで寝かせておいても良いか?」

「やめておきましょう。食べ物の恨みは怖いですし」




妨害を防ぐため早めの昼を取る事にした。

そこで程銀に一つ確認をしてみる。

「たまにはお前が飯の番をしたらどうだ」

「えぇ~~やだよ」

「では、私が・・・」

「それも駄目だよ~。馬龍のご飯が一番美味しいんだから」


 あぁ、言わなければよかった 


答えは分かっていた。

以前閻忠が料理をして見れば美味そうに食べていたというのにそれ以降何かにつけて俺に料理をさせる。

そのせいで言われる前から俺が料理番をするようになった。

「お前はどこで役に立つんだ?」

「あたしだって仕事してるよ」

「どんな仕事だ?料理が出来た瞬間に皿を突き出す事か?」

「りょ、料理は出来立てが一番美味しいんだよ」

否定はしないがこれは違うと言う事だろう。

「なら、鍋の中身を空にする事か?」

「違っ・・・」

俺の質問を否定しようとした程銀に空になった鍋の底を見せる。

「違うって・・・言っちゃ駄目?」

程銀は苦笑いを浮かべながら頭の後ろを掻く。

どうやっても今の体制を変えることは出来そうにない、一先ず諦めて溜め息を吐き出す。

「で?お前の仕事はなんだ」

「馬車係!」

「・・・・・・はぁっ?!」

意味の分からない役職についていた。

「あたしがいる限り馬車の荷物は安全だよ」

「その馬車係が一番荷の食料を食いつぶしているんだが?」

「まぁまぁ馬龍殿。それよりも私の提案はどうされるのでしょうか」

事実を突きつけようとすると閻忠が脱線した会話を修正した。

「そうだったな。えっと・・・馬車係殿、地図を所望するぞ」

「えっ?りょ、了解であります」

仰々しく手渡される地図を広げ現在位置を確認する。

如何せん詳細地図といっても大まかな山や川、道らしいものと町が書かれているだけ。

それと照らし合わせて体感で感じた距離と方角を頼りに進むのでおおよそしか把握できない。

「そうだな・・・」

幾分か道程を思案しながらちらりと閻忠の表情を確認する。

こいつが女と分かってからその表情が読みづらくなった気がする。

それでも閻忠ならばそう悪い考えではないだろうと地図に目を戻す。

予定通りでは一度先に見えてきた森を抜けしばらくした場所。

それでは閻忠の提案を無視する事になる。

森の手前での野営は避けたい。

森を抜けた直後も同じ、それにそこからでは北方にある村それが邪魔だ。

想定した時間を消化できていないのなら沛国に入るまで俺は人目を避けておくべきだ。

「今日はこのままここで野営にしよう」

「宜しいのですか?」

「宜しくはない・・・が、旅の同行者の意見も尊重するさ」

俺が西涼を旅立った時と状況は大きく変化している。

現在、安定から護衛として同行している閻忠、程銀とはその安定で出会い、穎川ではこの世界の事情も何故か俺なんかに絡んできているのを知った。

ならばそれに合わせて旅をした方が天意に近づけるのではと思う。

これまでの旅の意味を考えていると程銀がちょいちょいっと俺の背をつつく。

「あたしの意見は?」

「飯の事以外であれば聞くだけはしてやる。なにかあるのか?」

地図を閉じて顔を一度を向け答える。

「布団が固くてよく寝れないんだよ」

「っ・・・・・・?!!!」

手にしていた地図が滑り落ちる。

あまりに図々しい意見に唖然としてしまった。


 ・・・・・・ここまで来ると凄いな


「馬龍~、布団が固いんだよぉ」

「一先ずはここで野営だ。俺は昇竜の不満解消ついでに先の森まで行くが閻忠はどうする」

俺が無視を決め込むのを感じてか程銀は閻忠に手を伸ばす。

「閻忠さん、布団が・・・」

「では私も同行させていただきます」

程銀の抗議を二人無視したまま会話を進めた。





「じゃあ、俺達は行くからな」

「ぶぅ~~・・・・・・」

昇竜の背に乗り程銀に告げるが、あまりに無視し続けたせいで機嫌を損ねた黒猫帽子が揺れる。

「ったく。行くぞ閻忠」

「はっ。しかし、程銀殿は・・・」

「気にするな。それよりさっさと乗れ」

程銀を気にする閻忠を自身の後ろに指して言う。

「えっ?昇竜殿に、ですか?」

「お前の馬は休ませてやれ。それに昇竜で駆けるんだついて来れないだろ?」

「ですが・・・」

閻忠を説得していては日が暮れてしまう。

「昇竜っ!」

「えっ?昇竜殿?!なっ、わぁ~~?!!」

俺の声に昇竜が閻忠の外套を咥え放り投げる。

そして、数歩前に進んで閻忠を背の上で受け止めた。

「・・・馬龍殿、強引過ぎです」

閻忠がコートを掴むのを確認すると程銀に一言だけ残す。

戻ってきた時に何か報復されるのは避けたいがため。

「布団の事は町に着いてからだ」

「えっ・・・?」

「それまでは我慢しろ。じゃあ、留守番頼んだからな」

そしてそれ以上の譲歩はしないと文句を言われる前に昇竜を走らせた。



時間にして一時間程度。

森の中を一先ずの道を確認しながらだったが昇竜は概ね機嫌良く駆けて抜けた。

悪路の可能性あったが思いのほか良好。

森の中に不穏な気配も感じない。

これならば馬車を引いた状態でも早く森を抜けられるだろうと安堵した。

森を抜けた後も見える限り平坦な道が続いている。

路面問題は解決したがひとつ嫌な予感を感じた。

それは昇竜の不満が解消し、程銀の元へ戻る最中に起きた。

森を引き返す時に感じたそれに昇竜の速度を落とす。

「馬龍殿?どうかされたのですか」

「・・・・・・」

閻忠の言葉に返す前に瞳を閉じて前方の様子を探る。


 人の気配・・・だが、随分と・・・


集中して目に見えない人の気配を探るがはっきりしない。

人数は程銀を含めて3。

だがそれ以外がわからない。

見知った者の気配ならば容易に捉えられるが知らない者となるとそれが出来なくなっている。

これも肉体が変化した弊害の一つなのかもしれないが、これは感覚として習得しているもので勁力を扱うのと同じ。

扱う事のできていた感覚に靄が掛かっている。

西涼にいた頃は身体の異変に慣れていないせいだと片付けていたが、その頃に比べても今はそう感じるほどに鈍くなっている。

 

 

  『立月の猟犬』


かつて俺の呼ばれた戦場での通り名にして忌み名。

『閻王』と呼ばれた師匠に比べれば取るに足らない名ではあったが俺が戦場ですることの出来た全てを称するに足る名前。

どこであろうと、どこまでだろうとも敵を追い駆ける。

それは俺の”鼻”があったから出来た事だ。

それは気配として俺に告げる。

相手の数、特徴、状態を。

そして、瞳を通して勁力を判断し戦い。

牙を爪を、持てるもの全てで・・・殺す。

それこそが俺が”猟犬”と呼ばれた由来。

だがそれは綻びを見せた。

意識していなければそれほど詳細な情報は伝わらないが、それでも比較感じ取りやすい性別を違える事など一度としてなかった。

それが半月以上一緒にいた相手ならば尚の事。

それを俺は勘違いしていた。


 俺は・・・ 


棚上げにしてしまっていたそれは唐突に棚から滑り落ちてきた。

俺の思考はこの世界に落ちて初めて抱いた違和感、ようやくそこにたどり着いた。


 この身体は・・・・・・


常識に囚われていたのは俺なのだと確信した。

そして、在り得ない仮説がそこにはあった。

 


どれだけ気配を集中させても一向に以前のように感覚は働かない。

「ふぅ、程銀がなにやら問題を抱えてくれたらしい」

「程銀殿が?」

気配を読み取るのを諦めて閻忠に答える。

程銀の傍にいる気配はその場で留まっている。

ならば、俺達の戻りを待っていると言う事だ。

問題事は避けていたいがあそこに戻らなければいけないらしい。




「あっ遅いよ、二人とも」

程銀が手を振って俺達を呼ぶ。

いつもどおりと言えば楽なのだが俺の感じたとおりその傍には二つの人影があった。

「まぁ薪を集めながらだからな。何かあったみたいだがそこの二人はお前の知り合いか?」

単刀直入にそれを問いかけると二つの影は前に進み出て俺達に一礼した。

「私は陳珪と申します。この子は陳登」

「・・・陳登です」

まだ若い女性とその・・・多分は娘だと思える少女。

それは二人は良く似た淡い青の髪だというのと今までの経験則から。

陳珪と名乗る女性は笑みを作り名を告げ、少女は目線を合わせないまま俺に名を告げる。

「俺は馬龍と言う、後ろのは閻忠。二人はこんな場所でどうしたのだろうか?」

一先ずは昇竜から降りて二人に名を名乗る。

今はまだ名を伏せておきたいが自然にそう返すしかないし、恐らくは俺がいないうちに程銀が俺の名を教えてしまっているだろう。

「二人は沛国に戻る最中みたいなんだけど、乗ってた馬が怪我しちゃったみたいで困ってるんだよ」

「それでお前は”馬龍に任せれば大丈夫だよ”とか言ったのか?」

「うん!」


 あぁ、元気で良い返事だなぁ~この黒猫さんは


程銀の口から事情を理解したがあまりに歓迎できるものではなかった。

「あの、ご迷惑でしょうか」

見事までの上目遣いだった。

いや、怖いまでに見事だったと感じる。

俺の中でこの女性への警戒が高まった。

「ここは街道から少し外れている。そんなところを二人きり、というのに少々興味がな。差し支えがなければ教えてもらえないだろうか」

「それは・・・この子の病を医師に診察していただいた帰りなのです」

女性は幾分かの間のあと答える。

その裏を読むべきかと思考をまわしながら二人を観察し、一先ずは女性に合わせて会話を進める事にした。

「病?その医師のところへ行くのにここが近道だと判断するが・・・」

「えぇ、それほど距離はなかったのですが少々考えが甘かったようでお恥ずかしい限りです」

年若いというのに妖艶めいた笑み。

まるで計算づくと思える程に保護欲を駆り立てる女性の仕草。

それは楼杏とは真逆のような立ち振る舞いのように感じた。

「馬龍~この人たちは困ってるんだよ、助けてあげようよぉ」

程銀はその仕草に飲まれたのだろうか。

このまま見捨てるわけにもいかないがもう少し素性を知っておく必要はある。

俺の持てる判断材料はないに等しい。

程銀が先に提案を受けているように見える事から二人の面倒を抱えるほかないのが現状。

溜め息が漏れそうになるのを堪えて少女の様子を伺う。

その顔からは覇気を感じず、病み上がりだと言われればそうとも取れなくはないが見る限りでは平常といえる。

「しょうがない。急ぎで戻りたいと言われるのであれば悪いが協力しかねる。だがこちらの道程に合わせてもらえるならこの森の先の町までならお送りしよう」

「はい、そこが私達の町ですし。娘の病も落ち着きを見せていますのでご一緒させていただけると助かります」

あまり好意的な返答ではないと言うのに女性は満面の笑みで俺の提案を飲む。

ならばこちらは向こうの出方を伺うしかない。

少々疑心暗鬼が過ぎるが賈クが稼いでくれている時間を無駄にしてしまう要因には注意するべきだ。

「だったら荷は馬車の中に。あと馬の怪我を見せてもらいたいんだが構わないだろうか?」

「それは構いませんが・・・馬の怪我をですか?」

「馬龍は西涼の人だからね。きっとその子すぐに治しちゃうよ」


 はっ?!こ、こいつは・・・・・・。こいつも治療が必要か


俺が答える前に程銀は胸を張りながら俺の素性を晒す。

後で程銀に教育的指導と食事療養をする事を心に決めた。

そんな風に考えながら考えなしの程銀に頭を痛めていると陳珪は俺の顔を見て呟く。

「西涼の・・・。ではお任せして宜しいでしょうか」

「まぁ期待はしないでくれ。応急処置が精々だ」

それに程銀の言葉を訂正するように答えた。




閻忠と程銀が手を貸して荷を馬車へと移す。

それを傍目で確認しながら一先ず彼女達の馬の具合を診る事にした。

見た限りで右前足の捻挫。

骨折ではないがその状態で歩いていたのはいただけない。

この状態から疲労で骨折でもすれば馬として致命傷。

馬車の中から治療道具を取り出して応急処置を行う。

あくまで一時的な処置、町に行くまでそれで凌いで後は安静にすれば完治するだろう。

包帯代わりにした厚手の布を幾重にして巻き終えてひと段落と立ち上がる。

「これで大丈夫だが走る事は出来ないからな。あんまり無茶するなよ」

そう言って馬の首を撫でているとふいに視線を感じた。

「えっと、陳登だったか。どうした?」

「・・・・・・」

少女が無言で俺の顔を見つめている。

「え~っと・・・・・・」

「・・・・・・」

子供の瞳と言うのは無垢すぎる。

その裏も表もどうして良いものか読みきれない。

「荷を運び終えましたがそちらはいかがで、しょう?・・・何をしているのです馬龍殿」

陳登と見詰め合う形で静止していた所に閻忠がやってきた。

気まずい空気が流れていた所、閻忠に向き直り流れを取り戻す事にした。

「あぁ、閻忠か。こっちは大丈夫だ」

「その・・・陳登殿に何かしたのですか?それならば義真様に報告する事になるのですが」 

「俺は何もして・・・」

「馬と話してた」

面倒になる前に否定しようとした俺の言葉の上を少女の言葉が越えていく。

「馬と、ですか。まぁ馬龍殿ですからね。それだけでしょうか?」

飛び越えた言葉に閻忠は向き直り失礼な物言いで納得した。

「馬と話してた。ぼく達の言葉、馬には伝わらないのに」

「陳登殿、確かに馬は私達と同じ言葉を話せません。ですが気持ちと言うのは伝わるのですよ」

「気持ち・・・?」

「えぇ、ですから馬龍殿はその言葉通りの気持ちを伝えていたのでしょう」

そう言って閻忠は馬の方に目線を送る。

すると馬は一鳴きして俺に頭を擦りつけてきた。

その姿を目を丸くして見ていた陳登が近づいてきて、丁度良く低くなっていた馬の頬に手を伸ばし触れる。

「・・・ありがとう」

怪我をしたまま陳登達をここまで乗せてきた事を感謝しているのか、その言葉に反応して俺を解放して自身の頬を陳登の頬に擦り付ける。

陳登はそれをくすぐったそうに受け止めて何度もその頬を撫でる。

「んっ・・・伝わった」

あまり表情には出なかったが陳登は微かに笑ったように見えた。

「残念です。義真様に報告する事はなさそうです」

言葉とは裏腹に閻忠は笑顔を向けて俺に言う。

「皇甫嵩さんにはなくなったみたいだが、俺にはあるからここに来たんじゃないのか」

「そうでした。荷を乗せ終えたので後は野営の支度になるのですが、少々雲の様子が気になりましたので”屋根”はいかがしましょうか」

閻忠が俺の元へ来た理由を聞けば雨の心配だったらしい。

空を見上げてみれば先程に比べて雲の量が増えている。

「そうだな。気にはなるか」

朝方確認した時より変化している天気を再度確認する。

空を見上げ雲の形と風の流れを確認し、目を閉じて空気の肌で感じ取る。

それで雨にはならないと思えたが子供もいる事から念には念を入れ、地面の状況を手を触れる。

「・・・大丈夫だな。朝に比べて少し風向きが変わったみたいだが明日位までもつ、降るとしたら二、三日後だ。気になるなら屋根は出しやすいようにしておけば充分だろ」

「了解しましたではそのように。それから程銀殿がなにやら馬龍殿に用事があるようです」

閻忠は俺の言葉を聞くと嫌な一言を残して馬車の方へと戻っていった。

「まったく、あいつがいるだけで持て余す暇がないな」

やれやれと後頭部を掻いて閻忠の後を追うように程銀がいる馬車の方へ足を向ける。


クイッ


前に踏み出した瞬間コートの裾が何かに引っかかった。

「どう・・・したんだ?」

引かれる感触に振り返れば陳登が俺のコートを摘んでいる。

そして予想以上の光景に驚き声が上ずってしまった。

というのも眼鏡から覗く瞳が俺をジトリと見つめる。

先程見せた僅かな表情の変化からは到底思考が及ばなかった。

「・・・・・・」


 なんだろうか・・・・・・


ただただ無言の眼差し。

睨まれていると表現したほうが近いそれにたじろぎながら少女を観察し返す。

「・・・・・・」

陳登からは声が発せられる事はなく、無言のままに俺を観察している。


 気まずさ再びっ・・・?!


どうしたものかと考えても至って俺自身は普段どおりだ。

試しに馬車の方へ一歩進めばジト目のまま陳登もそれについてくる。

俺を止めるために摘んだわけではないのなら一先ずは保留と決め馬車へ向かった。

そして、向かった先にいた程銀から「今日はお客さんがいるから」と始まった晩飯の交渉だった。

大したことでもない内容に溜め息を吐き項垂れている最中も陳登の視線は俺を突き刺す。


 やりづらい・・・ひどくやりづらい・・・





陳登にどうやって、どんなことを聞くべきかと思考を巡らせても首を捻らせるばかりだった。

「そ、そう言えば野営について珍しく閻忠からの提案だったが」

そして逃げた。

というよりも結果出したのはやはり保留だった。

閻忠や陳珪さん、閻忠には話しかけることはあったのだが俺と目が合うと再び観察するように見られるせいで声を掛けるタイミングを失うからだ。

「それは最近日中での鍛錬ができませんでしたら・・・そのご指南をいただけないかと」

閻忠の提案のは理解できる。

穎川から急いで離れるために道中では町への滞在を控え野営続けていた。

それゆえ程銀は布団への不満があったのだろうし、閻忠は閻忠で鍛錬の時間を取りたいという不満があった。

思考をいくらかまわしてみたが少しばかりの不安要素が顔を出す。

それはあの陳珪という女性の存在、それが気がかりだった。

ここで言う普通の民、一般的な母親というには少々身奇麗すぎだ。

武人だったり諜報活動をしている人間のような特徴は感じられないが今は用心しておくに越した事はない。

「沛国に入ったら時間も取れるだろうからそれまでは日常生活の勁測に慣れるのが先だな」

「そう、ですか。馬龍殿の言う事ですから必要な事なのでしょうが・・・」

「閻忠の場合、順序を変えてしまったからな。最初はゆっくりとした動作の反復。緩やかな素振りや足運び、辺りの勁力を意識するような一人での鍛錬になる」

閻忠に言うそれは間違いではないが気になる瞳が増えすぎたのが一番の理由だった。

武術の秘匿は後における優位性に繋がる。

それは自身のためであり、閻忠のためにもなる。

「そうなのですか?確かに緩やかなものは難しいですが・・・」

「気になるところは口を出すから、それに相手をするなら程銀あたりに頼むと良い。俺のような同じ系統の武より違う相手の方が実戦では役に立つ」

俺の言葉に「わかりました」と答えながらも閻忠は残念そうな顔をして剣を片手に馬車を出て行く。



馬車の外、少し離れた場所。

何度か動きを確認しながら納得のいかない顔をしている閻忠。

だが勁測を覚えてまだ半月もしていないのだから上出来、その動きは様になっている。


 やはり、実戦・・・あの武人殿と戦わせたのは正解だったか


上達の要因たる人物の顔が思い浮かぶ。


 賈クは苦労しているかもしれないな。あっちも上手くいけばいいが・・・


通信機器でもあれば董卓達に状況を確認しておきたいのだがこの不便さの対処も考えなくてはいけない。

「あの~馬龍さん、少し宜しいでしょうか?」

そんな風に思考を回しながら閻忠を眺めていると、ふと声を掛けられた。

それは俺の背後に立っている陳珪から。

「程銀と話していたと思ったが、どうされた?」

「改めてお礼と少しお話を出来ないかと思いまして」

社交辞令というものだろうが陳珪は一度深く頭を下げる。

「礼なら程銀に言ってくれ。こんなところじゃ満足な応対も出来ないからな」

「それでも大変困っていたところですから、それに馬の怪我も見ていただきましたし」

「あれは俺がしたくてしただけだ。それより話と言うが何か気になる事でもあるのだろうか」

「気になる事、というわけではありませんが少々世間話を出来ないかと」

そういって陳珪は俺の隣に立ち俺の顔を覗き込む。

興味を向けられているという部分では陳登と同じだが瞳から感じる性質は違う気がする。

「世間話、ねぇ・・・」

そう言葉を漏らして陳珪の顔をちらりと覗き見る。

あくまで気がする、その範囲を抜け出さないのが彼女にどう接するべきか思考を余計に巡らせる。

「失礼ながら馬車から治療風景を拝見して見事な手際だと思いましたが西涼では何をされていたのでしょうか」

流れとしては至って普通の問い。

だが彼女の質問は俺の存在を射抜くに充分すぎるものだった。


 さて、どう答えたものか・・・


 ただ飯喰らい?いや、それじゃ体裁が悪すぎるな


 料理番をしていたから家事手伝い・・・ではニートと変わらないか


 軍・・・には所属していないか 


出自は問題なく証明してもらえるのだが、身分と言うものがない俺ではこう言った場合答えに困る。

更に状況の変化した今”馬騰”紅姉さんの名を出すのは良策と言えない。

「西涼では・・・農学を少し学んでいた。馬の治療はその時覚えたんだ」

彼女が白とわかれば必要以上の警戒をしなくて済むがそれまでは、と紅姉さんの名を伏せて会話に応じる事にした。

このような不測の事態に紫庵に助言をもらっていた。

多少の不便はあるが、これならば幽州の学者の元へ向かうにもそれなりに言い訳が立つと。

それでも不安はある。

それが悟られないように陳珪の反応を確認する。

「成る程・・・それであの手際の良さというわけですか。私はてっきり医師をされているのかと」

「多少の知識があるだけだ・・・」

陳珪の顔を見ればとりあえずの納得。

しかし、このまま流れに任せれば質問に答えるばかりになると直感が告げた。

「そういえば、あの子は診察を受けたと言っていたがどんな病なんだ?」

「え~っとそれは・・・その、何と言いますか」

初対面の相手、その俺に話すにはプライベートな内容かもしれない。

それとも笑みを作りながらも警戒をめぐらせているからか。

だが、これはこの地に来て学んだ。

引いてばかりいては押し切られてしまう。


 元よりあまり押しの強い方じゃないが・・・押してみるか


「言いにくいものならいう必要はないが、晩飯の内容を変える必要があるかもしれない。食事に関して医師から言われていないか」

「確か・・・生魚には気をつけるようにと」

旅の最中気にしてはいたがこの時代、衛星面がまだまだなのだとわかった。

名を忘れたが食あたりが死因の武将だか軍師がいたという話も聞いた気がする。

「生魚か。という事は食あたりだろうか、まだ本調子でないなら消化しやすいものが良いか、薬をもらっていたりは・・・と?」

「・・・・・・」

分かる限りでの配慮を口にしていると陳珪の瞳の輝きが変わる。

笑みは崩さずにいるがその瞳は光りを感じないほどに鋭く冷たい。


 親子だな・・・視線が突き刺さる


陳珪はやや顎を引いた形で視線を俺に向けた。

彼女の不審を招くのは理解していたが彼女の反応を見るためだ。

「薬が出ているなら、食材によっては効果を薄めるものもあるし寄生虫が原因なら死に至る事もある」

「貴方は・・・本当に医師ではないのですか」

「俺に人の命は救えないさ」


 俺が救えたものなどない・・・だから・・・


「ですが、あの先日診察された際に言われた事ばかりを言われます」

少し低めのトーンで陳珪は質問を口にした。

「料理人を目指していた事があるからな。食材に関しても知識はあるそこらのヤブ医師よりはマシかもしれないが・・・」

「知識だけじゃないよ!」

「っ?!」

油断していた。

また馬車で陳登の相手をしていたと思っていた俺と陳珪との間に程銀が顔を出し、遠巻きながら陳登の視線も感じる。

「と言いますと?」

「馬龍の料理は凄いんだから。あたしが食べてきた中でも一番美味しいし!多分涼州一だね」

そう言って程銀はお決まりのように胸を張る。

だがその姿をお構いなしに陳珪の瞳は俺を見つめる。

「ですが、料理人でもない」

「そうだな。目指していた、それだけだ」

目指した先にあった光景はいつでも俺の脳裏を横切っていく。

横切って、横切って、横切って。

次第に擦り切れたようにノイズが混じり、今では黒く塗りつぶされてしまった辿り着く事のない光景。

それはかつて描いた未来なのか、塗りつぶされた過去なのか。

それを確かめるための旅・・・なのかもしれないとこの道程で幾度も思い知らされた。

そして、この陳珪という女性。

今、目の前にいる彼女の瞳の奥底から只者ではない気配。

それはこの出会いも必然だったのかと俺に感じさせた。

「失礼を承知でお尋ねします」

「答えるとは限らないが、聞くだけならいくらでも」

作られた笑みに作った笑みを返し言葉を待つ。

鼻先が疼いた。

ここは既に彼女の間合いの内。

陳珪の領分はこちらだと遅まきながら彼女の正体に思い当たるものが現れた。

「紅は元気にしていますか?」

「さぁ、西涼を経ってしばらく元気でいてくれれば喜ばしいが。その馬騰殿より旅に出る前に沛国の相に会ったらよろしくと言われていたが、俺はどのように伝えるべきだろうか」

突然の名を口にした陳珪だったが先にあの瞳の深さに気づかされなければそのまま黙していた。

「・・・・・・ふっ、ふふふふっ」

陳珪は黒い笑みから一変して笑い声漏らした。

「やはりに西涼の人間は侮り難いようです」

「大いに侮ってもらって結構、そちらの方が俺としては都合が良い」

ただこのまま旅の者などと名乗っていてもよかった。

だがこの出会いが必然なのであればと算段を組み直しが必要となった。

「正直に言わせていただけるのなら戯れに少し驚かせようと思ってみたのです。ですがさすがは西涼の馬騰の身内」

「そう言ってもらえるのなら俺の問いに答えてもらえるだろうか。俺はどのような言葉を送るべきか」

侮っていたというのは確か。

だからこそ陳珪は自身の身分を名乗らなかった。

名乗らずとも利用でき、名乗らなければ利用されない大まかなところはその辺りだ。

「そうですね・・・」

陳珪は俺の問いに少し首を傾げて思考をめぐらせた。

その仕草にはまだまだ余裕を感じさせる。


 まったく、ここはみんな羊の皮を被った人間だらけだな


俺を侮ることやめても余裕をなくすほどではない、それが彼女の評価なのだろう。

「では、良き日、良き出会いを祝して握手を求める。と言うのはいかがでしょうか」

そう言って陳珪の右手が差し出される。

「良き日・・・」

「えぇ、良き出会いになる事を願って」

彼女は俺の言葉に続けて笑みを返す。

この手を握れば必要な間合いが詰まってしまう。

俺の中では未だ彼女を白と確定できていない。

だが、それでも彼女の言葉の裏を読むとしたのなら敵対を望むものではないと言う事。


 その上で張温がらみとは思えない位だが・・・まだ・・・


「馬龍、なんか難しい顔してるねぇ」

「少し黙っ・・・」

ガシッ

「って?!」

程銀は俺の手を掴み取って無理やりに陳珪の手と繋げた。

「これで良し」


 良くない!!俺の選択肢だ!なんでお前が・・・


「っ・・・はぁ~~」

程銀に対しての文句をぎりぎりのところで押し留めてため息を吐き出した。

「良き出会いになることを祈ろう。俺は西涼の馬騰の弟、馬龍。字を雲成と言う。改めて名を聞かせてもらえるだろうか」

陳珪の手を握らされたまま彼女の顔を見つめてそう切り出した。

そして予想外の顔がそこにあった。

陳珪は唖然とした表情で俺を見返したからだ。

「・・・貴方はそれで宜しいのですか。流れのままこの手を取る事を良しと?」

「おかしい事を言う。まぁその気持ちはわからないでもないが、必然・・・だと感じてはいた。なら貴方の良き出会いとして手を取るのは悪い事じゃない」

俺としては情けない形ではある。

程銀に無理やり、そのせいで気の利いた言葉一つ言えなかった。

「貴方ほどの方が西涼にいたのですか。どこに隠れていたのか気になるところです」

「親しくなったのなら話す機会はいくらでも、答えになっているとは限らないが」

「ふふふっこれほど変わった方と出会うのは久方ぶりです。遅まきながら返礼を・・・我が名は陳珪、字を漢瑜。沛国にて相の役に就いています。以後、友好で在れることを望みます」

少々きりすぎた見栄に笑みを加えると陳珪は改めて名乗り握る手を強く引きよせた。

急に引かれた身体が彼女との距離をぐっと縮めた。

「そしてもう一つ良き出会いであったことを祝して・・・真名はトウと申します」

「いっ?!それは!」

脈略のない突然の真名。

そしてその意図を理解するよりも先に危険な存在が頭の中を横切り・・・。

スッ

横切った先から静かに首の横から刺し込まれる白銀の輝き。

「馬龍殿?私一人のけ者にして何を話されているのでしょうか?」

背後には閻忠。

首筋には鍛錬用にと貸している自身の剣。

声色は穏やかだと言うのに視界の横にある剣には随分と荒々しい勁力が込められているのが見て取れる。

「親睦を深めるのは宜しい事だと私も思います」

「思うのなら・・・」

「思いますが。何故陳珪殿は真名を口にされるのでしょう?馬龍殿、お答え次第では義真様に報告する前に私が・・・」

言い訳は遮断され、閻忠に強引に主導権を取られる。

多少なりと気を逸らさないと俺の首が危ない。

「これは、だな」

「これは、なんです?また義真様以外の女性から真名を受け取るのですか?友好であるのなら必要以上の親しさは必要はないかと」

見ずとも分かる閻忠の瞳が王蟲と化しているのが。

攻撃色に染まったあれは程銀以上に厄介な相手に変化する。

「あはっあはははは・・・と、失礼しました。閻忠さん、私には番いがおります。他者の想い人を取るような事はいたしません。これは先に身分を語らずにいた私なりの礼の取り方ですから」

「ですが、しかし、真名とは・・・」

「真名は信頼の形。そして親愛の形であることは重々承知です。ですから私は信頼の形として真名をお伝えさせていただいたのです。私が馬龍さんの真名を求めるわけではありませんから、どうかその剣を収めていただけませんか?」

攻撃色を纏った剣から急激に勁力が失われゆるりと引っ込んでいく。

そしてほっと一息吐き出して陳珪を見ればクスッと小さな笑みを浮かべている。

有言実行というか有志実行。

俺を驚かせると言う部分において彼女は見事成功させている。

「ふぅ~一段落か。とりあえず話を戻したいんだが?」

「えぇ、構いません。貴方方の関係性も見れましたし」

それは気になっていたのだろう。

口に出して説明すれば酷く面倒な関係だ、結果ではあるがこの形が一番理解しやすいのかもしれない。

それが計算づくなのかそれとも本当に結果論なのかは陳珪のみぞ知るところ。

「えっと、魚での食あたりなら丁度良い食材がまだあったはずだ」

「それで薬でしたね。それでしたらこちらを処方されました」

懐から小さな紙袋を取り出しそのうちの二つを手の平に乗せる。

それは赤と白の色違いで同じ三角形の紙包みだった。

「薬の成分だったり原料を医師から説明されては?」

陳珪は小さく首を横に振る。

「赤が虫下しの薬で白が痛みを抑えるものだという事だけ」

中を確認させてほしいと告げると陳珪は包みを静かに開いてみせる。

そこに顔を近づけて臭いを確認してみる。

「ん?!・・・これは」

「どうかされました?」

閻忠が訝しげに俺に問いを投げるがその視線よりも医師への興味の方が勝った。

俺が疑問は臭いから判断した薬の効能はとても弱いものに思えただけ。

薬のおおよそが小麦で残りが本来そのまま薬として処方されるものだ。

だが状況を整理すれば辿り付いて然るべき事だった。

紙袋の大きさから量を推察するに充分な量はがある事からぼったくりとは言えないだろう。

小麦はあくまで陳登の身体はまだ幼いことから、これをそのままの量で処方したら負担が大きいだろうとの配慮だ。

そして、一番の肝は陳登の今の状況。

元の具合の程度が分からないが郡の重役の陳珪自身が馬に無理をさせてまでその医師の下へ行く事態、軽度だったとは考え難い。

しかし、施術を受け幾ばくもしていないはずの陳登はこうして俺を睨みつけるような視線を送れ・・・平然としている事や自身の足で歩き何処にも苦痛を感じさせる様子がないのは気がかりだった。

「医師は陳登にどんな施術をしたのか聞かせてもらえないか」

「確か、針を使っていました。ごとべいど・・・と言っていた様な」

虫下しに鍼を使ったと言うのは珍しいと言うか非合理的だと思うが事実で言うなら俺の既成概念が間違っていたのだろうか。

「ごとべいど~。なんか変な名前だね」

そして程銀が繰り返すように口にした気になる単語。


 ごとべいど?・・・またどこぞで聞かされた気がする単語が、正史にもあったものだろうか


だが陳珪の煮え切らない答えも気になる。

理知的な彼女が聞いていたのならはっきりと言い切ると思った。

「随分曖昧だな」

「この子が苦しむ姿を見て私も少し気が動転いたのかもしれません。しかし何故そんなことを?この薬では何か問題が・・・」

「いや、問題ない。かなりの名医だと見える」

「そうですか、やはり」

未だ陳珪の答えが煮えきらず首を傾げると陳珪は言葉を続けた。

「実は名医がいると聞き陳郡まで向かったのですが、その医師は不在だったのです。娘の診察は尋ねた医師の弟子と言う方が・・・正直最初は待つつもりでいましたがいつ帰るかわからずその方に診るだけでもと言われ」

「そうか。だがこれだけ的確な処方が出来るなら名医といえる部類になる」

「私もこの子の容態がすぐに良くなったのでその方が名医なのかと疑ったくらいです。名を確か・・・”華佗”と」

「華佗?!!」

思いも知らない名前につい大きな声を上げてしまい俺以外の視線が突き刺さり、はっと我に返る。

「馬龍殿のお知り合いで?」

「いや、違うが・・・そうだな」


 『神医 華佗』。この時代にいたのか


「その医師は決して失われてはならないほどの腕の持ち主になる。その縁大切にしたほうが良い」

「へぇ~馬龍が断言するくらい凄いんだ」

「処方された薬の配分や施術を聞く限り道を違えない限り名医になるのは見て取れる」

断言出来てしまえる。

俺が知ってる部分だけでもこの時代では神医と言えるのだ。

後にその存在は俺にとって有益となりうる。

「どこがどう凄いのか聞きたいな」

「私もお聞きしたいです」

「母さんが聞くならぼくも」

「鍛錬を見て頂けそうにないようですし義真様のため本日の鍛錬は諦めましょう」

そして一様に俺の周りに鎮座してしまった。

我ながら華佗の名を聞いて少し高ぶりを見せてしまったのが要因。

「夕飯の準備があるから少しだけだ」

そこから始めた仮説まじりの説明大会。

身振り手振りとまではしなかったがわかりやすく噛み砕き、文字通り四苦八苦しながら陳珪達に俺の理解できるまでの範囲を答えた。


思いもしなかった名前だった。

そして、華佗が三国志の人間だったのだと初めて知った。

何かが繋がりを見せている。

そんな素直な感想を思いながら都度都度巻き起こる辟易するほどの質問攻めを返し。

感情の制御もこれからの課題なのだなと実感して傾いていく太陽を眺めた。











NextScene

++易者なる者、探し求めた存在(前)++



かなり久々な気がします

解説と懺悔の時間です

いや~やばい

これは書きたいところの導入部だというのに色々と面倒事のオンパレード(私事が多いですが)

えっとまずは本編を少しだけ

陳珪さんにどうしたものかと悩まされた部分ですね。

老獪さというものを腹黒というか計算高い人として書きたかったのです

現状だと無理があるのでその片鱗をと書いてみても中々加減が難しい

言うなら言葉を選ぶたび本筋から外れてしまう

脱線したものがどれだけ突き進むのかと放置してしまうとルート崩壊の危機に直面することに

そして、華佗さん名前だけの登場

なんとか立て直せていればいいのですがさてはて


ですがようやくの沛国編(まだ到着はしていません)

色々と待機されている方々がいます

ここが言うなら第一ルートにおいて最後の関所

いろいろなものを残して解放しなくてはいけないのです



完全に蛇足


ようやく落ち着きを取り戻しつつある今日この頃

なんで作者は豆知識を回収しているのだろうか

雨粒の速さは時速100~200kmって何処で使えばいいんだろう




さて、次は長くなるので早々に次話行かなくては




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