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恋姫天衝 ~対極の御遣い~  作者: 雀護
・安定~
16/44

『新たな星』とは






++夢の、また夢を++






 夜の闇に一人の少年は空を見ながら。

 世界の話を天に向かって歌う。





  裂いた、空いた。世界の穴が。



  並んだ、並んだ。生と死の星が。



  どれだけ待っても。奇跡なき。



  笑った、泣いた。世界の星に。



  死んで、落ちた。一つの星が。



  無知で、未知の。最初の星は。



  正史の穴から、外史の端へ。



  始めと、終わりの、軌跡を描き。



  これから待つのは。奇跡かな。





 まるで、わらべ歌のような歌詞は世界に落ちた一人の男を示していた。

 まるで、全てを見通しているかのように歌われるそれはもう一人の訪れを待つように途中で歌う口を閉ざす。

 少年は暗闇に包まれる草原に胡坐をかいて座り、天に輝く数多なる星を眺める。


 「やっと着たよ。もう一つの星が」


 まるでそれは独り言ではなく誰かに語りかけるように歌を歌っていた口から世界へ語りかけられる。


「貴方は何を企んでいるのです?」


 ただ一人きりでいたはずなのにその言葉には知性を感じさせる男の声が返答する。


 「『生を司る』南斗の星それがようやく落ちてきたのさ」


 「なんとっ?!!」


 「くだらない駄洒落いってんじゃねぇよ」


 先程とはまた別の野太い声の男と思える声と成長しきっていないと思える青年の声。


 「ったく。一つだけでも面倒だってのに外部からの干渉されるなんてな。認めないぞ俺は」


 「その一つは貴方の責任なのですが、今回は別人みたいですから。貴方が憤る気持ちもわからないわけではありません。一体どんなからくりでこの外史に干渉しているのかは気にはなりますね」

 

 声の持ち主達は姿を現さないまま少年との会話を続ける。


 「君達に任せていた外史の剪定だけれど、今回は僕も参加しているという事さ」

 

 少年は特に面倒と言うわけでもなくその質問に答えるが、それは敢えて的を外すようで要領を得ない。


 「だから、私達はこの世界へはこのような形でしか侵入出来ないという事ですか。それでも私の求める解にはお答えして貰えていないようですが」


 「うふふー。まったくせっかちさんなんだからぁ。でも、そうねぇ焦らされちゃうとぉぉ・・・わたしの中の漢女がうずいちゃうのよねぇん」


「やめろ~っ!!!こっちを見るなぁ」


 「だぁれが見るだけで全て石化させてしまう揉み上げ蛇の化け物ですって~!!」


 新たな声の持ち主の異質な雰囲気に青年の声が悲痛の叫びを上げる。

 目に見えないはずの彼らの姿を見る事が出来ているかのように少年は笑みを浮かべる。


 「くふふふっ、まったく君達はそんなことだから僕の意識が覚醒してしまうんだよ。まぁ今回は無理やりに起こされたんだけどね」


 少年の笑顔は端から見て不気味と思えた。

 その年齢に相応しくないほどに含みのある笑顔はその裏側で一体どんなことを思い描いているのか。


 「でもさすがというべきかな、僕を起こすなんて。あれの相手は君達だけでは手に余るだろうし当然なのかな。世界意思が反応しちゃうくらいだしね」


 「あれとは何です?外史において私達の干渉を受け付けない者がいるとでも?」


 「あぁ、そうだよ。君達ではあれには対抗し得ない。だってあれは神を殺すために生み出された存在なんだから」


 彼らでは役者不足と断言しつつも含みを持たせて彼らに絡まった糸を解すように世界の現状を伝える。


 「それは、まさかっ!!しかし、私は彼奴を打ち倒した外史もあるのだ。世界の在り方に干渉されてしまうほど強大なものとは思わんぞ」


 確かに過去、いや別の次元にて打ち滅ぼした事は事実として存在し声の持ち主はその場でそれを経験している。


 「何を言っているんだい、君らしくもない。あれの元来の姿を知らないとでも言うのかな、あんなものを倒すくらい君達じゃなくても出来るさ。知性や制約を失ったあれは抜け殻同然だ。ただ体躯のでかい蛇と変わらないよ。問題はその肉体に魂が戻ってきたと言う事さ。平行世界を魂だけで飛び交っていたところをようやく仮初の肉体を与え封じ込めたと言うのに、それは君達の作り上げた結晶を利用して穴を開けこの外史へ星と共に落ちてきたのさ」


 結晶とは何をさしているのかその場に集まるものは皆理解をしていた。

 使い方次第では世界の在り方を改変してしまえる、それの行方を探し出すのも彼らの役割の一つ。

 欠片一つでも使う者次第では一つの外史に介入するくらいは容易に出来る。


 「肉体と魂が一体化してしまうという危険性は生まれたけど、それと同時にもう一つの可能性も生まれた」


 「もう一つの可能性だと?それが真の姿を取り戻し、俺達の干渉を受け付けないという危険性以上の可能性とはなんだ。お前の言い振りなら真の姿を取り戻せば神殺しが生まれると言う事だろう」


 「くふふふ。まぁ、確かに事実はそうなんだけど。それほど危惧するほどでもないのさ。新たに世界樹に干渉出来る存在が生まれる事に比べればね」


 「それがお前の言う南斗の星だと言うことか。だが、あいつ以外にこの外史の終端まで辿り着ける存在などいないはずだ。あいつはあの時に俺の作り上げたものをぶち壊すことで仮初の剪定者になったがあいつ以外あの場にはいなかったのを俺は知っているぞ。ましてや世界樹になど・・・。」


 「それは今までの外史ならと言う前提での話さ。飛散した結晶の一部は何かの手違いか別の枝に穴を開けてしまったのさ」


 「なぁんですって”穴”が開いちゃうなんて。それじゃわたし達のお仕事はどおなっちゃうのぅ」


 妙に穴を強調している声は言葉のわりには緊張感に欠ける声を上げる。

 恐らくは彼女?も一つの真実に辿り着こうとしている。


 「特に変わらないさ。元々枝葉には呼吸するための穴は開いているものだよ。まぁ今回開いてしまったのはそれとは別の傷に近いのかな。でも僕の管理できている限りでは空いてしまったのはその一つきりその穴ももう修復に向かっているから問題はないよ」


 まるで阿吽の呼吸のような会話。

 ただ状況を説明しやすいようにされた質問対しての答え。


 「それにこれは僥倖と言えるのだから、どちらかと言えば僕たちの仕事の手間が省けたんだ。これを利用しない手はないさ」


 「僥倖か確かに新たな可能性が想像しているものならばそうかもしれぬが。ふむ、しておぬしは何を考えておるのだ」

 集まる声の主達の中で一人自体を理解している声が少年に問いかける。

 そして、少年はそれを終えるとようやくと彼らに自身の考えを打ち明ける。


 「時を待つのさ」


 「待つだと、何故だ。あんたが覚醒している今ならこの外史の根元から切り落とす事だって出来るだろ」


 彼は少年の思考に憤りを覚えていた。

 他の者と違い声の印象どおりに若々しい感情を抑えることが出来ないようだった。


 「相変わらず物騒な事を言うね」


 どれだけの事態になっているか集まるものは理解している。

 もし、ここに写し実を得ているなら一様に眉間にしわを寄せているだろうがその真実を一番理解している少年だけはそれでも笑顔を崩すことなく天を眺める。


 「あんたがそう俺に役目を与えたからな」

 その姿を見えているのか悔しげに嫌味を含めて少年に言い返す。


 「そうだったね。でも今は待つ事しか出来ないんだ。確かに僕の力を使えばもう一つの星が落とさずにこの外史を閉じることは出来る。でもね、それは今回の事象が起きなかったらという前提の話。今は難しいのさ」


 「難しい?何故です」 


 「ふむ。もう少し自分で考えて欲しいものだけれど、今回の僕は少しおしゃべりだから特別にもう少しだけヒントを上げようか」

 やれやれと小さな溜め息をついてから少年は草原に背を預けてより広い視野に夜空を捉える。


 「今回入り込んでしまった異物が大きすぎるのさ」


 「神殺しのことですか」


 「そう、でも神殺しと今のあれを呼ぶのは少々語弊がありそうだね、これも行幸の一つといってもいいかな。今のあれは仮初の肉体の影響を引き継いでいるし南斗の星の影響も受けてその存在理由は若干の変化をしているからね。」


 「どうせお前の仕組んだことだろ」


 「いや違うよ。僕の影響の範囲でも別の枝木に影響を与えるにはそれなりに手順が必要だからね」


 そう言うと両手を頭の後ろで組んで青年に遮られた続きを語りなおす。


 「さすがにあれほど大きなものがいればただ切り落としてしまうと他の枝にまで影響を与えてしまう。幹を傷つけるのは君たちだって望むべきところではないだろ」


 「切り口からまたあれが別の枝に落ちてしまうという事ですか。別の枝に落ちるだけならばこちらへの影響が少なくなると思いますが、大樹の幹が危険に晒されるのは感化できないですね」


 「ふむ。だが彼奴がまた穴を開けてしまう可能性もあるだろうに」


 危惧すべき事が大きすぎる。

 大樹の幹、それは文字通りに世界の根幹である。

 それらの危険性を排除すること。

 大樹の成長の妨げになる枝葉を剪定する理由。

 そしてもう一つは大樹を成長させるに足る枝葉をより太くする事。

 それが元来彼らの生み出された存在理由である。

 故に彼らはあれと呼ばれる神殺しの存在を無視する事は出来ず、渋い声の持ち主は更にその危険性は口にする。


 「それはないさ。元来あれは天への穴を塞ぐ存在。それが穴を開けるという矛盾存在になってしまったが、それは今回きりさ、まぁ、死滅させる事しかしないあれは今回南斗の星の『生の力』を得ている証明なのかな」


 「矛盾存在か。なんとも得難い存在が落ちてきたものよ」


 「あれは南斗と全てを共にしているからね。彼自身ももしかしたら矛盾存在としての価値があるかもしれないね」


 「して、私への返答はどうなのだ」


 「もう一度穴を開ける可能性はないよ。南斗の星がもう一度境界面に晒されればその魂は耐える事は出来ない。下手に手を出してしまうとあれが南斗と別離してしまう危険がある。その時は境界面からあれは別の枝へ逃げてしまうだろうね」


 「もし、無自覚に穴を開ければ南斗と一緒に境界面に消滅してしまう。けれど、こちらから南斗への干渉を起こせばそれに反応して別離してしまう、という事ですね」


 「そうさ。それに境界面に消えるなら大樹への影響は皆無だけど、それ以外に関してはこちらから打つ手はないという事だね。時間の流れに身を委ねるのが得策さ。それにもし君達が危惧する結果になっても、その頃には枝葉は細くなっているから充分こちらからあれを制御できる」


 「制御、か。出来ればいいけどな」


 「出来るさ。細い枝葉なら跡形もなく消滅させる事だって出来る。まぁ、そんな結果になってほしくはないけど。でもまぁ、そんなに気になるなら鈴と枷の一つでもつけておこうか。ただ見てるのもつまらないからそれくらいだったら”仕事”してもいいかな」


 「当面の危惧はそれで察知すると言うことか・・・。だがめんどくさがりで今の今までこの外史に出てこなかったお前がそこまでして何を待っている」


 「う~ん。ここまで話せば理解してもらえてると思うんだけどそんなに僕から話さないといけないかい」


 聞けば答える少年の解で青年にも少年の思考への心当たりは出来ていた。

 だが、青年はそれでも満足しない。


 「あぁ。はぐらかされているだけと言う可能性も”否定”しきれないからな」


 「仕方ないねぇヒントだけって言ったのに。大まかに言うなら『北斗の星』『南斗の星』が揃えば生まれるのさ」


 「生まれるってなんなのかしらん?」










 「それは・・・・・・」









 少年の解は声だけの存在の全てを驚愕させた。





 「おしゃべりはこのくらいにしようか。そろそろ時間切れだしね」


 「ちっ。勝手に口を開いたくせに勝手にその口を閉じるのか」


 「話す事は話したはずだけどなぁ。でもこればかりは仕方のない事なんだ、諦めて欲しい。元来僕はこの世界で覚醒する事は出来ないのを君達の干渉力をかき集めて無理やり起きている状態だからね」


 「貴方の力が大きすぎるせいでしょう」


 「僕が眠りにつけば君達もそのうち干渉も可能になるかもしれないんだからしばらくは好きにさせて欲しいな」


 「ふむぅ。どちらにせよ我らが出来る事も限られておる。それまで選択の余地は南と北の星に”託す”と言うことか」


 「そうねぇん。ご主人様はともかく南斗の彼はどうなのかしらん。ご主人様が来るまでは彼の外史みたいなものだしぃ」


 「確かにしばらくは彼次第のようですね。私たちがどれだけ危惧しようが干渉出来ないのでは静観するしかない。ならば私はそれが”面白いもの”であればそれで良いと思います、あまりくだらないものでは虫唾が走りますから」


 「ふふふふっ、問題はないさ。彼には鈴と枷をつけるって決めたし、もう一人の僕が彼と接触すれば自ずと彼も自身の存在理由に気づくさ。その時には面白いものが見れるかもよ。それに君達がご執心の彼も程なくこの外史へ降りてくる」





 そういうと少年は目蓋を閉じる。








 「じゃあ、物語の続きを見届けようか」

 










 少年は広大な草原の上で一人夢の続きを見る。
















NextScene


++夢占が見せた、悲痛なる現実++




例によって解説と言い訳の時間です


まず最初に言いたいというか泣きたい

某漢女さんの口調って書こうと思うとバリ難しいなんだか不自然さが残る気がする漢女力が足りないのでしょうか


えっとそれからまぁぱっと見、文字だらけです

いや小説なので文字だらけなのは当たり前なのですが印象としてそう感じていしまうほど文字がひしめいている気がします。これはなんだろう直しても変わらないのかな。

もう少し勉強してみますが、今はこれが精一杯かと。

内容は変えずにどうにか見せ方を変えられないだろうかと悩みながらのUP。

活動報告にも練り練りする時間が必要だとか書いてはいましたが・・・。

行間か?うぅぅむ何度か書き直してみたのですがなんだろう。

ただまだちょっとどころではない修正の必要があるかもです。

作者自身内容に何か不満があるというより書き方。

内容自体をいじるつもりはないので話に支障はないです。


久々?に解説めいた事を書くならば

今回はとある外史の管理者の話です。

今回の登場人物敢えて名前を出していないですが誰が誰だかわからないって事になっていなければ幸い。

あとは複数人での会話パートなので表現かなり少なめ・・・なはずです。

公式の設定としては存在しないのですがその正体は実は、と作者が勝手に解釈しているので誰がこの少年なのか、もしかしたら少女かというのも含めて想像していただければと思います。

まぁ登場した瞬間に分かってしまうかもしれません。いやすでにばれてるかも?

でもこれはミステリー小説ではありませんからその辺は読者の皆様には申し訳ないかもですがわかりにくくもわかりやすくしたい作者のくだらない意思です。

えっと解説でしたね。

北斗と南斗分かりやすい対極存在として利用させてもらっています。

少々安直にも思えるかもですが下調べした上で解釈し設定を当てているのでご安心?ください。

あとはなんでしょう外史を大樹と例えていますがこれは安直ですね。

というか使い古された並行世界の例えですかまぁ分かりやすさ重視です。

あまり捻ると気持ち悪いですし作者自身混乱してしまいますから。

えっとあとここでのそれぞれの役回りなどはまだ明かしていません。

どこかでそれが明かされるかもしれませんがまだまだ先の話。


長くなりましたがとりあえず以上ですかね。

これ以上はネタさらしにて。

ってか今回の言い訳書きすぎ?

仕方ないのです。今回は天衝の中核に迫る話ですから。

(自己解決というか事故解決?なのか事後解決?なのか)



補足というか蛇足


次回はオリ主に視点が戻り話が進みます。

ようやく道中記っぽくなっていくかも。

って道中記って後付のタグなんですけど。

ちなみ道中記って耳にして思い浮かぶのは水戸黄門なのですがこの作品ではあんなにバカスカ悪代官を成敗しません。

ほんとに蛇足になってしまった。


この話を上げたという事は進行速度一段階UP。

だけど・・・だけど・・・まだ書いておかないといけない話はあるんです。

ほんと黄巾まで遠いなぁ~というよりも一刀さん登場までが・・・。


さぁ気を取り直して次ですが・・・次ちょっと苦手な話です。



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