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恋姫天衝 ~対極の御遣い~  作者: 雀護
・安定~
14/44

願いは遠く







++女の意地と、男の義理++







 「馬龍さん、あのお昼をご一緒しませんか?」


 これは好機と話をする機会のために彼を昼食に誘う事に。

 ゆっくりと戸が開くと彼が立っていた。

 見た目以上に落ち着いて見えるのは好感が持てます。

 「えっと、昼食ですか・・・」

 「はい!」

 そう言って自分の持っているそれを持ち上げる。

 先程別れてからせっせと準備したお弁当の入った籠。

 それを見せると何かを考えているのか黙ってしまった。

 きっと自身の行動ひとつひとつに慎重になっていると言う事だと思う。

 先程のやり取りの中でも幾度か同じ姿を見た。

 「天気も良いですし、中庭にある東屋でお話をしながら・・・いかがでしょうか?」

 断られないようにと少しでも利を提示して見る。

 「そうですね、確かに今日は天気がいいですし。まだ話をできていないこともあるでしょうから有難く誘いを受けさせてもらいます」

 誘いを受けてくれた事に安堵しながらも高鳴りそうな心を落ち着かせる。

 「では、ご案内します」

 彼は見た目は若いが年は十八。

 私との歳の差はそれ程まで離れていないから問題ない。

 自身女性との魅力に自信がないわけではない。

 今までは身分の差や機会というものに恵まれていなかっただけ。

 それは太守となってからは尚の事、それでも話にあがる朝廷の役人などは個人的には好みとは違う保身に走るような殿方。

 甘えるばかりの殿方と言うのはあまり印象が良いと言い難いので敬遠していた。

 彼にはそういった印象はない、むしろその逆立会いについても自身の不正に対して真摯な対応を見せ己を戒めているようにも感じた。

 それに見た目からは判断できない不相応なほどに大きい力とそれを許容している精神に振る舞いはとても魅力を感じてしまう。

 それに彼は紅ちゃん・・・西平の太守の弟君。

 

  紅ちゃんだってあんな可愛い子を三人もいると言うのに・・・


 今回は何も気にする必要もないし、紅ちゃんからも本人がよければとの許可も得ている。

  

  今回こそ私の魅力で・・・・・・





 東屋に向かうまで胸の高鳴りを抑えるのが大変だった。

 彼の趣味が料理と言う事は手紙の内容も書かれていたので、これも何かのきっかけになればと作ってみましたがどうやら成功したようです。

 彼は椅子に座りながらも並べられる料理に興味を示してくれている。

 「これは・・・小籠包。でも、この色は・・・皮に何を練りこんで・・・ほのかに香りが・・・」

 興味を示してくれているうちに籠の中身を机に広げる。

 「こっちの葉にくるまれたのは、まさかこれは、ちまき?!・・・ん?この鳥料理は・・・えっまさか口水鶏じゃっ?!・・・すごい」

 少々気恥ずかしさもあるものの彼は瞳を輝かせて料理を見る姿はまるで少年のそれで、立会いの際に見せた姿からは想像も出来ないほど可愛らしい。

 その姿を笑顔で眺めているとはっと表情を引き締めてしまう。

 「失礼しました」

 「そのような事はありません。受け売りですが料理は五感で楽しむもの。ですがただ眺めていてもお腹は膨れませんし、どうぞご賞味ください」

 そう言うと少し恥ずかしそうに彼は答える。

 「確かに昔同じような事を言われました。では、いただきます」


  殿方の心は胃袋から作戦開始です



 一通り料理を食べると彼はふと箸を置いた。

 どうしたのかとその顔を覗き込むと、彼は何かを考えるように顎に手を当てて料理を眺め、少し伺うように私の顔を見る。

 「これは皇甫嵩さんが作られたんですか?」

 「えぇ、少し時間が空きましたので簡単なものばかりで申し訳ありませんが、お口に合わなかったでしょうか?」

 少しではなく今日の日のために仕事を前倒しにして時間を空けていたのは内緒。

 食べている最中の顔は一口食べるごとに驚きの表情を見せていたので、まずいと言う事はないとは思う。

 うん、味見した時も美味しく出来たと思う。

 「いえ、美味しいと思いますけど」

 「けど・・・?」

 彼の感想を聞き返すとしまったと言うように口に手を当てる。

 とても気になる彼の続きを聞きたい。

 それでも彼はそれを答えようかどうしようかと迷っているようで少し目を泳がせる。

 私の服装を見ていた時と同じように。

 しばらく答えを待っていると観念したかのように溜め息を一つついて口を開く。

 「はぁーー、駄目ですね・・・料理の事になるとつい感情が制御できません」

 「それで、どうでした」

 「美味しかったです。それから少し悔しかったですね」

 「悔しい、とは・・・?貴方の作る料理よりも美味しかったということでしょうか」

 「あ、いやぁ、その同じ料理を作るのなら負けないものを作れます。・・・一度だけなら」

 「一度だけ、ですか?」

 「えぇ。一度だけ。それが悔しかったのです」

 彼の答えの意味が理解できない。

 彼の口ぶりからすればこの料理よりも美味しいものが作れるというのに”悔しい”と言うのは・・。

 もう少し詳細な答えをと待っていると彼は続ける。

 「この料理には俺の作れない味を感じます」

 「作れない味?」

 「えぇ、俺の作るものは一度限りならきっと美味しいと感じてもらえる、と思うのです。ですが、これは何と言いますか毎日同じものを食べても飽きない味。安定した優しい味だと思えました」

 自身ではそんなこと気にした事もなかったけれど毎日食べても飽きないと言われ嬉しかった。

 「今の俺ではこの味を作る事は出来ません」

 だがあまりにも彼が悔しそうに答えるので私は素直に嬉しいと言う感情を表に出すことが出来なった。

 何かそれは彼を知る大切なことに思えた。

 だが、彼は取り繕うような笑顔で箸を手に取る。

 「すみません。せっかくの美味しい料理に失礼しました。さぁ、皇甫嵩さんも一緒に”食事は楽しく”ですからね」

 まるで誰かの受け売りのように言い食事を再開する。

 気になる事はあれどすでに彼は戸を閉めてしまっていたので一先ず調子を合わせて笑顔で応える。

 「そうですね、ではいただきます」

 紅ちゃんからの手紙に書いてあった。

 彼が時折見せる儚げな笑顔が放っておけないと、そしてそれはきっと彼が思い出したくない過去を抱えているのではないか。

 私も同じ気持ちになっていた。


  彼に何があったのかが気になる


 あれだけの武を持ち。

 あれだけの礼節を知り。

 彼の顔にはなにかまだまだ不足と言う感情を見せる。


  彼が気になる・・・ 


 純粋に人として。


  彼の笑顔が見てみたい


  本当の笑顔を見せて欲しい


 そう感じずにはいられなかった。



 ・・・・・・


 ・・・・・・



 食後のお茶をしながら昼食の味を反芻していた。

 並べられた料理は普通に美味かった。

 もう少し正確に言うのであれば格別に美味かったわけではなく、普通の中で美味い部類と言うところ。

 だが格別に美味い料理とは別の衝撃だった。

 俺の知っている味に似ていた。

また過去を振り返りそうな思考を切り替えてる。

 「すみません。あまりに美味しいもので話をする間も・・・」

 「いえいえ、食事を楽しんでいただけたなら私は構いません」

 話をしながらと誘ってもらったにも関わらず対して会話らしいものが出来なかった事へ謝罪をしたが、皇甫嵩さんはそれを笑顔で許してくれた。

 「そう言っていただけると助かりますが何か話があったのでは?」

 「えぇ、それは・・・その・・・大それた事ではないのですが・・・」

 「・・・?」

 話の内容に関して質問してみると皇甫嵩さんは少し俯きながら頬を赤らめる。

 その反応がいまいち掴めず頭の上に疑問符が浮かぶ。

 「あの場ではその、お答えしていただけなかったのでその事について少しお聞きしたいのです」

あの場で聞かれたこととは何だったろうかと記憶を整理する。

 確か歳や趣味やらを聞かれそれには答えたがその後・・・。


  その後は確か、年上とか年下とか聞かれたか


 あの時は予期せぬ二連撃に思わず制止の声を上げてしまっていたがその事だろうかと記憶を辿って見る。

 けれど、今でも何故あのような質問をされているのか理解出来ない、俺はここまで人の心理を読むのが苦手だったろうかと疑問が浮上した所で。

 「あのそれでどうなのでしょうか?年上の女性と言うのは・・・そのお嫌いですか?」

「えっ?」

 予想通りではあったが答えがない。

 予想していても想定していた内容でないためだ。

 嫌いかどうかと言われたも元々俺は他人に興味がなかった。

 改めて好きか嫌いかなどと言われてもどう答えるのが適切なのかが理解できない。

 「嫌いと言うことはないのですが・・・」

 「やはり、紅ちゃんみたいな姉君がいると年上は眼中にないのでしょうか?」

 そう言われてようやく質問に意図を理解する。

 理解するが理解できない。


  何故に俺?紅姉さん何をこの人に吹き込んだんだ


 「あの眼中にないとか、そういうのではないのですが・・・」

 完全に言い訳でしかない言葉しか出てこない。


  なんでこうなる。はぁ~俺はこういうのは手の話は苦手だな


 このように浮いた話とは縁遠いものだった俺にこれを対処する術はない。

 この世界に来て向こうでは体験することのなかった経験をしてばかりだ。

 向こうの世界に置き忘れたものばかり、忘れたことを忘れるように努めていたと言うのにこの世界にまでそれは追いかけてくる。

 「俺はそういった事に疎くてどう答えていいのかわからないのです」

 これも言い訳、でもそれ以外に答える言葉がない素直な彼女への応え。

 だがその応えに皇甫嵩さんは目を輝かせて声を上げる。

 「それは、お付き合いした女性がいないということでしょうか!」

 「えぇ、恥ずかしながらそういった関係になった女性はいません。以前は・・・」

 はっとして口を手で覆い隠す。


  また、口が!!いらないことを俺の過去など適当に流してしまえばいいのに~っ!


 しかもこれは今日二回目だ。

 取り返しのつかない事になる気がする。

 二度も戦場でミスを犯せばそれは間違いなく致命に繋がる事を俺は知っている。

 「以前は?」

 予想通りにいらない疑問を持たれてしまった。

 この身体になって以来思うように口が回らない気がする。

 予定したものや想定していたもの以外の言葉を口にしようとする、その度に墓穴を掘っていると思える。


  俺はどの墓穴に入るんだか・・・


 以前の世界からのも含めた数なら、粉みじんになって埋葬されるのかもしれない。

 皇甫嵩さんは俺の言葉を聞き返したままの眼で俺を見つめている。

 俺が口を開かなければ延々と待ち続けるだろう。

 なんとか言い訳を探してもこういった興味を持たれてしまっては何れは話さなければいけない、 ここにいる間中、気まずい雰囲気になってしまうのは避けるべきだ。

 観念しなければいけないかと口を覆っていた手をどけて溜め息を吐き出す。

 溜め息ってどれだけ溜め続けたら必殺技になるのだろうか。


  ネーミング的にはギャラクティカ溜め息とか、真空溜め息か滅殺溜め息、なんていうのになるかもしれない、・・・どれにしても語呂が悪いな

 

 そんなくだらない思考で頭の中に余白を作って自身を落ち着かせる。

 「以前、紅姉さんからの手紙で異国で暮らしていたと言うのはご存知ですよね」

 「はい。幼少の時に異国に渡ったと」

 いくつか俺の身分や素性を聞かれたときに答えようとしていたことと俺の過去をすり合わせて彼女に分かりやすいようにと例え話のように話をする。

 「そこはお世辞にも安穏とした場所ではなく一人では生きていけない所でした。両親も兄弟なく身を寄せられる人がいない俺はそこで武術の師匠と言える人に幸運な事に拾われました」

 その話を静かに頷きながら聴いてくれる。

 「そこには俺と同じ年頃の女の子がいました。その子は師匠の孫でしばらく三人で師匠の家で武術を一緒にしたり、勉強をしたりと過ごしていました。数年そんな日が続いていました」

 あまり面白い話ではない、これはただの昔話。

 もう戻らない過去の優しい光景が俺の頭の中に再生される。

 「ですが、ある日師匠が仕事からもどりませんでした。それでもなんとか二人で暮らしていたのですが余りに遅い帰りに二人で師匠を探すことにしたのです」

 少しだけ言いにくい、だが以前ならば言葉にすることは出来なかったと思う。

 きっとそれはあそこで過ごした日々のおかげ、そのおかげで今こうして言葉に出来るのだと思う。

 言葉にすることで認めてしまうのが嫌だった。

  でも・・・


 「その時に俺達は協力してくれていたある権力者に裏切られ、背中から味方だった者に・・・弓を射られました」

 口の中に少し血の味がした気がする。

 きっとそれはあの時の感覚がまだ残っていたせいだろう。

 それでも俺は言葉を続けた。

 「頼る場所も人もいなく、逃亡の日が続きました。そこで俺の生まれたこの国を目指す事にしたのです。その道中、彼女は途中俺を庇って負った傷が原因で・・・」

 言葉にはしたくなかった。

 そこまで口に出た後で不意に頭の中に”天意”という単語がちらついた。

 俺はそれを知るためにこの地を知ろうと旅の目的としていたもの。

 きっとこれが天意というものなんだと理解した。

 それを認めろと誰かが言っている気がする。


  随分ときついな、天意と言うものは・・・


 認めなければ答えを得てもそれを答えと納得できないのかもしれない。

 そうしなければ俺は終われないと。

 「彼女は・・・死にました」

 それは認めたくない、認めていなかった事実。 ただ・・・。 


  言葉に、出来た


 その事に俺は苦しみや後悔よりも先に、驚いていた。

 そして、それは思っていたよりもその言葉は軽くて、ただ・・・虚しさがこみ上げるだけだった。 

 「・・・大切な人だったのですね」

 どんな顔をして皇甫嵩さんに言ったのか。

 「えぇ、俺の唯一の家族でしたから」

 「お辛いですか?」

 涙も溢れることなく事実として初めて受け入れた。

 「いえ、でも悲しくないわけではありません。けれどいつまでも悲しんでいては怒られてしまいますから」

 ”やってみてよ”そう言う君だからきっと俺は前に進まなくてはいけない。


  それに・・・


 「それに今は姉や俺を兄と呼んでくれる妹が出来ましたから」 



 ・・・・・・



 ・・・・・・




 彼は私に笑顔でそう言った。

 この人はまだ過去と向き合っている最中なのだと理解した。

 当人が理解しているかは分からない、それでも前に進もうとする姿勢になるまでにどれほど後悔をしてきたのだろうか。

 そんなふうに思えてしまえるほど・・・・彼の笑顔はぎこちなかった。

 だからと言うわけではないが彼に惹かれている自身がいる。

 胸の内側で燃え上がる何かを感じながら彼の瞳を見ていた。

 「一人で生きる世界は・・・辛すぎる。それを痛感しましたよ」

 彼は独り言のようにそう呟く。

 それから乾いた笑い声を上げ、恥ずかしそうに鼻の頭を掻いた。

 「あはははっ。つまらない話をしてしまいました。えぇっと、つまりは付き合った女性はいないのですが家族だったものはいた、という事です」

 特定の女性関係はないものの彼の言葉はそれ以上の関係の女性がいたということになる。

 けれど彼の口から告げられたその女性は既にいなくなってしまったと事実だった。


  それなら・・・・・・


 「この話は紅姉さんにも話してない事です。出来れば内密にしてもらえませんか」

 少し疾しいものを考えそうになっていたところに、彼は私に拝むように両手を合わせて私にそう願いを告げる。

 「えぇ、他言いたしません。二人だけの秘密です」

 「助かります、けれど後に紅姉さんには伝えねばと思います。それまでは二人だけの秘密という事で」

 他言などしない。

 他の娘にこんな話を知られてしまえば、例えば利玉リユイ辺りに知られたら大変なことになってしまう。


  強敵が増えてしまうのはいただけないのです


 「それで、ですね。確認させていただきたいのですが特定の女性はいないという事でよろしいでしょうか?」

 確認のため口を開くと彼は幾分か黙った後に「はい」と答えてくれた。

 けれど、なにか考え込む時の表情は見えないはずの未来でも見ようとしているかのようだと思えた。

 彼と会った時から感じていた違和感。

 この地で会うどの人間とも違うそれは異国で育ったせいだけで片付けるには少々違う気がする。

 あまり頼る事はなかった”勘”とこれまでの対人経験がそう私の頭にそう感じさせているのが分かった。

 だが、その正体まで辿り着けそうにない。

 彼に答えを求めればそれに辿り着けるのかもと口を開きかけたが、大業を成すには小業を積み上げなければせっかくの出会いの印象を悪くしてしまうかもしれない。

 彼との出会いは、私との出会いは良いものにしたかった。

 小さい事からコツコツと、私の矜持それに従うことにした。




 ・・・・・・



 ・・・・・・




 「あのぉ、皇甫嵩さん今なんと?」

 「この後お暇でしたら調練にお付き合い願いたいと」

 ニコニコとした笑顔で俺にそう提案してきた。

 事情を知れば皆一様に俺と同じ返答をするだろう。

 皇甫嵩さんは安定郡の太守でその調練となればいわゆるここ一帯の軍の訓練を見せると言う事である。

 親衛隊の鍛錬に付き合うのとは次元が違う。

 一個人と一軍では規模も違えば重要性も段違い。

 郡や州というのは朝廷によって決められた領主や太守という役職をもって統治される。

 だがあくまで通用しているのは大まかな法や朝廷への税といった分かりやすいものだけで形式上一つの国と言って良い。

 事実、郡や州を跨げばそのほとんどが別々の国といってもいい。

 これは紫庵との会話の中で学んだこの世界、この国の事情。

 そして確か覚えているもの三国志ではその地方ごとで諸侯同士の小競り合いは存在していると聞いた。

 少なからず朝廷に反意をもっていないものばかりではないはずで、一郡の一軍の調練など軍規に当てはめれるなら極秘事項の一つといってもいいはず。

 役職もなく地位もない俺のような者を別の郡に干渉するような真似をするのも、させるのも避けるべき行為、少なからず俺ならそうする。

 もし、仮に西平と安定で争いが起きたならそれは相手に弱さや強さを教えているのと同じで、それは自身の郡を危険にさらす行為。

 もし、それの危険性を取り除いていたとしてもそれは承諾しかねる。

 客人として招かれたとしても俺は軍の指導をするためと前もって何かの取り決めをしているわけではない。

 確かに紅姉さんと皇甫嵩さんは旧知の間柄、同盟結んでいたとしても俺は紅姉さんではない。

 今日会って数時間もしていない、交わした言葉の数だって信頼を得るには足りないはずだ。

 そのため俺はあまりに大胆な提案を口にした皇甫嵩さん言葉を疑った。

 暇ならばと言われてはいたが暇なのは至極当然。

 連絡を待ちの身で客人として何かしなければいけない仕事は今は特にない。

 強いて言うならこれが皇甫嵩さんからの依頼になる。

 だがその依頼は受けるべきではない。

 「まだ満足なお持て成しをできていませんが親衛隊の事もありますしどうかお願いできませんか?」

 彼女の意図がまた読めなくなる。

 下手な返答は出来ない。

 何か別件があると言いたいがまだ言い訳する材料がない。

 だがない材料をかき集めて可能ならば断るべきと口にしてみたが・・・。

 「確かに親衛隊の方々とは話す機会が欲しいと思っていましたが、軍となると話は別なのでは・・・」

 「難しく考える必要はありません。私とだけではなく私達との親睦を深めるための一歩とお考えください」

 柔らかく断ると言う意思表示をしても皇甫嵩さんが引き下がってくれそうにはない。

 親睦を深める、その言葉は俺にとって鬼門といってもいい。

 紅姉さんの言う学者という人物に会うための通り道程度にしか考えていなかった、だからそこで何かを背負う事はしたくはない。

 太守である皇甫嵩さんとは友好関係でいる分には問題はないが、だがそれが行き過ぎては重荷になっていまう。

 もっと極端な話をするなら社交辞令程度の挨拶が出来れば問題はないと思ってはいた、多分俺は知らずかなり大きな地雷を踏んでいる。

 話すつもりのなかった過去を話してしまったのがいけなかったかもしれないと覆水盆に還らずと後悔するばかり。

 「お恥ずかしい話、私は弓を使うことは出来ますがそれ以外の武術と言うのは点で駄目なのです。貴方の視点から私達に足りないものを教えていただきたいのです」

 弱みを見せる危険性を度外視してでも俺の指導を求める意図がわからない。

 俺に軍を指揮する才はない。

 どこにいても俺は個の力しか持たない。

 五胡との戦闘でさえ指揮していたというには程遠い、あくまで知恵を貸していただけで指揮をしたのは紫庵。

 そう思っていても彼女はその事実を知らないと言うのだろうか。

 ならばそれを口実にしてみようと口を開こうとしてみてもその先を遮られる。

 「今回の調練はそれほど大規模なものではありませんし、個人訓練なども行う予定です。貴方の力をお貸しください」

 頭が痛い顔を手で覆い支えて視線を落とす。

 どう断ろうとも行く道には全て通行止めでこの道しか進めないのか道を探る。

 疑問を確認しなければ俺はどんなことがあろうと頷けない。

 「何故それほど俺の力を必要とするんですか」

 「私達も北からの移民との戦闘が予測されます。先日の五胡と同じかそれ以上の規模の強襲があれば国境沿いに位置する郡は危機に陥るでしょう。私はそれを避けたいのです」

 何か意図があるかとそれを確認しなければ頷くことはまず出来なかったが、それは明確な意図が存在した。

 俺はそれでも頷く事に抵抗を感じる。

 「・・・紅ちゃんが言うとおりですね」

 唐突な声に顔を覆う手をどけ皇甫嵩さんを見る。

 「たまに見せるその表情が放っておけないと」


  俺の顔は今どんな顔をしている・・・


 そう思って視線を落とせば湯のみに映る俺の顔は苦々しく歪んでいる。

 俺は何故これほどまでに苦しいのか否定しているのかと疑問が浮かぶ。

 でも答えは簡単だった。

 疑問が浮かぶと同時に笑顔が浮かぶ。

 俺の・・・新しい家族達の笑顔。

 危険が及ぶことをしたくない。


  例え・・・


 例え皇甫嵩さんがどれだけ犠牲を払うことになろうとも間違えたくない。

 もう間違えた選択をしたくない。

 後悔する選択をしたくない。

 後悔する現実を目にしたくない。

 俺を信頼してくれる人達が苦しむ姿を目にしたくない。

 信頼してくれる人達を裏切りたくない。


  でも・・・


 でも、頭の中に残っている声が俺の否定の声を上書きしていこうとしている所に突然ガクッと姿勢が前傾に傾く。

 「お願いです!」

 あまりにも思考に引きずられすぎて皇甫嵩さんに手を取られたのに気づかなかった。

 両手で俺の右手を包むように握り言葉を続ける。

 「紅ちゃんから知らせにもありました貴方が危惧するようなことは絶対に、絶対に!私達はいたしません」

 「っ?!」

 皇甫嵩さんに握られた手は彼女の胸に押し当てられる。


  なっ?!なにしてぇ~!!


 俺の危惧している事とか言う疑問は衝撃で吹き飛んだ。

 咄嗟の出来事に手を引き戻そうとしても両手で掴まれたそれが戻ることはない。

 「貴方が頷いてくれるまで離しません!!」

 反発するように更に強く押し当てられる。

 より生々しい感触が伝わってくる。

 ここに着たときには一瞬夢の中の出来事などと考えもしたが、夢の中でこれほど生々しい感触があるのか。

 血みどろの戦場など比べることが出来ないほどにリアルな感触。

 柔らかすぎず適度な弾力と温かみ。

 これほどのボリュームの胸など触れたことはないがこれは男にとって最早凶器だと感じる。

 胸が好きな男ならこれで一瞬でイチコロだ。

 触れる右手はまるで彼女の胸を鷲掴むような形のまま逃れることが出来ない。

 「私の心に誓います」


  いや、危惧とか誓うとかもう考えられる心理状態じゃないんだぁ~!!

 

 本当にこういった色気というか、そういった方面に免疫がない。

 彼女の行動に何をしているのか何を考えているのかも訳が分からなくなってしまう。


  まずいって。俺だって男なんだ。嫌いじゃない、嫌いじゃないんだけど・・・そういうのはぁぁぁまずいっ!!


 いけない感情が俺を誘惑されそうになる。

 流されるようにそれに身を任せる気はないが、それでも身体が反応してしまう前にとにかく手を解放させないと翠達に会わせる顔がない。


  もうどうとでもなれぇ!!

 

 「わかりました!!だから!だから許してください」

 何を許しても貰わなければいけないのか知らないでも口が勝手に許しを請う。

 だが、許してくれない。

 というか解放してくれない。

 握られる右手がより強く握りられる。

 「本当ですか?!」

 目を輝かせ俺に顔を近づけて俺を問いただすがもうどうでもいい。

 身を乗り出したような格好の皇甫嵩さんの顔は触れてしまいそうなほど近く、嬉しさ120%だがとにかく頷いたんだと思って解放を待つが勘違いしていた。

 俺はまた失敗した。

 頷くまで離さないといっていた彼女だが頷いても離してくれない。


  もう泣きそうだ・・・


 意地も義理も恥も外聞もなんでもいい。

 これ以上、これ以上は俺の中の男の子の部分を抑えるのは難しい。

 「皇甫嵩さんに付き合いますから、とりあえず離してください!」

 そう願い出ると突然皇甫嵩さんの両手から力が抜けてするりと右手が解放された。

 それで安堵したがすぐに後悔。

 後悔の海へ思考は航海する。

 本人は意識してしたのかは知らないが、事実を言うなら色仕掛けに負けて頷いたようだ。

 もう本当に顔から火でも出るんじゃないだろうかと顔を両手で覆う。


  最悪だ・・・


 なんていうかもうさっきまで考えていた事が台無しな上にもうなんていうか。

 

  なんていうかぁぁぁぁな、もうーー!


 「・・・とぅに・・・?本当ですか?!!」

 最初は呟くように、それから声を張り上げた皇甫嵩さんの声は東屋から母屋の中まで届くのではとえる程に木霊する。

 その声に反応して熱が取れない顔を覆っていた手の隙間から皇甫嵩さんを見る。

 「本当にお付き合いしていただけるのですか?!」

 俺の言ったことへの確認だろう。

 それほどまでに驚くことなのか本人からの提案であんな事までして俺に詰め寄ってきていたというのに。

 不思議な感じがしてしばらく口が開かなかったが不意に・・・気配がする。

 ゆるやかに皇甫嵩さんの手が俺の手に伸びる。

 返事をせずに顔を覆う俺の手を掴もうとする動き。

 覆っていた手を再び捕らえられないようにとぱっと両膝へ移動させてがっしりと掴む。

 もう真っ赤になった顔を見せるなど気にしない。

 そう簡単に繰り返していてはここにいる間この人と顔を合わせづらくなる。

 そんな姿を知られれば、どの顔をして翠達の兄ちゃんとして付き合えばいいのか分からなくなってしまう。

 それに例え言い逃れだったとしても調練に付き合うと言ったのだ反故にするつもりはないので急いで肯定の言葉を口にする。

 「付き合います!二言はありませんからぁ!!」

 なんだがもうこう言わなければ膝の皿ごと手をもぎ取られそうなほどの気迫を感じて叫ぶように答えた。



 後悔の航海はまだ始まったばかりだった。




 ・・・



 ・・・・・・



 ・・・・・・・・・




  間違いだった気がする

 

  間違っている気がする

 

  何故こうなった・・・



 とりあえず間違っていないとするならひどく上機嫌な皇甫嵩さんに連れられ~・・・いや、連行されるように腕を捕まえれて調練に向かう事になった。

 これはとりあえずは正しい流れだと思う。

 だが何故、調練場に着いてまで俺の腕は解放されない。

 右手は解放されて右腕が捕まる。

 さっきよりはましかもしれないがほとんど状況は変わらない。

 考え方によっては状況は悪化している気さえする。

 俺の右腕は皇甫嵩さんが両腕に捕まりその豊満な胸に埋まる。

 より広い面積で彼女の身体が密着する。

 何故こうなったのかわからないが、思考を巡らせようとしても彼女が動く度に意識が彼女の身体に引っ張られる。

 「ち、調練をするんですよね?」

 「はい!」

 上手く巡らない思考でもこれからする事に対しての認識は間違っていなかったが。

 とりあえずこの状態では互いに調練をするというにも見るというにもまずい状況に「兵達の士気にも指揮をするにもまずいのでは」と声を掛けても。

 「問題ありません!」

 と真横から眩しい位の笑顔とともに返される。

 いやその顔は綺麗だし、可愛らしい笑顔なのだがこの状況は間違っていないだろうか。

 解放された意味がない気がする。

 しかしそんな俺の気持ちは無視されたまま状況は進んでいく。

 調練場には千近くはいるだろう大勢の兵士たちが集まっている。

 高台から眼下に集まる兵士達に皇甫嵩さんが号令をかける。

 「皆さん集まっていますね。本日の調練は先日、西涼であった五胡の襲撃よって北方からの襲撃も予測されるため行うものです。私達は我が家を守る盾としてもっと精進しなければいけません」

 全体に高々と響き渡る柔らくても凛とした声。

 「それに際して五胡の五百もの兵をお一人で打ち払った西涼の雄、馬龍さんにお越しいただきました」

 皇甫嵩さんに捕まえられたままの俺の姿を見ていた。

 兵士達は少々戸惑っていたが、その正体を知ると一気にその戸惑いは大きなどよめきに変わる。

 俺はいつの間にこれ程人気者になったのだろうか。

 「皆さんも先日の馬龍さんの武勇は噂に聞いているでしょう。西涼からの客人であり、私の大切な人でもある馬龍さんに貴方達の力を見せて差し上げてください」

 大切な人?まぁ客人として迎え入れられたのだから間違いではないが。言い回しは間違いではないだろうかとまともに動かないポンコツな思考をしていると皇甫嵩さんは続ける。

 「全体調練の後、馬龍さんに皆さんの個人指導をしていただけます」

 「はっ?!」

 調練場のどよめきは俺にまで伝播する。

 皇甫嵩さんを驚きのまま見れば変わらず笑顔で見つめられる。

 「では調練を開始します」

 俺の気持ちを知らない皇甫嵩さんはそう宣言し調練が開始された。

 粛々と開始されたが、俺と皇甫嵩さんの状況を誰かに指摘・・・もとい、盛大にツッコんで欲しいと言うのに。




 ・・・・・・



 ・・・・・・




 状況に不服はあるものの、調練を見る事自体は有意義なものだったと思う。

 千人もの人数が一丸となって地上に図形を描いていく姿は俺の知る世界ではすでに見ることはない。

 相手を正面に想定して横長の長方形を描く方形陣。

 相手を内側へ引き込み挟撃させるV字の鶴翼陣。

 基本の型を取りながら少しずつ複雑な陣形への組み換えを行う。

 大きな長方形を三つに別けた三段陣から四つに別けた四段陣。

 五つに別けながらも後方は左右に飛び出せる形の遊撃陣と変わり、少し密集させた五段陣と変わりながら攻勢を意識した山形の突撃陣に 代わった後にはそれを緩やかにした弓形陣となって方形陣に戻る。

 それが皇甫嵩さんの号令一つで組みかえられる。

 一糸乱れぬその隊列は俺の知る軍隊のそれでどの形になる際にももたつく様子もない。

 だが要所要所で皇甫嵩さんの指示が飛び交う。

 「左後方、陣形の展開が遅いです!!中央後方の動きに引きづられてはいけません!」

 見る限りでは彼女には敵が見えているのだろう。

 想定した訓練なのだから当然かもしれない。

 素人目で見ている分には問題がないほどの錬度だと思うがそれでもその陣形組み換えの速さを高めようとしている。

 俺は他の郡の軍隊がどれほどのものかは知らないが、俺の基準からしても指揮官の指示にこれだけの速さで動く事が出来るの良い軍だと思える。

 相手よりも速く体勢を整える事が出来ると言うのはそれだけ優位に立てるという事。

 それはここでの戦場ではそれは最重要と言えるのだろう。

 もし、伏兵や奇襲を受けた時それは更に顕著になるはず。

 正対する形からなら尚の事、こちら陣形に合わせて相手が陣を組み替えるのだとしたら、これだけ素早く陣換え出来るのなら更にこちらは有効な陣へ変更でき、相手の虚をつく事が出来る。

 後出しジャンケンみたいなものだが、それが出来れば同数の戦いで負けの目は幾分も低くなる。

 「全軍、突撃陣!!・・・抜刀突撃!!」

 俺が感心するばかりの中、響わたる号令の元兵士達は陣形を即座に組み替え大声と共に前方に向かって剣を抜きながら突撃を始める。

 千もの人間が一斉に声を上げるとまるで空気が震えるかのような迫力がある。

 「全体納刀!方形陣にて整列。・・・どうでしたでしょう」

 そういって一通りの調練を終えて俺に意見を求められるが。

 終えたのだが何故だろう終えた感じがしない。

 終始調練に集中していたというか集中するしかなかった。

 集中しなければ集中が別の方を向いてしまうからだ。

 調練が終えた今、思っていた通り徐々に俺の思考が別を向こうとしている。

 それは指揮をしながらも俺の腕を捕まえたままの皇甫嵩さんのせい。

 彼女が声を上げるたび前に乗り出すたび胸の感触が伝わってくるせい。

 そして終えた気がしないのはまだ腕を離してくれないせい。

 調練が終わると集中するものがないと苦し紛れに皇甫嵩さんのメロンパンを見つめ声を掛ける。

 「感動しましたよ。良く統制のとれた軍だと思います」

 「そうですか。それはよかったです」

 笑顔のまま俺の腕に抱きつかれる。

 どう答えてもこうなるのは避けられないのかと諦めに似た感情が沸きあがるが一つ逃げ道がある。

 「全体の訓練が終わったのであれば後は個人鍛錬ですよね?」

 「はい」

 もうなんだ、笑顔が眩しすぎて目が潰れてしまいそうだった。

 「じゃあ、俺は兵士達のところに行きたいんだけれど、いいですか?」

 今まで頑張って振りほどくという強硬手段にはでなかった、だがそろそろ限界が近いので遠巻きながらも解放を求めた。




 求めた・・・つもりだったのだが、何故だろう。

 高台から降りて兵士たちが剣や槍を素振りする傍を歩いて回るのだが、その最中も右腕に俺の意思が伝わらない。

 皇甫嵩さんと腕を組んだまま二人歩くことなった。

 確かに皇甫嵩さんも個人鍛錬を見て回るのは仕事上必要なのだろうが何故こうなるのか。

 状況を例えるならショッピングデートでもしているバカップルのように調練場を歩く事になった。

 もう限界点を迎えて口を開く。

 下手な口実はつけず素直なリクエスト。

 「えっと、できれば腕を離してもらえないでしょうか」

 「えっ?」

 まるで意外という表情で俺を見返す。

 それが俺には意外だ。

 歩く足が止まりしばらくの間。

 「このような姿を見せ続けるのはいらない噂を立てられてしまいますよ」

 「いらない噂?ですか」

 理解していない訳ではないだろう。

 男と女がこんな事をしていれば色恋がどうのと言われるのは必然だし、太守である彼女が俺なんかとそんな噂を立てられるのは不利益を被るだろうに。

 それだというのに彼女は一向に俺の腕を離さない。

 彼女の考えを理解するにはもう疑問を通り越して迷宮に突入している。

 そうしていると彼女は衝撃の真相を口にした。


 「だって馬龍さんは私”と”お付き合いしていただけるのですよね。いらない噂などではありませんよ」

 その言葉に唖然とし、その意味に愕然とし、漠然と言葉の理由を頭に浮かべ。




 っ・・・?!!!!!!





 俺の迷宮は爆散した。







NextScene

++男の料理と、目指した夢++



例によって言い訳です (最早解説要素なくなっています)


女と男の話です。

えっとここで少し視点切り替えが細かくなってしまいましたがどうだったでしょうか

読みにくくなっていなければいいのですが切り替えた反対側の意図や意思を隠しておいたほうがいいとこうなっています

あとはまぁ後日、活動報告のネタさらしで書きます。


今回少し時間が掛かってしまいましたが次回はもう少し速く纏まるといいな(希望的観測)




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