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リア充天才パンダとレオンの異世界日本化計画※毎日20時更新。そんなに全削除して欲しいですか?  作者: ヘタレパンダ


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第87話 りゅういちのバズレシピ麻婆豆腐



訓練休養日――。


久しぶりの休日。


精神と時の空間・休憩所の調理場では、珍しくレオンが黒いエプロン姿で腕まくりをしていた。


調理場の入り口では、高橋が出来上がる料理を興味深そうにウエラブル端末で撮影していた。


千葉の自宅から橘に頼んで運んでもらった食材が、調理台の上に並んでいる。


豚ひき肉一・五キロ、ニンニクひと玉、絹豆腐三丁、長ネギ一本。


さらに豆板醤、甜麺醤、精米された米30キロ。


調理場には食欲をそそる香りが広がっていた。


その隣では真央が腕を組み、大きくため息をつく。


「パパがママにべったりなのは前からなのよ。爺やにも『公務そっちのけでイチャイチャするな』ってよく怒られてたくらいだから。でも今は非常事態なのよ!」


真央は困ったように肩を落とす。


「ママは訓練に参加できないし、みんな途方に暮れてる。パパだって魔法を教えた方がいいと思うの。それなのに三日間、トイレに行く時以外ずっとママにべったりよ。話にならないわ。」


「うん。」


レオンは包丁を動かしながら頷いた。


「パンダさんも三角ディレクターにべったりですよ。三角ディレクターも三日間、踊りの訓練に参加してないんですよ。」


高橋がぼやいている。


真央はさらに続ける。


「それにパパだけじゃないの。ポルガン君もリリーにべったり。五十嵐薫さんの魔法の影響で、ずっとリリーの中にある亡くなったお母様の思い出と話してるみたいなの。」


「リリーさんも嫌がらないんですか?」


高橋が尋ねる。


「ええ。ずっと髪を撫でたり、手を繋いだり……。親子というより恋人同士みたい。私が邪魔者みたいなのよ。」


真央は苦笑した。


「魔道具も今は私一人で訓練生に教えながら作ってるわ。今まで三人でやってきたから在庫は十分あるけど、このままじゃ困るのよね。」


「まだ三人が生贄になるって決まったわけじゃないミャ。」


調理場の椅子に腰掛け、足をぶらぶらさせていた娘娘が言う。


「どうしちゃったんだろうミャ……。でも、なんかすっごく良い匂いがするミャ。」


その時。


ピピピロピーッ。


炊飯器が炊き上がりを知らせた。


レオンは静かに頷く。


「よし。」


フライパンへ豆腐を入れ、最後に長ネギを散らす。


そして両手をかざした。


「この麻婆豆腐は、りゅういちさんのバズレシピを参考に作った僕の得意料理なんだ。」


淡い白い光がフライパンを包み込む。


「料理よ――魔道具になれ。」


ぱあっ――。


優しい魔力が料理全体へ染み渡った。


「カプサイシンには身体をシャキッとさせる力がある。そこへ僕の『気力回復』の魔法を重ねた。精神的に落ち込んでる相手にはよく効くはずだ。」


光が消える。


レオンはスプーンで一口味見した。


「うん。出来た。」


満足そうに微笑む。


「レオン特製、愛情たっぷり手作り麻婆豆腐。りゅういち仕様の魔力入り。さすが僕。」


真央が笑う。


「相変わらず自画自賛ね。」


「事実だから。」


四人は笑い合った。


「はい、味見。」


真央はと高橋は、スプーンを受け取り、一口食べる。


「「……!」」


二人は目を丸くした。


「美味しい! だけど辛い!」


二人とも、思わずもう一口。


「なんだか元気が出てくるわ。」


「だろ?」


レオンは笑う。


「前にパンダが考え過ぎて、疲れ切ってた時に作ったら、一気に元気になったんだ。ご飯と一緒に食べるともっと美味しいよ。あの頃は魔法は使えなかったけどね。」


「ほんとだ。」


真央は夢中で頷いた。


レオンは白い皿へ、次々と麻婆豆腐を盛り付ける。


「高橋はパンダと深雪のところへ持っていってくれ。」


「私はママとパパね。」


「娘娘はポルガンとリリーをお願い。」


「任せるミャ!」


娘娘は白い皿を抱えて立ち上がった。


「でも娘娘は辛いの苦手だから食べないミャ!」


「無理しなくていいよ。」


「ありがとミャ!」


三人はそれぞれの部屋へ向かった。


◇ ◇ ◇


部屋では三組とも同じ光景だった。


パンダは深雪に寄り添ったまま。


魔王はミカエラの肩へ顔を埋め。


ポルガンはリリーの手を握り続けている。


誰も食事をしようとしない。三人とも生気のない表情をしている。


深雪はゆっくり起き上がった。


高橋はウエラブル端末で二人の姿を撮影している。


「パンダ……これ、レオンが作ってくれたんだって。」


スプーンですくい、自分が一口食べる。


「うまい。」


そして優しく微笑んだ。


「ほら、パンダ。」


一口。


パンダの口へ運ぶ。


一方、ミカエラも。


「あなた、食べなきゃ駄目よ。」


魔王へ一口。


リリーも静かに微笑む。


「ポルガン。」


麻婆豆腐をすくう。


「これ、食べて。」


三人はゆっくり口を開いた。


もぐ。


その瞬間。


三人の瞳に光が戻る。


「……!」


パンダが最初に目を見開いた。


「そうか……カプサイシンの力にゃ。」


続けて夢中で食べ始める。


「辛いにゃ! でも元気出るにゃ! うまいにゃ!」


魔王も匙を取り、ご飯と一緒に麻婆豆腐を頬張った。


「……久しぶりに腹が減った。」


ポルガンも静かに頷く。


「これは……美味しい。」


一口。


また一口。


止まらない。


「レオン殿……ありがとうございます。」


三人とも、いつもの生気のある表情へ戻っていた。


◇ ◇ ◇


調理場。


空になった調理道具を洗っていたレオンのもとへ、真央と娘娘と高橋が嬉しそうに戻ってくる。


「効いたわ!」


真央が笑顔で親指を立てる。


「みんな元気になりましたよ!」


「ポルガン様も、魔王様も、パンダさんもいっぱい食べてたミャ!」


レオンは安心したように息を吐いた。


「良かった。」


真央も胸をなで下ろす。


「これでみんな、また前を向けそうね。」


娘娘は尻尾を大きく揺らした。


「レオンの麻婆豆腐、最強ミャ!」


四人の笑い声が、久しぶりに休憩所へ響き渡った。





カプサイシンって凄い力を持ってるんだミャよ。

この物語に出てくる食べ物の力は魔法だからじゃなくて実際に凄い力を持ってるってヘタレが言ってたミャ。


娘娘がお送りしましたミャ。みんなも、美味しいご飯をいっぱい食べて元気貰うミャ!

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