第9話 人手不足
異世界初のコンビニが開店してから数日。
店は相変わらず大盛況だった。
だが――。
「しっかしこの国は暑いにゃーねー。」
パンダは店の前でぐったりしていた。
照りつける太陽。
蒸し暑い空気。
並んでいる客達も汗だくである。
「これは対策が必要にゃ。」
パンダはむくりと起き上がった。
「涼しい服を売る事にするにゃ!」
レオンが眉をひそめる。
「また新商品かい?」
「ワーキュマンの扇風機付きベストを売るにゃよ!」
「あとウニクロの冷感Tシャツも欲しいにゃね!」
レオンは頭を抱えた。
「造るのかパンダ!」
「その前に問題がある!」
「スタッフが足りないぞ!」
「教育者が足りな過ぎる!」
店内ではエルフとダークエルフが必死にレジを打っている。
「次のお客様どうぞ!」
「袋はご利用になりますか!」
だが明らかに手が足りていない。
新人も増えているが、教える人間がいないのだ。
パンダは腕を組んだ。
「確かににゃ。」
「教育係がいないと増やせないにゃ。」
その時だった。
泉のほとりで、法王がのんびりと雪見だいふくを食べていた。
「この泉は凄い泉なんですよ。」
ぽつりと呟く。
パンダとレオンが振り向く。
「珍しい物を御供えすれば、どんな願いも叶えてくれるとか。」
「今までに願いを叶えてもらったのは――」
法王は手に持った雪見だいふくを見て、少しだけ残念そうに言った。
「雪見だいふくは二個しか入ってないのが惜しいですね。」
そして最後の一個を口に入れる。
「百二十年前の勇者様の願いで、百年の平和を望まれました。」
レオンが目を見開く。
「そんな伝説が……。」
パンダの目がキラリと光った。
「むー。」
「それなら――」
パンダは立ち上がる。
「従業員教育係を百人依頼してみるにゃ!」
「百人!?」
レオンが叫ぶ。
「御供えは各店のおにぎり十個ずつ!」
「試しに泉にぶち込んでみるにゃ!」
パンダは店へ走った。
「おにぎり持ってくるにゃー!」
数分後。
三店舗分のおにぎりが山のように積まれた。
鮭。
ツナマヨ。
昆布。
梅。
豪華なラインナップである。
村人達がざわつく。
「そんなに投げるのか……。」
「もったいない……。」
魔王軍も興味津々で見ている。
「願いが叶う泉か。」
「面白い。」
深雪はカメラを構えた。
「これ絶対撮るやつだろ!」
「回せ回せ!」
パンダは泉の前に立った。
「いくにゃよ!」
ひょいっ。
ぽちゃん。
ぽちゃんぽちゃんぽちゃん!
次々とおにぎりが泉に投げ込まれていく。
水面が静かに揺れる。
全員が息を呑んだ。
「……。」
「……。」
何も起きない。
レオンが小声で言う。
「やっぱり伝説は伝説じゃ……。」
その瞬間。
ゴボゴボゴボッ!
泉が激しく泡立った。
「来たにゃ!」
パンダが叫ぶ。
水面が盛り上がり、光が溢れる。
そして――。
ぽんっ。
泉の中から、一人の人影が現れた。
いや、一人ではない。
二人。
三人。
十人。
二十人。
次々と人が現れる。
全員が同じ制服を着ていた。
黒いズボン。
白いシャツ。
名札。
そして――完璧な笑顔。
「いらっしゃいませ。」
百人の声が揃った。
レオンが固まる。
「……本当に来た。」
パンダは満足そうに頷いた。
「成功にゃ。」
その中の一人が前へ出る。
「私達は教育専門スタッフです。」
「接客、レジ、商品管理、全て指導可能です。」
レオンが震える声で言う。
「神か……。」
パンダは胸を張った。
「泉にゃ。」
魔王が腕を組む。
「便利すぎるだろう。」
法王は満足そうに頷いた。
「願いは正しく使うものです。」
深雪が叫ぶ。
「異世界で人材ガチャ成功したぞ!」
「これ絶対バズる!」
教育スタッフ達はすぐに動き出した。
「新人はこちらへ。」
「レジ操作を教えます。」
「笑顔はこうです。」
エルフ達が感動する。
「すごい……。」
「分かりやすい……。」
ダークエルフも頷く。
「これならすぐ覚えられる。」
店内の動きが一気に改善されていく。
レオンは深く息を吐いた。
「これで回る……。」
パンダは満足そうに空を見上げた。
「よし。」
「次は扇風機ベストにゃ。」
レオンが即座にツッコむ。
「まだやるのか!」
こうして異世界コンビニは、人手不足を泉の力で解決し、さらに進化することになった。
アイデアがアイデアが湯水の如く溢れ出す。
なろう小説って面白いなぁ。
イイネ、コメントなどよろしくお願いします。
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