第4話 初めての従業員
その時、森の奥から数人のエルフ達が現れた。
長い耳。
透き通るような肌。
腰まで伸びた金色や銀色の髪。
村人達がざわめく。
「エルフだ。」
「森の民が、なぜこんな場所に……。」
先頭にいたエルフの女性が、パンダに頭を下げた。
「従業員募集の看板を見て参りました。」
「私達にも働けるでしょうか?」
パンダはエルフ達を上から下まで見た。
そして、満足そうに頷く。
「採用にゃ。」
「まだ名前も聞いてませんが。」
「問題ないにゃ。」
パンダは四次元収納ポシェットに手を入れた。
「まず制服にゃ!」
取り出したのは、三種類のコンビニ制服だった。
セブンヌレブン。
ロートン。
ファミリーショップ。
「好きなの選ぶにゃ。」
エルフ達は制服を広げ、目を輝かせた。
「これは騎士団の正装でしょうか?」
「違うにゃ。」
「神官の法衣?」
「違うにゃ。」
「コンビニ店員の制服にゃ。」
「コンビニ店員……。」
数分後。
セブンヌレブンの制服を着た金髪エルフ。
ロートンの制服を着た銀髪エルフ。
ファミリーショップの制服を着た黒髪エルフ。
全員、異様なほど似合っていた。
村人達から歓声が上がる。
「おお……!」
「森の精霊みたいだ!」
魔王軍も見惚れていた。
将軍が呟く。
「魔王様。」
「この店、危険です。」
「何がだ。」
「店員が美し過ぎます。」
魔王は真剣な顔で頷いた。
「確かに危険だ。」
パンダは手を叩いた。
「はい、見惚れてないで研修始めるにゃ!」
エルフ達が一列に並ぶ。
レオンが説明を始めた。
「お客さんが来たら、まず挨拶です。」
「いらっしゃいませ。」
エルフ達は揃って頭を下げた。
「いらっしゃいませ。」
森中に、美しい声が響いた。
村人達がどよめく。
魔王軍の兵士達まで姿勢を正す。
ナルが拍手する。
「じょうずー!」
リアは腕を組んだ。
「でも笑顔が足りないよ。」
エルフ達は困った顔をした。
「笑顔……ですか?」
リアは満面の笑みを作った。
「こう!」
エルフ達も真似をする。
「いらっしゃいませ!」
今度は笑顔付きだった。
魔王軍の兵士が胸を押さえた。
「ぐっ……。」
「どうした!」
「破壊力が……。」
パンダは満足そうに頷いた。
「よし。」
「セブンヌレブン、ロートン、ファミリーショップ。」
「各店舗、エルフ三名ずつ配置にゃ!」
レオンが聞く。
「給料はどうする?」
「時給千三百円にゃ。」
「日本円がありません。」
「この国の金で払うにゃ。」
エルフの一人がおそるおそる手を挙げた。
「あの……。」
「従業員割引はありますか?」
パンダは目を細めた。
「お主。」
「できる店員にゃ。」
こうして異世界初のコンビニには、異世界初のアルバイト店員が誕生した。
ただいま後書き及び、手直し更新中。
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