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リア充天才パンダとレオンの異世界日本化計画  作者: ヘタレパンダ


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第二十二話 朝食ビュッフェとドラゴンの骨


帝王ホテルの朝。


レストランへ降りると、色とりどりの料理が並ぶ朝食ビュッフェが異世界東京視察団を迎えていた。


焼き魚。


だし巻き玉子。


味噌汁。


焼き立てパン。


ベーコン。


ソーセージ。


サラダ。


ヨーグルト。


フルーツ。


オムレツ。


目玉焼き。


ジュースや牛乳まで揃っている。


「朝から豪華じゃのう。」


法王が感心する。


「好きな物を好きなだけ食べられる。」


魔王も頷く。


「日本は食が豊かだ。」


猫獣人は焼き鮭へ一直線。


「朝も魚だ!」


「幸せー!」


ドワーフはパンにベーコンを挟みながら、


「昨日食い過ぎたのに、また腹が減った。」


と笑う。


エルフ達は色鮮やかなサラダや果物を美しく盛り付けていた。


「盛り付けも勉強になりますね。」


その一方で──。


レオンはコーヒーを淹れ、深雪へ差し出す。


「ブラックで良かったよな?」


「ありがと。」


自然なやり取り。


深雪はレオンのネクタイを真っすぐ直す。


「曲がってる。」


「朝から世話焼くな。」


「だって気になるじゃん。」


二人だけの世界だった。


エルフ達は見なかったことにする。


「…………。」


「…………。」


ドワーフ達だけがニヤニヤしていた。


「朝から仲良しだな。」


「夫婦ってやつか。」


レオンは耳まで赤くなる。


「からかうな!」


深雪は笑いながら腕を組んだ。


「いいじゃん。」


「旦那なんだから。」


法王は静かに微笑み、


「仲の良い夫婦は見ていて和みますな。」


魔王も頷く。


「戦争しているより百倍良い。」


朝食を終えると、全員は鴉バスへ乗り込んだ。



「本日の一件目!」


深雪がマイクを握る。


「国立科学博物館でーす!」


「今日は特別展、大恐竜展も開催中!」


「ドラゴンの骨じゃないぞ。」


「恐竜だからな!」


三十分後。


巨大な博物館へ到着する。


中へ入った一行は、最初の展示室で立ち止まった。


巨大なティラノサウルスの骨格標本。


天井近くまで届く首長竜。


翼を広げた翼竜。


全員が固まる。


「…………。」


魔王が口を開いた。


「ドラゴンだ。」


法王も頷く。


「ドラゴンですな。」


村長も真顔で言う。


「ドラゴンですね。」


レオンは苦笑した。


「違う。」


「恐竜。」


「昔、地球にいた生き物だ。」


魔王は骨を見上げる。


「つまり……。」


「絶滅したドラゴンか。」


「いや違う。」


「ドラゴンじゃない。」


深雪が笑う。


「異世界人はみんなドラゴン扱いだな。」


猫獣人は巨大な歯を見上げながら震えている。


「これに追いかけられたら終わる。」


「食われる。」


ドワーフは骨を叩きそうになり、学芸員に止められた。


「触っちゃ駄目です。」


「すまん。」


「職業病だ。」



鉱物展示室では宝石が並ぶ。


ダイヤモンド。


ルビー。


エメラルド。


巨大な水晶。


魔王は目を輝かせた。


「これだけで国が買えるな。」


エルフ達は宝石よりも加工技術へ興味津々だった。


「削り方が美しい。」


「光の反射まで計算されています。」



ミイラの展示。


「本当に人なのか。」


法王が静かに手を合わせる。


「安らかに。」


村長も続いて頭を下げた。



日本館では甲冑や日本刀を見学する。


「軽い。」


「美しい。」


魔王は日本刀を見つめた。


「武器でありながら芸術品だ。」


法王も感心する。


「これほど美しい剣は初めて見ました。」



昼になる。


休憩所では、深雪とレオンが一人一人へ弁当を配っていく。


「はい。」


「名店の幕の内弁当だ。」


「今日はコンビニ弁当じゃないぞ。」


包みを開くと、


焼き魚。


煮物。


玉子焼き。


海老。


鶏の照り焼き。


炊き込みご飯。


色鮮やかな料理が並んでいた。


「芸術作品みたいだ。」


エルフが思わず呟く。


法王は一口食べ、


「丁寧な味ですな。」


と微笑む。


魔王も頷く。


「日本人は弁当まで本気だ。」



午後。


一行は上野動物園へ向かった。


「今日はパンダも見られるぞ。」


深雪が言う。


猫獣人達が首を傾げる。


「パンダ?」


「白黒の熊だ。」


ガラス越しに笹を食べるパンダを見る。


「食べてるだけなのに可愛い。」


「何だあの生き物。」


村長は園内を見回しながら呟いた。


「動物園も作りたいですな。」


魔王は笑って肩を叩く。


「金は任せろ。」


「子ども達が笑顔になる施設なら、いくらでも協力しよう。」


村長は感激して深く頭を下げた。


「ありがとうございます!」


深雪はカメラへ向かって笑う。


「日本視察二日目。」


「まだまだ異世界日本視察団は続きます!」


 深雪がマイクを握る。


「さて、今日の視察はこれで終わり……と言いたいところだけど、日本と言えば忘れちゃいけない物がある!」


 ドワーフが身を乗り出す。


「まだ食うのか?」


 深雪はニヤリと笑った。


「もちろん!」


「今日は日本が世界に誇るラーメン!」


「一乱に行くぞー!」


「おおーーっ!」


 歓声が上がる。


 ◇


 数十分後。


 鴉バスは人気ラーメン店『一乱』へ到着した。


 店へ入ると、魔王が辺りを見回す。


「……何だ、この仕切りは。」


 席と席の間には仕切り板が立てられ、一人ずつ食事を楽しめる造りになっている。


 法王も首をかしげた。


「修行でも始まるのでしょうか。」


 深雪は笑った。


「違う違う。」


「ラーメンを味に集中して食べてもらうための工夫なんだ。」


 猫獣人達は注文票を見つめている。


「麺の硬さ?」


「スープの濃さ?」


「ねぎ有り?」


「全部選べるのか!」


 レオンが説明する。


「好みに合わせて注文できるんだ。」


「日本人はこういう細かいところにもこだわる。」


 やがて湯気を立てたラーメンが運ばれてきた。


 白い豚骨スープ。


 細い麺。


 香り高いチャーシュー。


 魔王は恐る恐るスープを一口飲む。


「……。」


 もう一口。


 さらにもう一口。


「うまい。」


 法王も静かに頷く。


「身体が温まりますな。」


 ドワーフ達は勢いよく麺をすすった。


「ずるるるるっ!」


「この麺、止まらん!」


 猫獣人達も夢中になって食べる。


「替え玉!」


「替え玉って何!」


 レオンが笑う。


「麺だけ追加できるんだ。」


 全員が驚いた。


「麺だけ!?」


「日本人、天才だ!」


 店内は笑い声に包まれた。


 ◇


 夕食を終えた一行は、帝王ホテルへ戻った。


 ホテルへ着くころには、全員少し疲れた表情をしていたが、その顔には満足そうな笑顔が浮かんでいた。


 エルフ達は今日撮った写真をスマホで見返しながら話している。


「恐竜の骨も凄かったですね。」


「パンダも可愛かったです。」


 ドワーフ達はラーメンの話で盛り上がる。


「明日も食べたい!」


「替え玉三回はいけるぞ!」


 レオンは苦笑した。


「毎日は駄目だ。」


「栄養のバランスも考えろ。」


 深雪はそんなレオンの肩を軽く叩いた。


「さすがお医者さん。」


「でも、今日はみんなよく歩いたし、大目に見てやれよ。」


 レオンは笑って頷く。


「今日だけ特別な。」


 魔王と法王は並んでエレベーターへ乗り込む。


「今日も実り多い一日だったな。」


「ええ。」


「日本から学ぶことは、まだまだ尽きませんな。」


 こうして異世界東京視察団、二日目の夜は静かに更けていった。




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