第十四話 スマホでYouTube
異世界東京視察団の出発まで、あと一日。
コヌトコ一号店の休憩スペースには、東京視察団の全員が集まっていた。
魔王。
法王。
村長。
ドワーフ。
エルフ。
ダークエルフ。
獣人。
そしてテレビクルー。
全員の手には、昨日配られたばかりのスマホがある。
深雪は前へ出ると、大きく咳払いをした。
「いーかぁ!」
全員が静かになる。
「昨日、東京の観光スポットを紹介する動画を作ってYouTubeにアップした!」
スマホを高く掲げる。
「今からURLを送る!」
「全員、ちゃんと視聴するんだぞ!」
スマホが一斉に震えた。
ピコン。
ピコン。
ピコン。
魔王が驚く。
「鳴いた。」
法王も画面を見つめる。
「私のも光りました。」
エルフ達は恐る恐る画面を触る。
「どこを押せば良いのでしょう。」
深雪は笑った。
「iPhone20 poloでもGALEXYでも構わない!」
「使い方が分からない奴は俺に聞け!」
「それか、泉から来たスマホ販売員に聞け!」
休憩スペースの隅では、制服姿のスマホ販売員達が笑顔で待機していた。
「初期設定はこちらで承ります。」
「操作説明もいたします。」
「データ移行は不要です。」
魔王が手を挙げる。
「ユーチューブとは何だ。」
深雪は即答した。
「世界中の動画が見られる場所だ。」
「無料で?」
「無料の物もある。」
魔王は真剣な顔になる。
「商売になるのか。」
「広告で儲かる。」
「広告とは?」
「あとで説明する。」
法王は画面を見ながら微笑む。
「便利な世の中ですな。」
深雪は胸を張った。
「ちなみに俺は仕事用と自分用で二台持ちだからな。」
ドワーフが驚く。
「二台も必要なのか?」
「動画撮影すると、すぐ容量がいっぱいになるんだよ。」
「なるほど。」
エルフ達は感心したように頷いた。
その時だった。
深雪が送ったURLを、全員が開く。
画面が暗くなり、音楽が流れ始める。
『異世界東京視察団へようこそ!』
東京の空撮映像が映し出された。
高層ビル。
夜景。
高速道路。
行き交う人々。
異世界の一同は、息をのむ。
「街が……光っている。」
村長が呟く。
「星が地上に降りたようです。」
魔王も見入っていた。
「これほど巨大な都市が、本当に存在するのか。」
映像は次々と切り替わる。
秋派薔薇の電気街。
大型家電量販店。
巨大なアニメショップ。
法王が目を丸くする。
「建物一つが、全て本屋なのですか?」
深雪のナレーションが流れる。
『ここは秋派薔薇。電気製品やアニメ、ゲームの聖地です。』
ドワーフが興奮して立ち上がる。
「行きたい!」
「今すぐ行きたい!」
映像はさらに続く。
巨大なショッピングモール。
回転寿司。
牛丼。
ラーメン。
映画館。
猫獣人は寿司の映像から目を離せない。
「魚……。」
「全部食べたい。」
リアもナルもスマホに釘付けだった。
「すごーい!」
「ラーメン!」
桜子も画面を指差す。
「おすし!」
まきは三人を見ながら笑う。
「東京に着いたら大変そうだね。」
動画は最後に大きく文字を映し出した。
『東京まで、あと一日!』
全員が自然と拍手を送る。
深雪は満足そうに腕を組んだ。
「予習は完璧だな。」
「明日から本物を見るぞ!」
魔王はスマホを大事そうに胸へしまった。
「ますます楽しみになってきた。」
法王も静かに頷く。
「勇者様の世界から、多くを学ばせていただきましょう。」
その頃――。
泉の森では、パンダが汗だくになりながら走り回っていた。
「コンビニ九店舗同時オープンにゃー!」
「コヌトコ一号店!」
「ウニクロ一号店!」
「ワーキュマン一号店!」
「急ぐにゃー!」
遠くからレオンの声が響く。
「だから一度にオープンし過ぎだってぇー!!」
コメント、イイね、感想などお待ちしてます。
シツコく書かない方が良いのかな?




