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リア充天才パンダとレオンの異世界日本化計画※毎日20時更新。そんなに全削除して欲しいですか?  作者: ヘタレパンダ


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第103話 香水の魔力



精神と時の空間――。


 訓練見学を終えたパンダは、昨日から少し気になっていた場所へ向かっていた。


「魔道具班は何してるかにゃー?」


 二日間、世界各国から集まった訓練生たちの様々な訓練を見て回った。


 防御。


 音楽。


 精密制御。


 索敵。


 救助。


 輸送。


 花火。


 遠距離支援。


 どこへ行っても、それぞれの得意分野を伸ばす訓練が行われていた。


 その中でも、時計職人たちが行っていた精密な魔力操作が、パンダの頭に残っていた。


『複雑な魔道具ほど、細かな加工が必要になります』


「そういえばポルガンたちも、ずっと魔道具作ってるもんにゃ」


 今日もパンダの顔には、最新式高性能ウェアラブル端末メガネ。


 もちろん撮影中である。


「今日は魔道具班を見物するにゃ!」


 扉を開けた。


「お邪魔しますにゃー!」


「あっ、パンダちゃん!」


 真っ先に振り向いたのは真央だった。


 広い作業場には、大小様々な魔石や金属部品、地球から持ち込まれた工具などが並んでいる。


 その中央では、ポルガンとリリーが訓練生たちに混じって何やら作業をしていた。


「パンダさん、どうしたの?」


 ポルガンが手を止める。


「見物に来たにゃ。二日間、みんなの訓練見てたんだよ」


「へぇ。面白かった?」


「面白かったにゃ! 五番は炭酸振ってたし、七番は外国人に怒ってたし、時計職人さんは地味だった!」


「最後の人、褒めてませんよね?」


「途中から凄かったにゃ!」


 真央が笑った。


 リリーは作業台の向こうから顔を上げる。


「それで、今日は僕達を撮影するのか?」


「そうにゃ!」


「なら、作業の邪魔だけはするなよ」


「みんなパンダに厳しいにゃ!」


「君は何をするか分からないからね。」


「失礼にゃ!」


 そう言いながらも、パンダは素直に少し離れた。


 作業台の上を覗く。


「何作ってるの?」


「訓練生用の魔道具ですよ」


 ポルガンが答えた。


「みんな得意な魔法が違うから、それに合わせて使いやすい形も変えてるんですよ!結構、難しいです。」


「へぇー」


 昨日まで見ていた専門訓練と、ここでも繋がっていた。


 魔法を使う者。


 魔法を補助する道具を作る者。


 さらに、その道具に必要な精密部品を作る者。


「本当に専門家だらけになってきたにゃ」


「一人で全部やる必要はないからね」


「それ、パンダ大好きにゃ!」


「自分がやりたくないだけじゃない?」


「バレたにゃ」


 真央が吹き出した。


     ◇


 しばらく作業を見物していたパンダだったが――。


 突然、何かを思い出した。


「あっ!」


「どうした?」


「そういえば!」


 パンダはポルガンを見る。


「ポルガン達って、香水とかも詳しい?」


「香水?」


 ポルガンは少し考えた。


「地球のものは詳しくないけど、香料や香油なら知ってるよ。アルメリアでも使うから」


「やっぱり!」


「どうしたの?」


 真央も興味を示す。


 パンダは嬉しそうに笑った。


「パンダね、香水好きなんにゃよ」


「そうなの?」


「そうにゃ! それで、一昨日ヘタレパンダさんにヴィンテージの香水を貰ったんにゃ!」


「ヴィンテージ?」


 真央が首を傾げる。


「昔に作られた古い香水にゃ。今じゃ手に入りにくいやつもあるんだよ」


「見たい!」


 真央が即答した。


「僕も興味があるな」


 リリーまで作業の手を止めた。


 ポルガンも目を輝かせる。


「パンダ、持ってるの?」


「あるにゃ!」


 パンダは四次元収納ポシェットへ手を入れた。


「せっかくだから、パンダの香水コレクションも見せてあげるにゃ!」


「本当!?」


「見たい!」


「ちょっと待つにゃー」


 ごそごそ。


 次々と香水が取り出され、作業台の空いている場所へ並べられていく。


 小さな瓶。


 変わった形の瓶。


 色のついたガラス。


 透明なガラス。


 ヴィンテージの香水も、その中へ大切に置かれた。


「わぁ……!」


 真央の目が輝く。


「綺麗!」


「容器だけでも随分凝っているな」


 リリーは早くも職人の目で瓶を観察している。


「これは全部、香水?」


「そうにゃ」


 ポルガンは一本ずつ興味深そうに眺めていた。


「地球では、こんなに種類があるの?」


「もっといっぱいあるにゃ。これはパンダが持ってる分だけ」


「凄い……」


「嗅いでみる?」


「いいの!?」


 三人が一斉にパンダを見た。


「もちろんにゃ!」


     ◇


 それからしばらく――。


 魔道具の作業場だったはずの場所は、完全に香水の試香会になっていた。


「これ好き!」


「真央、それさっきも言ってなかった?」


「だって、どれもいい香りなんだもん!」


「これは先ほどのものとは随分違うな」


 リリーも興味津々だった。


 ポルガンは香りを確かめながら、不思議そうに瓶を見る。


「地球の香水って面白いね」


「何が?」


「香料を混ぜているだけじゃないんでしょ?」


「うん。時間が経つと香りが変わったりするにゃ」


「変わる?」


「最初に感じる香りと、少し時間が経ってからの香りと、最後に残る香りが違ったりするにゃよ」


「そんなことができるのか……」


 ポルガンはますます興味を持ったらしい。


「異世界の香料でも作れるかな?」


「作れるんじゃない?」


 パンダは軽く答えた。


 だが――。


 その言葉を聞いたリリーが、ゆっくり顔を上げた。


「待て」


「にゃ?」


「異世界の香料……」


 リリーが考え込む。


「魔力を含む花や植物を使ったら、どうなる?」


「あ」


 ポルガンも気づいた。


「香水そのものに魔力を持たせられる?」


「可能性はある」


「面白そう!」


 真央まで身を乗り出した。


「作ってみようよ!」


「ちょっと待つにゃ!」


 三人の勢いにパンダが笑った。


「まだ香水見せただけにゃ!」


「でも面白そうじゃない!」


「それはそうだけど」


 パンダは並んだ香水の一本へ目を落とした。


 そして、ふと思い出した。


「そうだ」


「何?」


「パンダね――」


 少しだけ表情が変わる。


「香水嗅いで、忘れてたこと思い出したんにゃよ」


 三人が静かになった。


「忘れてたこと?」


 ポルガンが尋ねる。


「うん」


 パンダは自分の鼻先を指差した。


「ある匂い嗅いだら、急に昔のこと思い出したの」


「香りだけで?」


「そうにゃ」


 リリーの目が鋭くなる。


「それは……興味深いな」


「にゃ?」


「香りと記憶が結びついているのなら、そこへ魔力を加えればどうなりますかね?」


 パンダが瞬きをした。


 真央も考え始める。


「忘れていた記憶を思い出しやすくするとか?」


「あり得ると思います」


 ポルガンも香水瓶を見る。


「でも、他人の記憶を勝手に変えるような魔法は嫌だな」


「パンダもそれは嫌にゃ」


「なら、記憶を作ったり消したりするんじゃなくて――」


 リリーが一本の香水瓶を持ち上げた。


「本人の中にすでに存在する記憶。それを呼び起こす手助けをする」


「おお!」


 パンダが声を上げる。


「それなら良いにゃ!」


「香りを使った魔法……」


 真央が嬉しそうに笑った。


「素敵じゃない?」


「香水の魔法かぁ」


 ポルガンも楽しそうだった。


 パンダは腕を組む。


 そして数秒考えた。


「じゃあ作ってみればいいにゃ!」


「やっぱりそうなるの!?」


「パンダ、アイデア出したから後は任せるにゃ!」


「出たな」


 リリーが呆れた顔をする。


「君はいつもそれだな」


「適材適所にゃ!」


「昨日覚えた言葉を都合よく使ってない?」


 真央が笑う。


「パンダは頭使う係だからにゃ!」


「はいはい」


 ポルガンも笑った。


 しかし、その視線はすぐに香水へ戻った。


 地球の香水。


 異世界の花。


 魔力を持つ植物。


 そして、人間の記憶。


 これまで誰も組み合わせようとしなかったものが、パンダの何気ない一言によって繋がり始めていた。


「ねえ、パンダ」


「にゃ?」


「この香水、もう一回嗅いでもいい?」


「いいにゃ」


「俺も!」


「僕も頼む」


「みんな香水好きになったにゃー!」


 パンダは嬉しそうに笑った。


 魔道具班の訓練は――。


 いつの間にか、すっかり香水研究へ変わっていた。


 そしてこの日。


 異世界に新たな魔法が生まれる、小さな種が蒔かれたのだった。





ポルガンです。

俺の一人称は俺。

リリーの一人称は僕。

真央の一人称は私ですよ。


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