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リア充天才パンダとレオンの異世界日本化計画※毎日20時更新。そんなに全削除して欲しいですか?  作者: ヘタレパンダ


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第102話 パンダ、訓練を見物する 後編



その日の夜――。


 宿舎。


「疲れたにゃー!」


 パンダは寝室へ入るなり、キングサイズのベッドへ飛び込んだ。


 もっとも、今日一日訓練していたわけではない。


 見ていただけである。


「ママ、何してきたの?」


 リアがベッドへ上がりながら尋ねた。


「みんなの訓練見てきたにゃ。撮影もいっぱいした!」


「見たい!」


「ナルもー!」


 リアとナルが左右からパンダへくっついた。


「仕方ないにゃー」


 パンダは今日撮影した映像を再生する。


 最初に映ったのは、炭酸飲料を浴びて全身びしょ濡れになった訓練生だった。


『引っ掛かった! 引っ掛かった!』


 画面の中で五番が大笑いしている。


「キャハハハハ!」


「びしょびしょー!」


 リアとナルが大喜びする。


 レオンは呆れた顔をした。


「五番は何を教えているんだ?」


「ちゃんと結界の先生してたにゃ。意外と真面目だった」


「意外とは失礼だろう」


「レオンも見れば分かるにゃ。普段はこれだから」


 続いて七番の映像。


『ちょっとぉ! 撮ってるなら先に言いなさいよ!』


「七番だー!」


「お化粧してるー!」


『イヤァァァ! 今の撮り直して!』


 リアとナルが再び笑い転げる。


 そのあとには欅丸48の歌によって魔力が重なっていく光景や、外国人ミュージシャンが強すぎる魔力を放って七番に怒鳴られる場面。


 時計職人が極細の魔力で小さな歯車を操る場面も映っていた。


 レオンは映像を見ながら感心したように頷いた。


「随分、専門化が進んだな」


「うん。パンダも今日初めてちゃんと見たにゃ」


「全員に同じことをさせるより合理的だ。それぞれ元々持っていた技能も生かせる」


「時計職人さん凄かったにゃ。最初、地味って言っちゃった」


「言ったのか?」


「言っちゃったにゃ」


「失礼だぞ」


「あとで凄いって褒めたから大丈夫にゃ」


「そういう問題じゃないだろう」


 レオンが笑う。


 その間にも、ナルの瞼が少しずつ下がっていた。


「ナル、眠い?」


「ねむくない……」


「眠そうにゃ」


「ねむく……」


 言い終わる前に、ナルはパンダの腕へ頬を乗せた。


 リアも大きな欠伸をする。


「リアも寝るー」


「はいはい。おやすみにゃ」


 パンダが二人に布団を掛ける。


 やがて、キングサイズのベッドの中央でリアとナルは静かな寝息を立て始めた。


「寝ちゃったにゃ」


「あれだけ毎日動いていればな」


 レオンが小さく笑う。


 パンダは子供たちを起こさないように、そっとレオンの方へ寄った。


「明日も見に行くにゃ」


「気に入ったのか?」


「面白かった。パンダは訓練するの嫌だけど、見るのは好きにゃ」


「知ってる」


「明日はもっと色々見る」


「あまり邪魔するなよ」


「しないにゃ!」


 パンダはレオンの腕にくっついた。


「おやすみにゃ」


「おやすみ」


 しばらくすると、四人は同じベッドの中で眠りについた。


 深雪もまた、踊りの訓練で疲れ果て、自分の部屋ですでにぐっすり眠っていた。


     ◇


 翌日――。


「二日目にゃー!」


 再び最新式高性能ウェアラブル端末メガネを装着したパンダが、元気よく訓練場へ現れた。


「今日も撮るにゃ!」


 昨日とは違う区画へ向かう。


 しばらく歩いていると、何やら巨大な瓦礫の山が見えてきた。


「……壊したの誰にゃ?」


「訓練用だよ」


「にゃ?」


 近くにいた訓練生が笑った。


 瓦礫は、地震や建物の倒壊を想定して組まれたものだった。


 その中には、人間と同じ重さの人形が何体も隠されている。


「救助訓練?」


「そうです!」


 合図が鳴った。


「開始!」


 訓練生たちが一斉に動く。


 だが、誰も無闇に瓦礫を吹き飛ばさない。


「なんで壊さないにゃ?」


「中に人がいるかもしれないからです!」


「なるほど!」


 一人が地面へ手を置く。


 目を閉じ、魔力を薄く広げていく。


「三人! 右側に二人、奥に一人!」


「位置は!?」


「右手前、深さ一・五! もう一人はその奥!」


 すぐに別の訓練生たちが動いた。


 大きな瓦礫だけを魔法でゆっくり持ち上げる。


 その下へ別の者が結界を差し込み、崩落を防ぐ。


「おおお……!」


 パンダが思わず近づいた。


「凄いにゃ! 映画みたい!」


「パンダさん、危ないから下がって!」


「はいにゃ!」


 素直に下がった。


 昨日の防御訓練とは違う。


 一人の強い魔法使いが全部やるのではない。


 探す者。


 持ち上げる者。


 崩れないよう支える者。


 負傷者を運び出す者。


 それぞれが自分の仕事だけに集中していた。


「発見!」


 瓦礫の隙間から人形が運び出される。


「呼吸なし!」


「救護班!」


「はい!」


 待機していた訓練生が駆け寄った。


 パンダはウェアラブル端末の蔓を押さえながら、その様子を撮影する。


「これ、本当に災害が起きたとき役に立つにゃ」


「そのための訓練だからね」


 後ろから声がした。


 振り返ると、龍の九番が立っていた。


「九番が教えてるにゃ?」


「僕は索敵と救助担当」


「へぇー!」


「敵を見つけるだけが索敵じゃない。見えない場所にいる人を探すのにも使えるから」


「なるほどにゃ!」


 パンダは九番へカメラを向けた。


「九番、もう一回言って」


「なんで?」


「今の格好良かったから」


「撮れてただろ?」


「撮れてるにゃ」


「じゃあいいだろ!」


     ◇


 次の区画では、空が騒がしかった。


「行けー!」


 何十本もの箒が一斉に飛び立つ。


「また箒?」


 パンダは首を傾げた。


 しかし以前の飛行訓練とは様子が違う。


 二人乗り。


 荷物を積んだ箒。


 担架のような魔道具を吊り下げた箒まで飛んでいる。


「あ、運ぶ訓練か!」


 地上から救助された負傷者役を受け取り、安全地帯まで空輸する。


 ただ速く飛べばいいわけではない。


「揺らすな!」


「高度を上げすぎるな!」


「後ろを確認!」


 教官の声が飛ぶ。


 一機が強い風を受け、大きく傾いた。


「あっ!」


 パンダが声を上げる。


 その瞬間。


 別の箒が横へ並んだ。


 二人の訓練生が同時に魔力を送り、傾いた箒を支える。


 すぐに体勢が戻った。


「おおー!」


 パンダが拍手する。


「助けたにゃ!」


「一人で飛ぶ訓練じゃないからな」


 龍の八番が空から降りてきた。


「八番!」


「今日は輸送班を見に来たのか?」


「全部見物してるにゃ」


「暇なんだな」


「暇にゃ」


 即答だった。


「でも、前にやった箒の訓練と全然違うね」


「あれは基本だ。飛べなきゃ始まらないからな」


「こっちは?」


「人や物を安全に運ぶ訓練。速さより、落とさないことが大事だ」


「なるほどにゃー」


 パンダは空を見上げた。


 以前は飛ぶだけで精一杯だった者たちが、今では互いを支えながら空を飛んでいる。


「みんな上手くなったにゃ」


     ◇


 その後もパンダは歩き続けた。


「うわぁぁぁ!」


 遠くで巨大な光が空へ駆け上がる。


 ドォォォン!!


 色鮮やかな光の花が空いっぱいに咲いた。


「花火にゃ!」


 走っていくと、そこには花火師たちと魔法使いたちが集まっていた。


 魔法の発動位置。


 打ち上げる角度。


 高さ。


 色。


 次の花火までの間隔。


 細かな調整が繰り返されている。


「まだ練習してるの?」


「当然だ」


 龍の六番が振り返った。


「一発成功したから終わりじゃない。同じものを何度でも再現できなきゃ、本番では使えない」


「おお。六番、真面目にゃ」


「俺はいつも真面目だ!」


「五番と兄弟なのに」


「一緒にするな!」


 ドォォォン!!


 再び花火が開く。


 パンダのウェアラブル端末いっぱいに、光の花が映り込んだ。


「綺麗にゃー」


 だが、花火師たちは見惚れてはいない。


「今の、少し右!」


「開くのが早い!」


「魔力を三パーセント落として!」


「了解!」


「細かいにゃ……」


「だから花火は難しいんだよ」


 六番が笑った。


     ◇


 さらに奥へ進む。


 そこだけ、空気が違った。


「……なんか怖いにゃ」


 巨大な標的を前に、数十人の訓練生が並んでいる。


 その前にいたのは、龍の十番と十一番。


 二人とも、プロメテーウスと共に行動していた龍だった。


「十番! 十一番!」


「パンダか」


「見学?」


「そうにゃ」


 十一番が笑う。


「ここはちょっと危ないから、後ろにいてね」


「何するの?」


「遠距離からの魔法支援」


 十番が標的を指差した。


「戦う者全員が、敵の目の前に立つ必要はない」


 訓練生たちが一斉に構える。


「距離、三百!」


「照準!」


「固定!」


「撃て!」


 無数の魔法が空を走った。


 炎。


 光。


 風。


 氷。


 しかし、ばらばらには飛ばない。


 すべてが一つの地点へ集中する。


 ドォォォォォン!!


「にゃああああっ!」


 爆風に驚き、パンダがしゃがみ込んだ。


「びっくりしたにゃ!」


「だから後ろにいろって言ったでしょ」


 十一番が笑った。


「凄いにゃ……」


「でも、まだ駄目」


「え?」


 十一番の表情が教官のものへ変わる。


「三人遅れた。二人は照準がずれてる」


「分かるの?」


「当然」


 十番も訓練生たちへ向き直った。


「もう一度!」


「はい!」


 パンダは少し離れたところから、その姿を撮影した。


 普段見る龍兄弟とは違う。


 人類へ魔法を教える者として、確かにそこに立っていた。


     ◇


「ふぅー」


 かなり歩いた。


 パンダは休憩用の椅子へ座り込んだ。


「見物も疲れるにゃ」


 昨日から二日間。


 七千五百人すべてを見られたわけではない。


 それでも十分だった。


 防御。


 音楽。


 精密制御。


 索敵。


 救助。


 輸送。


 花火。


 遠距離支援。


 ほかにも、まだいくつもの専門訓練が行われている。


 パンダはウェアラブル端末の撮影を止めた。


「みんな凄いにゃ」


 最初に集まったときは、ほとんどが魔法など使ったことのない普通の人間だった。


 それが今では、自分にしかできない役割を見つけ始めている。


「パンダも何か訓練しようかにゃ……」


 数秒考える。


「やっぱり嫌にゃ。疲れる」


 立ち上がった。


「パンダは頭使う係でいいにゃ!」


 そして、ふと思い出す。


「そういえば……時計職人さん、魔道具作るって言ってたにゃ」


 魔道具。


 その言葉で、ある人物の顔が浮かんだ。


「ポルガンたち、今何作ってるんだろ?」


 真央もいる。


 リリーもいる。


「今度、魔道具班も見に行くにゃ!」


 パンダは上機嫌で宿舎へ向かって歩き出した。


 二日間にわたる訓練見学は、これにて終了。


 だがパンダの見物は――。


 まだ終わりそうになかった。





龍の7番よ!


普段から常駐してる、異世界撮影隊の。

高橋、西田、長谷川はキチンと撮るって連絡くれるのに。

パンダちゃんたら、いきなり来るんだもの。驚くわ!

業界のTPOをご存知ないのかしらね?


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