↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リア充天才パンダとレオンの異世界日本化計画※毎日20時更新。そんなに全削除して欲しいですか?  作者: ヘタレパンダ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

103/139

第92話 夜の訓練と新しい魔法



鈍器ホーテ爆買いの翌日の夜――。


精神と時の空間・大演習場。


夕食を終えた約千五百名の訓練生たちが、再び広場へ集まっていた。


昼は飛行訓練。


そして今夜は――実戦以外の総合訓練である。


「今日は全員参加よ!」


ミカエラの澄んだ声が広場中へ響く。


「昼は空を飛ぶ技術を学ぶ。夜は人を楽しませ、人を救う技術を学ぶのよ。」


「歌、踊り、演出、花火、撮影、魔道具製作……すべて魔法使いには必要な力じゃ。」


ユリウスが穏やかに頷く。


「祭りも式典も、国を支える大切な仕事だからの。」


訓練生たちは、それぞれの持ち場へ散っていった。


深雪は五十嵐薫の前へ立つ。


「始めるぞ。」


五十嵐は腕を組み、真剣な眼差しで深雪を見る。


「はい!」


音楽が流れ始める。


「三角! 目線!」


「はい!」


「指先一つ一つまで気を抜くな!」


「お客様は、お前の指先まで見ている。」


「はい!」


「いいぞ。もう一度!」


その頃、広場の反対側では、隅田川花火大会で何度も優勝経験を持つ二つの花火チームが、魔法使いたちへ花火魔道具の扱い方を教えていた。


「よし! 今のタイミングでもう一発!」


夜空へ色鮮やかな大輪の花が咲く。


赤。


青。


金。


紫。


魔道具となった花火は魔力を流すだけで何度でも打ち上げられる。


現実では考えられないほど贅沢な練習だった。


その時だった。


「先生! ダークスライムを捕獲してきました!」


数名の訓練生が、大きな檻を押しながら駆け寄ってくる。


檻の中では十二体のダークスライムが黒い瘴気を纏い、不気味な唸り声を上げていた。


レオンは静かに前へ出る。


「皆さん、よく見ていてください。」


「闇の魔物への基本的な対処法です。」


右手を軽く掲げる。


「浄化。」


眩い白い光が檻を包み込んだ。


次の瞬間。


十二体のダークスライムは悲鳴を上げる暇もなく、光となって消滅した。


「「「おおおおっ!!」」」


訓練生たちから大歓声が上がる。


「一瞬だ……!」


「十二体同時なんて……。」


「さすがレオン先生!」


レオンは穏やかに微笑む。


「これが浄化魔法です。」


「闇の魔物には、最も安全で確実な方法ですね。」


その時だった。


「遅くなってすみません!」


夜空から聞き慣れた声が響く。


全員が空を見上げる。


一頭の飛行魔獣に跨った高橋が、大演習場へ降り立った。


しかし――。


その後ろには、さらに六頭。


合計七頭もの魔獣が整然と隊列を組み、高橋へ付き従っていた。


「なっ!?」


「魔獣だ!」


「七頭もいるぞ!」


「全部、高橋さんの言うことを聞いてる!」


高橋は苦笑しながら魔獣の頭を優しく撫でた。


「この子たち、最初は暴れていました。」


「でも、お腹が空いていて、人間が怖かっただけなんです。」


「毎日ご飯をあげて、一緒に過ごしていたら、ちゃんと心を開いてくれました。」


七頭の魔獣は嬉しそうに高橋へ身体を擦り寄せる。


その様子を見て、訓練生たちは息を呑んだ。


魔獣が人へ懐くなど、誰一人として見たことがなかったからだ。


「三角。」


五十嵐が静かに声を掛ける。


「はい!」


「休憩だ。」


「えっ?」


「面白い話が始まりそうだからな。」


深雪が周囲を見ると、いつの間にか全員が高橋の周りへ集まっていた。


「ちょっ! 俺だけ踊ってたんですか!?」


広場に笑いが起こる。


その笑いが落ち着いた頃。


五十嵐がレオンへ尋ねた。


「レオン先生。」


「はい。」


「先生ほどの天才なら、オリジナル魔法の一つくらい作れていても、おかしくないと思っていました。」


レオンは静かに首を横へ振る。


「僕は既存の魔法を改良することは得意です。」


「ですが、一から魔法を創造したことはありません。」


「そうですか。」


五十嵐は口元を緩めた。


「俺は作れます。」


「魔法は発想から生まれますから。」


その一言を聞いた瞬間だった。


パンダの思考が止まる。


オリジナル魔法。


高橋に懐く魔獣。


消滅したダークスライム。


コンビニのおにぎり。


メロンパン。


日本へ来てから元気になったランスロット。


笑顔を取り戻し始めたポルガン。


頭の中で、無数に散らばっていた点が一本の線となって繋がった。


「……そうか。」


パンダは静かに呟いた。


「全部、繋がった。」


全員の視線がパンダへ集まる。


「どうしたにゃ?」


ミカエラが首を傾げる。


パンダはゆっくりと高橋を見た。


七頭の魔獣は穏やかな表情で高橋へ寄り添っている。


次にレオンを見る。


つい先ほどまで檻の中にいた十二体のダークスライムは、浄化魔法によって跡形もなく消滅した。


そして最後にランスロットへ視線を移した。


「ランスロット様。」


「……何じゃ?」


「日本へ来てから、身体の調子良くなったよね?」


ランスロットは少し考え、小さく頷いた。


「確かにそうじゃ。」


「以前ほど身体は重くない。」


「黒薔薇の呪いも、少しだけ大人しくなっておる気がする。」


「何か特別な薬でも飲んでいたんですか?」


レオンが尋ねる。


「いや。」


ランスロットは首を横へ振った。


「毎日、皆と食事をし、日本の料理を食べておるくらいじゃ。」


「コンビニのおにぎり、美味しかったよね!」


パンダが笑う。


「メロンパンも!」


「唐揚げも!」


「アイスも!」


「コーヒーも!」


ランスロットは思わず笑った。


「ああ。」


「あれほど美味い物は初めて食べた。」


「毎日の食事が楽しみになっておる。」


パンダは嬉しそうに頷いた。


「やっぱり。」


「やっぱりそうだったんだ。」


周囲は不思議そうな表情を浮かべる。


「何がじゃ?」


ユリウスが尋ねた。


パンダはレオンを見た。


「レオン。」


「なんだ。」


「さっきダークスライムを浄化したよね。」


「ああ。」


「全部消えた。」


「そうだな。」


「それしか方法が無いと思ってた?」


レオンは迷わず答える。


「もちろんだ。」


「闇の魔物は浄化する。」


「それが、この世界の常識だ。」


パンダは静かに首を横へ振った。


「違うのかもしれない。」


その一言で空気が変わる。


「高橋さん。」


「はい。」


「魔獣はどうして懐いたの?」


「毎日、日本で造られたご飯を食べさせて、一緒に過ごしたからです。」


「最初は怖がっていました。」


「でも、本当は優しい子たちでした。」


パンダは微笑んだ。


「ランスロット様も。」


「日本へ来てから元気になった。」


「ポルガンも。」


「みんなと笑って、ご飯を食べるようになってから笑顔が増えた。」


無数に散らばっていた点。


その全てが一本の線になる。


「もしかして……。」


「闇の魔物は悪い子なんじゃない。」


「苦しんでいるだけなんじゃない?」


広場が静まり返る。


「だから。」


「浄化して消すんじゃなくて。」


「癒やしてあげればいい。」


「なっ……!」


ランスロットが目を見開いた。


「そんな魔物を回復するなんて!!」


「違うよ。」


パンダはゆっくり首を横へ振る。


「回復じゃない。」


「心を癒やすの。」


「五十嵐さん。」


五十嵐は静かに一歩前へ出た。


「何だ?」


「新しい魔法、作れる?」


五十嵐は迷わず答えた。


「ああ。」


「どんな魔法だ?」


パンダは満面の笑みを浮かべた。


「魔法名は──」


「ヒーリング・レイディアンス。」


「癒やしの輝き。」


「闇を消す魔法じゃない。」


「傷付いた心を癒やす魔法。」


五十嵐はニヤリと笑う。


「面白ぇ。」


「その魔法作ってみる。」


広場中の誰もが、息を呑んだ。


それは、この世界の歴史を変えるかもしれない、新しい魔法の誕生の瞬間だった。






リア

また忘れられてる。


ナル

ナルもだよ。


私とポルガンとリリーもよ!!

真央!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。