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第三十四話 ミーミル・アーカイブ

地下施設。


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巨大な防爆扉の前で。


サミュエルたちは足を止めていた。


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MIMIR ARCHIVE


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金属プレートに刻まれた文字。


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通信担当の隊員が写真を撮る。


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「ノマドへ送信。」


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『受信しました。』


ミアの声が返ってくる。


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『こちらでも解析します。』


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サミュエルは防爆扉へ近づいた。


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厚さは数十センチ。


軍事施設の弾薬庫にも使われるような重厚な構造だった。


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「開けられるか。」


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隊員が端末を接続する。


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電子ロック。


暗号認証。


複数の防護システム。


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「厳重ですね。」


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「当然だ。」


サミュエルが答える。


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「隠したいものがあるんだからな。」


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数分後。


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「解除完了。」


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電子音が鳴る。


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重い駆動音が響いた。


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防爆扉がゆっくりと開いていく。


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全員が武器を構える。


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だが。


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敵の姿はなかった。


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その代わり。


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巨大な空間が広がっていた。


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天井は十メートル以上。


白い照明が規則的に並ぶ。


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中央には複数の通路。


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左右には無数のサーバーラック。


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保存装置。


記録端末。


バックアップシステム。


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その数は数百にも及んでいた。


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まるで巨大な図書館だった。


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違うのは。


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本ではなく情報が保管されていること。


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「アーカイブか……。」


サミュエルが呟く。


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研究施設ではない。


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ここは保管施設だった。


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ミーミル計画に関する全てを保存する場所。


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実験記録。


研究データ。


通信履歴。


関係者名簿。


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七年間の全てが集められている。


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「これ全部がミーミル計画の記録なのか……。」


隊員の一人が息を呑んだ。


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「国家機密レベルですね。」


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サミュエルも同意する。


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普通の組織が保有できる規模ではない。


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「回収を開始しろ。」


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隊員たちが作業を始める。


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記録媒体を接続。


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検索プログラムを起動。


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膨大なデータが表示される。


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MIMIR PROJECT


MIMIR TEST DATA


MIMIR SUBJECT LIST


MIMIR OPERATION RECORD


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数万件を超える記録。


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隊員たちは検索を開始した。


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その時。


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通信担当の隊員が声を上げる。


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「隊長。」


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「どうした。」


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「ミーミル計画の概要ファイルです。」


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サミュエルがモニターを見る。


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画面には機密指定の表示。


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大部分はロックされていた。


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だが一部だけ閲覧できる。


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【MIMIR PROJECT】


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【次世代戦略兵器研究計画】


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【人型戦闘兵器運用技術】


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【極秘指定】


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【計画責任者権限以上のみ閲覧可能】


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その下には大量の黒塗りが並んでいた。


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詳細は見えない。


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だが。


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人型戦闘兵器。


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その文字だけで十分だった。


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隊員の一人が画面を見つめる。


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「人型兵器……。」


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「まさか。」


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サミュエルは首を振った。


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「まだ決めつけるな。」


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「情報が足りない。」


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その時だった。


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別の隊員が声を上げる。


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「ありました!」


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全員が振り向く。


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画面に表示された名前。


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エドワード・アークライト


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サミュエルの表情が変わる。


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レオンの父。


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七年前の事件を追っていた男。


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その記録が残されている。


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「開け。」


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隊員がファイルへアクセスする。


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その瞬間だった。


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ミアの声が通信機から響く。


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『待ってください!』


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「どうした。」


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『施設ネットワークが反応しています!』


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『監視システムがアクセスを検知しました!』


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室内の空気が変わる。


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罠だった。


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「回避できるか。」


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『無理です!』


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『警報が――』


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その時。


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施設中央管理区画。


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一人の警備員が異変に気付いた。


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監視画面。


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北東区画。


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通常とは異なるアクセス記録。


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警備員は即座に端末を操作する。


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数秒後。


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顔色が変わった。


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「侵入者だ!」


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警報ボタンが押される。


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次の瞬間。


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施設全体に赤い警告灯が灯った。


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地下通路にも。


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アーカイブ内部にも。


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警報音が鳴り響く。


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サミュエルは舌打ちした。


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潜入は終わった。


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そして。


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島全体が動き始める。


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