表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
10/37

第九話 追撃

夜空。


逃走する大型ヘリ。


その後方。


ヴァルハラ二号機。


青白い推進炎を噴きながら追撃を続けていた。


コックピット。


リディアはモニターを睨む。


目標との距離。


八百メートル。


七百メートル。


徐々に縮まっていく。


《追加推進剤残量四十三%。》


機体AIが報告する。


「まだ十分ね。」


リディアは小さく笑った。


「追いかけっこは終わりよ。」


その頃。


ヘリ機内。


護衛たちは緊張した表情で後方モニターを見つめていた。


巨大な人型兵器。


逃げても逃げても追ってくる。


常識ではあり得ない光景だった。


「距離六百メートル。」


「縮まっています。」


報告の声が震える。


マーカスは静かだった。


「慌てるな。」


低い声。


それだけで機内の空気が少し落ち着く。


「回収部隊は。」


「展開中です。」


「第二迎撃隊も接近しています。」


マーカスは頷いた。


まだ終わっていない。


その頃。


上空。


三号機。


マックスは戦闘機隊の動きを監視していた。


ミサイル攻撃によって敵編隊は分散した。


だが。


アレックスは立て直していた。


「全機散開。」


「包囲を維持しろ。」


冷静な指示。


若いが優秀だ。


マックスは笑った。


「腕は本物だな。」


その瞬間。


警報。


敵機接近。


二機の戦闘機が左右から迫る。


機関砲発射。


曳光弾が夜空を裂いた。


マックスは操縦桿を倒す。


百二十トンの巨体が横へ滑る。


弾丸が装甲を掠めた。


火花。


さらに数発が左肩装甲を叩く。


《左肩装甲、軽微損傷。》


《戦闘継続可能。》


「上等だ。」


マックスは低く笑う。


「今度はこちらの番だ。」


三号機は電磁加速ライフルを構える。


巨大な右腕が上がる。


照準固定。


引き金を引いた。


轟音。


青白い閃光。


超高速弾が夜空を貫く。


戦闘機は咄嗟に回避した。


だが。


衝撃波だけで機体が揺れる。


「なんて威力だ!」


アレックスの僚機が叫んだ。


アレックスの目が細くなる。


「直撃は避けろ。」


「奴の火力は危険だ。」


その頃。


施設外周。


ヴァルハラ一号機。


カイルは回収班の撤退経路を守るように警戒を続けていた。


三号機が迎撃隊を引き受けたことで、


ようやく周囲を見る余裕ができた。


《レオンより通信。》


「聞こえてる。」


《必要データの回収は完了した。》


《残存データの削除を継続している。》


カイルは頷く。


「マーカスは。」


《逃走中。》


《二号機が追跡している。》


レオンの声は冷静だった。


だが焦りもあった。


《一号機は回収班を護衛しろ。》


《二号機を孤立させるな。》


「了解。」


カイルは空を見上げる。


「それでも捕まえる。」


短い言葉だった。


その頃。


ノマド。


管制室。


ミアが声を上げる。


「新たな航空反応。」


大型モニターに複数の光点が現れる。


イリスの表情が変わった。


「第二迎撃隊です。」


数は四機。


グレンが低く呟く。


「十分厄介だな。」


通信回線に別の声が入る。


《こちら第二迎撃隊、隊長ハーランド。》


《目標空域へ接近中。》


アレックスが応じる。


「こちらアレックス。」


「敵は三機。」


「一機はヘリを追跡中。」


「一機は我々を妨害している。」


「無理に接近するな。」


《了解。》


第二迎撃隊は速度を上げる。


レオンはモニターを見つめた。


戦場はさらに拡大する。


だが。


ここで退けば全てが無駄になる。


「作戦継続。」


静かな声だった。


誰も反対しない。


その頃。


夜空。


リディアはヘリとの距離をさらに詰めていた。


五百メートル。


四百メートル。


照準円が尾部ローターを捉える。


撃てば飛行能力を奪える。


だが。


レオンの命令は絶対だった。


生け捕り。


それが最優先。


「面倒な注文ね。」


リディアは苦笑する。


その時だった。


警報。


《新規航空反応。》


《高速接近中。》


リディアの表情が変わる。


雲を突き抜けて現れる四つの光。


第二迎撃隊。


戦闘機編隊だった。


「間に合ったってわけ。」


次の瞬間。


四機の戦闘機がヘリと二号機の間へ割り込む。


射線が塞がれた。


ロックオン警報。


コックピットへ警告音が響く。


《敵機、攻撃態勢。》


リディアは舌打ちした。


「邪魔ね。」


あと少しだった。


だが。


追撃はここで終わらない。


ヘリ機内。


マーカスは窓の外を見ていた。


追いすがる鋼鉄の巨人。


割り込む迎撃隊。


そして奪われたデータ。


全てが動き始めている。


「なるほど。」


静かな声だった。


「ようやく盤面が動いたか。」


その目は冷静だった。


まだ自分が負けたとは思っていない。


夜空。


戦闘機。


ヘリ。


ヴァルハラ。


三つの勢力が交錯する。


追撃戦は新たな局面へ突入していた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ