ネタバラシ
「ッ……私の……はなし……聞いて……」
「喋ってはいけません! 今応急処置をして救急に……!」
「きくって……誓って……くれるまで……言うから……」
「わかった! 聞くから! 唯一の神に誓って、ソメヤ様の話を聞きます! だからもう、こんなこと、してはいけません……!」
瞼が自分の意思には関係なく、半目に落ちる。その薄ぼけた視界の先で、チェレーゼとピグトニャが慌てて詠唱を重ねている。邪魔になっちゃうかな、と思いつつも、私はピグトニャをつつき、こちらに注意を寄せた。
[聞こえる?]
[黙れ]
[チェレーゼに話したいの……私の天啓のこと。それでオリバーを見れば、拷問なんかしなくていい]
[ああ検討する、だから寝ろ]
声色や仕草から、焦っているのがわかる。私は彼を安心させるため、事実を伝えることにした。
[大丈夫……実はこの剣、そんなに深く刺さってないはずだから]
[え?]
仕組みは簡単だ。私の作った剣は、力をかけると、折りたたみ傘のように剣身が沈んでいく。最後に残るのは、わずか数cmほどの切先だけである。刃渡りを見せた上で勢いよく刺してビビらせたが、内臓への損傷は少ないはずだ……おそらく。とはいえ、かなり痛いし、医学の知識があるわけでもないので、実際のところはわからない。
[ピグトニャも本当は、チェレーゼの手を汚させたくないんでしょ? ゆっくり話す時間とりたいからさ……騙すようで悪いけど、チェレーゼにはこれバレないようにお願い]
[は? おい、じゃあ衝動とかじゃなく全部計算尽くで……]
[それじゃ休むね]
私は身体中の力を抜き、回復に努めた。実際、あんまり痛いので疲れてしまったのだ。
「テメェこの野郎……」
「ピグトニャ?」
「あっ、ごめん……」
「呼吸から見て……ひとまず、二人分の力は必要なさそうです。救急を呼んでください」
「わかった……」
スマホで救急隊を呼ぶピグトニャの声が聞こえる。通話終了後、[ひとまず言うことを聞くが、あとで説教だからな……]という声がテレパシーで届いた。私は返事をせずに、ぼんやりとした頭で、チェレーゼのことを考えていた。私の話を聞いてくれるだろうか。それまで拷問を保留してくれるだろうか。それとも、私が病院に行っている間に、ひっそりと、ひとりで事を済ませてしまうだろうか。神に誓うということが、どれだけ彼女の中で重いことか……きっと相当なはずだと信じること以外、今は何もできなかった。




