地下牢
「こんな場所が……」
「ソメヤ様も必要な時が来たら言ってください」
「来ないでほしいけど……」
地下牢、と呼ばれたそこは冷え冷えとしていて、打ちっぱなしのコンクリートの壁に、いくつかの牢屋があった。チェレーゼは慣れた手つきでその一室にオリバーを投げ入れ、部屋の壁に固定された鎖と手錠をつなぐ。そして、目隠しと耳栓を外した。
「オリバー。ここではあなたの力は使えません。よくご存知ですよね?」
「はっ、でもお前らの力も使えないだろ」
「私は魔法がなくてもそれなりに強いですよ。ピグトニャもね。思い出させてあげましょうか?」
「おーおー、神官様とは思えねえ発言」
チェレーゼは牢を蹴りつけ、地下室内に音が響き渡る。
「黙りなさい。私の質問にだけ答えて」
「へえへえ」
「これは誰の差金ですか?」
「俺一人だよ、いつもどーり! チェレーゼを妬んだ俺が、近しい人間を攻撃してんの! はい解散」
「真面目に答えなさい。過去の襲撃も、あなた一人の策ではなかった……そんなことぐらい知っています。あなたの憎悪に薪をくべている人がいる。これだけはいつも口を割ってくれませんね」
「いねーもんは口を割ることもできねーよ」
「でっちあげさえしないのが不可解なんですよ……むしろ、います、絶対に隠したいです、僕は忠誠を誓っています……そう言ってるように、私には見えるんです」
オリバーは舌打ちをし、イライラしたように体を動かし始める。
「うっせえな、俺が俺様以外に忠誠を誓うわけねーだろ」
「いいえ、あなたの心は弱い……本当はそうやって、一人で尖って他人を寄せ付けないように見せかけて、いつでも仲間が欲しくてたまらない……」
「勝手なこと言うな!」
「オリバー、私は神官です……あなたが唯一の神の下に跪き、心から回心するのなら、どんな罪でも赦しを与えます。そのときこそ、あなたの心に平穏が訪れるときです」
「テメェの弟ひとりも回心させられないヘボ神官がなんか言ってら」
今度はピグトニャが牢を蹴り飛ばした。
「姉さんを侮辱するな……」
「あーあ、きょうだい揃って気持ちわりー! 昔から思ってたけどさあ、お前らって付き合ってんの?」
「聞く耳を持たないでください、ピグトニャ。ここは私がやりますから……お二人は上に戻ってもらって構いません」
「……ごめん、少しイラついた」
「いいんですよ」
チェレーゼは物置から様々なものを取り出し、牢の前にずらっと並べた。一目では使用方法がわからないようなものがたくさんある。異様な光景に、何これ、と呟くと、拷問器具だよ、とピグトニャが耳打ちした。
「オリバー、あなたは……どれがお好きでしたっけ?」




