生活リズム
チェレーゼはお茶を飲み切って、長くなりましたね、と言いながら片付けはじめた。あとに続く。
「私ばかり喋っていたのに……どうしてか、ヒントが得られた気がします」
「それならいいんだけど」
「まずは、ご両親が何故魔法に執着するのか、よく聞いてみようと思います」
「……いいと思う。もしかすると、話が通じないカスかもしれないけど」
「カスならカスで、やり方がありますから」
今までの情報から、依頼者はかなりのモンスターカスタマーで話が通じなさそうだと想定しているために、少しばかり汚い言葉を使ってしまった。そのためにチェレーゼにもカスなんて言わせることになってしまって一瞬驚いたが、生い立ちを聞いた後だからか、もしかすると、これが素なのかも、とも思えた。普段は頑張って丁寧に喋っていて、たとえばピグトニャや勇者とやらと二人きりだと結構雑な言葉遣い……なんて可能性もある。
「もう少し頭を柔らかくしようと思いました。ソメヤ様が教師なら、きっとぶっつけ本番でしょうし」
「そりゃそうだろうけど、それは参考にしない方がいいよね」
このとおり、煽り癖もあるし。本来の人格と言葉遣いをいつか引き摺り出してやろうと、密かに誓う。数ヶ月にしてはかなり仲良くなった自負があるが、私と仲良くするのは仕事でもあるし、きっと色々と気苦労をかけているだろうから、心から仲良くなって負担を軽減させてやりたい。その方が、色んなことが良い方向へ転がるだろう。
「そろそろ寝ましょうか。遅くまですみません」
「私はニートみたいなものだから大丈夫!」
「生活リズムを崩してしまったことを謝ってるんです、翌日に予定がなくても一定の時間に寝た方がいいですよ」
「チェレーゼ先生……」
ジムは特に練習試合の予定などを入れてなければ、何時に来るようにとは言われてない。寝坊も可能である。毎日なんとなくチェレーゼと一緒に起きて、なんとなくご飯食べて、なんとなく家を出て、なんとなく疲れたら帰っている、そんな雑な生活を私は恥じた。改心するかは別の話だが。




