作戦立案
「まずは私が説教をしてご両親の気を惹きます。ソメヤ様は……子供と仲良くなるのが得意そうなので、本人から話を聞いてみてください。何をされているのか、どうしたいか。録音してください、保護が必要だと判断したら、然るべき機関と繋ぎます」
「おっけー」
「他の人に協力を仰ぐ可能性もありますが……最初から大勢で行って刺激したくはありません。まずは二人でいきましょう」
「わかった!」
作戦立案はこのように、私は特に何も考えることなく終了した。チェレーゼはギルドで私と軽く打ち合わせてから仕事へ戻り、私はいつも通りジムで鍛錬をした。そして家へ帰り、洗濯をしたり夕飯を作ったりしてチェレーゼを待った。仕事から帰ったチェレーゼは、非常に疲れた顔をしていた。いつものことだが、なんという激務なのだろう!
「ご飯ありがとうございます……。神よ、我らの肉を生かしてくださり感謝します、栄えある聖典と唯一の神のみ名によって、かくあれかし……。いただきます」
どんなに疲れていても、彼女が祈りを欠かすことはない。異界人である私にそれを強制することはないが、真似して唱えてみたらひどく嬉しそうにしていたので、それ以降、覚えていれば私も祈ることにしている。これの何がそんなに嬉しいのか、信仰のない私にはわからない。しかし、見るからにキツい仕事をこなし続ける彼女の原動力がその信仰心にあることは誰が見ても明らかだから、この些細な行動が少しでも彼女の励ましになればと思う。
食べ終えた後のチェレーゼは、説教のための原稿作成をするやら、それに必要な資料を漁るやらで忙しそうにしていたが、私は特にやれることがなかったので、気になっていた細かい部分の掃除なんかをして誤魔化していた。ひとりだけのんびりするのも、なんだか申し訳ない。
「ソメヤ様」
そうやってシンクの水垢を取っていたところ、急に声をかけられ、手が止まった。何か役に立てるのか、と振り向く。
「ああ、すみません。お掃除しながらで構わないので……参考程度にお伺いしたいんですが」
「私でわかることなら」
私はもう完全に掃除の手を止めた。マルチタスクはあんまり得意じゃない。チェレーゼは私が掃除をしていようといまいと気にならないらしく、そのままメモ帳を手に取った。
「ソメヤ様……魔法の詠唱手段じゃないタイピングって……どんな感じですか」




