コール・アンド・レスポンス
たった一人で、人を喰らうクマを退治?
地球であれば大ニュースになる人食いグマの出現が、こちらではギルド任せ、有志が頑張れ! で済まされ、解決したりしなかったりするのか。その文化の差と、子どもの頃に人喰いグマ事件のネット記事を読んで眠れなくなった夜があったのを思い出して、背中に怖気が走った。しかし、チェレーゼの明るい声で、その張り詰めた空気は解除された。
「えー、縁もたけなわですがあ、そろそろお開きといたします!」
もうお開きか、残念だな。
この宴会ではほとんど、バルとピグトニャとしか話さなかった。それは配慮の上のことだから仕方ないし、他の人と飲むのは、もっと落ち着いてから、いくらでも機会があるだろう。とはいえ、宴の最後に一抹の名残惜しさを感じるのは当然でもある。途中参加なら尚更。
グラスに残った最後の一口を煽る。チェレーゼがマイクを持ち、わざとらしく咳払いをして注目を集める。私を召喚したときもやっていたから、癖なのかもしれない。ああ、もう終わりか……。
「みなさーん、食後のお祈りしますよー!」
お祈り?
私の困惑をよそに、みんな慣れたように、手を胸元に添えてなんらかの準備をしている。チェレーゼがよくやっている、あの不思議な動きの前段階らしい。
そして、彼女が息を吸うかすかな音を、マイクが拾った。
「神よ、我らの糧となったー、あなたの恩寵にー!?」
「感謝します!」
私以外の全員が一斉に応えたので、心の底からびっくりした。お祈りって、そんな、コール・アンド・レスポンス! って具合なんだ。
「そして、栄えある聖典とー、唯一の神のみ名によってー!?」
「かくあれかし!」
しかもまだ続くんだ。
「ごちそうさまでした〜!」
「ごちそうさまでした!」
これってピグイタンだと一般的なんだろうか。幼稚園とか小学校の給食は、こんな感じだった気もする。でも、思えば一本締めとかも、奇声上げてから手を叩きまくる変な風習だし、そんなものか……。私がぐるぐる考えを巡らせていると、ピグトニャがこそこそ耳打ちしてくれた。
「今のは絶対覚えろ、飲み会でやらない奴は浮く」
あいわかった。やはり一本締めなのね。
「あといただきますバージョンもある」
それは後で教えてください。




