あとしまつ
激しい特訓の末、私はなんとかこの変な魔法をものにした。時間は午後0時30分。だいたい1時間ぐらいかかったということになる。
「お腹空いたぁ……」
「サクッと飯にして面会行くか。10分で食え」
「5分でいける」
「そりゃ軍隊向きだな」
ピグトニャは、もう一度ゴーレムを作る。今度は硬そうだ。そこに向け、<エリー>をバン、と放った。
「父さんはあまり改変したがらなかったが……<セーフティ・ボックス>だと、借りた相手にしか返せないから、味方のデバフを借りたとかで中身を捨てたくなったとき、かなり困るという弱点があった。だからこの<エリー>は、適当な場所に捨てる機能がついてる。オリジナルに唯一勝てるところだな」
ゴーレムは砕け散り、ピグトニャはその素材で地面などを均して現状復帰をする。
「そういえばさぁ、こんな簡単に現状復帰できるなら私の時もこうしてくれれば……」
「いや、あのときは吹っ飛んだ土やら土台やらが消失してたから無理。自分で思ってるより大災害だぞ。ほとんど工事やり直しだっつの」
「ひえぇ……」
「それに、この程度ならまだしも、あそこまで壊れた施設の修復するのは資格がいるし。適当にやったら危ない。外の地面とか簡単に壊すなよ、地盤が緩んで災害起きたりするから」
「それもそうか……」
一緒に外に出て、ジム近くにある適当な店に入る。立ち食いそば……ではないのだが、同じぐらいスピーディな食べ物で、フォーに近い味がする。結構美味しい。それを宣言通り5分で啜り切ってから横を見ると、ピグトニャはもう少しゆっくりと食べていた。7分でよかったな。
店を出る。変なデマのせいか、帽子にマスクという簡易な変装をしたピグトニャは、こそこそ周りに注意を向けつつ時計を確認する。
「よし……あと少しで1時か。ソメヤの覚えがいいおかげだな」
「え、結構時間押したなと思ってたけど」
「いや……姉さんは習得に1ヶ月かかってた。どれだけかかっても、かかりすぎということはない魔法だ。おまえならすぐだろうと思ってただけ。得意属性だし」
「え!? 逆になんで私なんかが1時間でできると思ったの!?」
ピグトニャは不思議そうな顔をした。
「なんでいつまでたっても自覚が生まれないんだ……? 確かに姉さんは1ヶ月かけたが……俺は1時間半で覚えた。姉さんは強いが、魔法に関する器用さは俺が上だ。ということは、おまえも姉さんより上」
「!」
「信仰が無く、才能もある、俺の上位互換のお前なら……」
呆れ気味の声は、次第に、心底嬉しそうで、面白くてたまらないといったように変わっていく。
「1時間でできてもおかしくない、そう思った。大当たりだろ?」




