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コツを掴もう!

「今からこのゴーレムに、回復魔法と攻撃魔法をランダムに発射させる。回復魔法は受け入れ、攻撃魔法は弾くように防御しろ。目で見て判断するんじゃないぞ、さっき言った仕組みで、感覚で判断するんだ」

「ど、どうやるの」

「テレパシーを使う。幸いにもメヒェリエ中に、エデンの言語という大魔法がかかっている……理論的には、一定のテレパシー力が全人類に担保されているわけだ。テレパシーの受信は、自身に向けられた意思を持つ魔力素子を読むことで成立する。魔法も、相手への意図が絶対に込められてるわけだから……届く前、コンマ数秒しかないかもしれないが、先読みすることができる」

「あー! なるほど!」

「コレは実戦でも使える。カンが鋭くなるからな。この練習でコツを掴んだあと、本番に移る。とりあえず100発打たせるから頑張れよ〜」

「え!? ちょちょちょ」

「まずは防御魔法を全体に張りつめ、その次に、防御魔法をひとつの精神だと思い込め。優しく命じるんだ、良いものを受け入れ、悪きものを弾け、と。<警戒>と<緊張緩和>を同時に使用し、どちらを使うかは自分の心を参照させろ。大丈夫、攻撃もボールが軽くあたったくらいの痛みだから。そいつ雑魚だから」

「えーん、やらなきゃわかんない〜」

「ならやるしかないな。準備よーし」

「よくないよ〜」

「放て!」

「待ってよ〜」


 待ってくれないのでひとまず防御魔法をはるが、当然のことながら全て弾いてしまう。防御魔法を精神だと思い込む……ちょっと何言ってるかわかんないが、部隊訓練でのピグトニャの言葉がヒントになった。


『人の精神や魂がどこから来るか? その問いは実はいまだに解決できていない。脳? そう言いたいやつもいるだろう。しかし現実には、臓器や手足、なんなら……この場の空気そのものに至るまでが、拡張された魂だという言説もある。それを裏付けるのが精神魔法の存在だ。精神魔法が操るのは……魔力素子のプールだ。磁石で砂鉄を寄せて絵を描くように……小石を投げて波紋を作るように……思うがまま魔力素子の位置を操ることで、なぜかその中心にいる人間も狂いだす。逆に考えれば、魔力素子のプールがあれば、そこに操れる精神がある。魔力素子を集め、そこに混乱の魔法をかける。その領域に人を突っ込んだら、そいつは混乱するだろう。人が先なんじゃない、魔力素子が、環境が先、それこそが、君らの操るべき精神なんだ。大魔導士レヴィンはこのことを、"精神とは人ではない、場である"と言った。よく覚えておけ』


 私は防御という膜で、魔力素子のプールを周囲に作った。人、つまり私自身ではなく、この魔力素子のプールに、<警戒>と<緊張緩和>をかける……相反する二つの魔法は相殺して消えてしまう。そうだ、条件付けをしなければ。私を襲う時の魔法の癖……私に好意的な魔法の癖……それぞれの魔力素子の動きの違い……。つまりは第六感──悪い予感。


「お! できたんじゃない……ッいってえ!」

「そんな痛くないだろ。できたと思って油断するな」

「ええーん」


 私は悔しい思いで再チャレンジする。ピグトニャが『直感を育てろ』と言い続けた理由が、なんとなくわかる気がした。彼はこういう未来を見据えていたのかもしれない。研ぎ澄ませ……いつも彼が教えてくれたように。こういうときはもはや、意識を手放すのがいいのだ。魔法をかけているという意識さえなくし、それが当たり前であるかのように振る舞う……少しのウィルスを免疫反応でやっつけたとして、私が気にすることはないように。主人である私の最も都合が良いように動くのが、当たり前であると。魔力素子ひとつひとつが私に恐れをなし、私の望む結果を作り出すほど、命令力を……強める。無意識になることによって。


「…………」

「……よーし、いいぞ。掴んだみたいだな」

「できた……」

「今の感覚を忘れるな。これを固有魔法にのみ効くようにしたのが……目的の魔法だ」

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