告白
地下牢に閉じ込められたチェレーゼは、体育座りでしばらく祈っていた。私やピグトニャはクッションやら布団やらを持ってきて、極力過ごしやすいように配慮した。
「……ありがとう……ございます……」
「……姉さん、話せそう?」
「ええ……話さなければなりません」
この数分だけですっかりやつれたように見えるチェレーゼは、心労からかこちらへ倒れ込み、鉄格子を掴んで体重を預けた。
「……ソメヤ様のいうとおり、私には……この体には、もうひとつの人格が宿っています」
「うん」
「……どうして忘れていたんだろう。大切な記憶だったのに……」
そういうと、チェレーゼは祈りの仕草をした。ゆっくりでいいよ、と私たちは声をかける。
「彼女は……ヴェーラ。ヴェーラと言います……でも、違うんです。私がヴェーラになるはずだった……」
「……どういうこと?」
彼女がチェレーゼの第二の人格であることまでは、想像ができていた。つらい生育環境のために、知らず知らず解離性同一性障害になっていたのだろう。地球でだってままある話だ。しかし、「私がヴェーラになるはずだった」、この部分はわからなかった。その答えは、すぐにもたらされた。
「私は……基本人格じゃない……」
「……え?」
「私は……彼女を守るために生まれた……もう動けなくなってしまった彼女の代わりに生きるために生まれた、第二の人格……」
私が間抜けな声をあげている間、ピグトニャは、鉄格子を掴むチェレーゼの手に、そっと自分の手を重ねていた。大丈夫、大丈夫だから、姉さん。そうやって語りかける彼に、ふるふると首を振る。
「違うんです、ピグトニャ……彼女こそが本当の、あなたの姉さん……チェレーゼ・イグノジー……その人であるべきだった」




