追求
「声……ですか」
「うん。オリバーに固有魔法を使うのは簡単だったんだけど……情報に欠けがあって……いろんな角度から読もうと試みてたら……声が響いた」
「オリバーの声でした?」
「ううん……男女もわからない。音で響く感じではなかった。でも喋り方は女性っぽかったかな……」
「そうですか……」
私は、じっとチェレーゼの顔を見る。
「でもひとつ、推測できることがある。もう一回、チェレーゼに固有魔法を使わせてほしい……その後なら話す」
「……何か重要事項なのですね?」
「おいソメヤ、俺には……」
「チェレーゼだけでいい。お願い……信用したい」
チェレーゼはしばらくの逡巡の上、わかりました、と呟いた。
「……どうぞ。今なら使えるはずです」
「……ごめんね」
私はキーボードで詠唱する……我に見せよ、あなたの正体を。
そうして読める情報が私の知っているチェレーゼとそっくりそのままおんなじなのを確認して、私は一息つき、固有魔法を解いた。
「ごめん……こんなことして」
「いえ。理由を教えてください」
拷問器具を前に明るい声を出すのも、大のために小を切る大局観も、彼女の凄惨な生育環境に基づくもの──彼女の過去を聞き、読んだ、私には、それらがすべてわかっていた。
そんなに悲惨な生き方をしてきたのだから……これはありえない話じゃない。
「全部……わかった気がする。こう考えると辻褄が合う。あのね……聞こえてきた声の笑い方が……」
二人の視線が、痛いほど私に突き刺さる。これを話した後、どうしたらいいかはわからない──けれど、言わなければならない、そう思った。
「オリバーがチェレーゼに変身していた時に……そっくりだった。チェレーゼ、もしかして、あなたの中に……もうひとりの人格がいるんじゃない?」




