戸惑いの一夜
レルが部屋に戻ると、長い夜が待っていた。
リコラルも入浴を済ませて部屋に戻ってくると、そのままベッドに横になる。
「寝ないの?」
マリアは鏡台の前に座って髪の毛を梳いていた。もうとっくにレルが髪の手入れもしてくれたのだが、落ち着かず何度も髪の毛をとかす。
「そんなに何度も髪の毛を梳いたら、キレイな髪の毛に傷がつくよ。こちらにおいで」
マリアは櫛を置くと、緊張して立ち上がった。ベッドまでもっと距離があればいいのに、と思う。
「緊張しなくていいよ。さっきも言ったけど、取って食べたりしないし。僕も冷静じゃなかったことは謝る」
ようやくいつもの優しくて穏やかなリコラルに戻っていた。マリアがふぅと息を吐き出すと、リコラルが眉を下げた。
「怖がらせていたらゴメン。僕も女性に慣れているわけじゃないからどうしたらいいか分からないところがあるんだ。本当は徐々に距離を詰めていくべきだって分かっている。だけど……マリアは魅力的だから。ルベールみたいにマリアに興味を持たれると心配になってしまう」
「私は.........穏やかで優しいリコラル様が好きですよ」
マリアはちょっとたしなめるつもりで言った。
「ホント、強引でごめんね。今夜はたっぷり時間があるから、僕達の未来のことについてきちんと話そう」
「はい」
ようやく、気持ちがほぐれたマリアは、リコラルと今後のことについて話をすることにした。
「マリアの両親にはきちんと挨拶をしたい。イントからデルタまではこちらからだと3日の距離だな。あちらからこちらから向かう場合は潮の流れのせいで5日かかることになるから、まずはこちらから行くべきかな..........」
「あの、リコラル様」
「なんだい?」
「肝心なことをリコラル様はお忘れです。.........お気づきではないみたいですが」
「なんだろう?」
「あの、イントでは3回も会えばお付き合いしていることになって結婚という認識みたいですけれど……さすがにプロポーズされないうちに将来の話をするというのは..........。私から言うのは気が引けて言えなかったんですけどやはり気になって」
「ごめん.........。皆が忖度して動いてくれるからあまり気にしていなかった。すっかり言うタイミングを逃してしまったな........」
リコラルはベッドから降りると、マリアの前にひざまずいた。マリアも慌ててベッドから降りた。
「一目見た時から気になっていた。一緒に過ごす時間が増えて、君という存在が絶対に僕に必要だと確信に変わったよ。僕はマリアが好きだ。いや、愛してる」
そのままリコラルに抱きしめられた。
「ありがとうございます。私も.......ようやく自信が持てました」
「え、自信が無かったの?好きだと全身で伝えていたつもりだけど」
「きちんと言葉で言ってもらうのと、そうではないのとは違います」
「プロポーズって大切だな」
「今さらですか?」
「ごめんね」
目の前のリコラルは子犬のような目でマリアを見つめてくる。
(こういう時のリコラル様はとても可愛い)
「リコラル様、結婚するならば幸せになりましょうね」
「もちろんだよ」
リコラルは幸せそうに微笑んだ。やっと心配な気持ちは完全に払拭されたようだった。
「マリアが僕の気持ちを受け入れてくれて嬉しいな」
「そんなに喜ばれると私も嬉しくなります。..........ちなみに、リコラル様は私がどう答えても結婚しないという選択肢は無かったのではないですか?」
「分かってるね」
ニヤリとリコラルが笑う。
(あ、ブラックなリコラル様が出た)
「やっぱり........。でも、そんなリコラル様も好きです。私を傷つけない限り、私はリコラル様をずっと好きです!」
「マリア!ああもう、嬉し過ぎて言葉にならないよ」
「ふふ。ですから、これからは穏やかにいきましょうね?」
ルベールを投げ飛ばした時のことを思い出してチクリと注意するのも忘れない。リコラルはいい笑顔でうなずいた。
「分かってるよ」
無事、プロポーズが済んだリコラルはホッとしたらしく気分良さそうにワインを飲み出した。
「先ほども話したが、イントとデルタには距離があるから、まずは通信機で挨拶をしてから伺おうかな。それで、ドレスは……」
ルンルンで話すリコラルは何度も“お祝いだ!”と言って、ワインを飲んだ。
マリアは体調が万全ではなかったのと自室ではないのもあってワインを自重していたのだが、リコラルがあまりにも美味しそうにワインを飲むものだから、飲みたくなってしまった。
「リコラル様、ほんのちょっとワインをいただけますか?」
「あ、ごめん。マリアのことを考えずにワインを飲んでしまって。気が利かなかった。体調のことがあるから少しだけにしておこうか」
グラスにちょっと注いでもらう。乾杯して飲むとすぐに空になった。
「もうちょっとだけ、飲みたいんですけど.......」
もともと、マリアは飲めるクチだ。マリアの父は酒に強くて地元では有名だった。
「大丈夫かい?僕が飲んでしまったから悪いのだけど......。我慢するべきだった」
「いいえ。かなり寝ましたからもう大丈夫です。せっかくですから、お祝い気分をもう少し味わいましょう」
「マリアは酒が好きなのだな?」
「ええ。父はお酒に強くて有名ですよ。父に会ったらお酒を飲むことになるでしょう」
「なんと!ならば飲もうか。マリアは無理しないでね」
そう言うと、リコラルはマリアのグラスにワインを注いだ。マリアもリコラルのグラスにワインを注ぐ。
………そこからは結局、記憶が曖昧になるほど飲んだ。
そして、気付いた時には遅かった。
トロンとしたマリアとリコラルは熱い一夜を過ごしたのだった。
酒好きマリア
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