一晩明けて
いよいよ今話でラストになります。どうぞ最後までお付き合い下さいませ(*´ω`*)
「痛い…頭も…下半身も…」
朝日が差し込み、小鳥のさえずりが聞こえる中、マリアは大いに焦っていた。
「マリア、おはよう」
頬にキスしてきたのは、この世で一番幸せそうな表情を浮かべるリコラルだった。
「おはようございます………私達……その」
「うん。もう後戻りできないね」
ニッコリしながら言うリコラルにマリアは“騙された”と思った。
(取って食うようなことはしないって言わなかった?でも、ワインのおかわりをねだったのは私だし.........)
結婚前になんてことをしてしまったのだと思った。婚約もしていなかったからこれはふしだらというやつなのではと、自責の念にかられる。
「なにを悩んでいるの?」
「婚約もしていたわけではないし、結婚式も挙げていないし順番が……」
「ああー。どちらにせよ、僕の部屋で一晩過ごしたんだ。皆にはそう思われている」
「わぁぁ!」
あまりの恥ずかしさと情けなさにベッドに突っ伏したマリアだった。
「マリア?イヤだった?」
「……そうではないんですけど、自分が情けないのと恥ずかしいのとでどうしたらいいか分かりません」
「情けないって言うなら、僕にも非があるよ。自分を責めないで。それに、イントではさして珍しくもないよ」
「え?まさかこれが普通だと言うのですか?」
「イントの男は皆、情熱的だよ?レル嬢ももしかしたらもう……かもしれない」
「ウソ!?」
「本人に聞いてみればいい」
(え?え?レルが?)
不敵に笑うリコラルは、やっぱりただの優しい王子ではなかった。
…………自分の部屋に戻ったマリアはレルにさっそく起きたことを話した。
「まあどうあれ、お嬢様がようやくこれだ!と思われる方と想いが通じ合うことができて良かったではないですか」
「まあ、そうだけど。あまりにも展開が早すぎて気持ちがまだついていかないところが…」
「慣れてくるものではないですか?お嬢様はイントに来てからも順応するのが早かったですから」
ニッコリと微笑むレルを見て、あの話を確かめてみたくなった。マリアはまわりをキョロキョロとする。
「ちびっこメイド達はまだ来ていない?あの子達には聞かれたくない話なの。まだ早い内容だし!」
「ああ……。大丈夫です。アンゴルが今日はお昼からこちらに向かわせると言っていましたよ。それにわざわざ子ども達にそんなことは言いませんよ」
「ならいいけど。……ねえ、レルもその…もうしたの?」
「え?」
レルは恥ずかしいのかマリアの言っている意味が分からない顔をする。ただでさえ恥ずかしいことを聞いているのにと、マリアはもどかしくなった。
「だから、アレよ!レルもコーナー様と!」
マリアが顔を赤くして言うと、レルは“ああ!”などと言っている。さっきからその話をしているのに、どうして察しが悪いのだろうと恨めしい気持ちになった。
「するわけないではありませんか!まだ結婚していないんですよ?」
「はあ!?」
(リコラル様に騙されたんだわ...........)
「どうしたのです。百面相をして……」
「他人事だと思って........恥ずかしいんだからね!」
しばらくレルに文句を言い続けたマリアだった。
...........リコラルの部屋で過ごした日から物事が急激に進んで行った。ルベールに顔を合わせることは無かったが、密かに彼から手紙が届いた。
《オレのしたことがきっかけでマリアとリコラルが一線を越えることになるとは..........。なんとも悔しい。だが、お前も納得したことなら潔く身を引こう。幸せになってくれ》
手紙を読んだマリアはあまりの恥ずかしさに手紙を握りつぶした。
(なんで、こんなに赤裸々に書いてくるの!!)
この手紙はすぐにリコラルに気付かれ、すぐに焼却された。
出掛けていた王夫妻が帰国してくると、リコラルはさっそくマリアと結婚することを伝えた。(もちろん、一夜を共にしたこともきちんと報告)マリアの両親へは通信機でプロポーズをしたことを伝え、無事に了解を得た。(マリアの両親はたまげていたが非常に喜んだ)
こうしてリコラルは着々と外堀から内堀までキレイに埋めていったのだった。
「今度、デルタの両親に挨拶に行くのが楽しみだ!」
隣に座るリコラルが楽し気にマリアに話していた。
「リコラル様は島を出ること自体が初めてですよね。外の世界を知ったら…ほかにもたくさん女性がいて、私なんて目に入らなくなるのではと、心配になってしまいますけれど」
「心配する必要はないよ。僕はマリアしか目に入らないから。それよりも、マリアの方が心配だ。世界にはイントよりも多くの男がいるのだからね。..........でも、僕達はもう契約もしたから大丈夫なはずだけど」
「契約?」
契約なんぞした覚えがない。不思議そうな顔をすると、リコラルがマリアの手首を裏返した。手首の裏にはいつの間にか十字架の印ができていた。
「これは?ほんのり光ってますけど」
「共に過ごした晩に君に神聖力を注いだ。だから、その印さ。僕達が一心同体という契約だ」
「えぇ......いつの間に」
「君が眠った後、ふと思いついてね。神聖力を注ぐと加護が得ることができるし、お互いの愛情も深めることができるよ」
「はあ...........」
(勝手に進めるのはやめてほしい........)
リコラルは猪突猛進の典型的なイント男性であった。
「……これからは相談してから進めて下さいね。事後報告は困ります」
「うん、分かったよ」
目まぐるしい展開に、着いて行くのがやっとなマリアだった。
………デルタに戻っていたケイルの元にマリアとリコラルがくっついたことが知らされると、チェリアの父は娘とケイルの結婚を許したらしい。今度、チェリアを連れてデルタに戻るそうだ。
そして、密かに気にしていたビュッシーとコルストはイントに観光に来た女性となかなかうまくいっているらしかった。
先日、レルからコルストと改めて話をしたのだと聞いた。
『先日、お嬢様が行方不明になった時にコルスト様も一緒に探してくれたんです。それで、お嬢様が見つかった後に話す機会があって..........。彼が私の過去を打ち明けた時の心境を話してくれたんです。私の身体の傷が気になったのではなく、私の心の傷を癒せるかについて自信が持てなかったのだと言われました。申し訳なかったと』
『.....そう。彼は悪い人ではなかったわよね。ただ、コーナー様がもっと魅力的だったということよね』
『はい』
『きちんと私達のことを祝福して頂けましたよ』
コルストとの会話を話すレルは、晴れ晴れとした様子でマリアは安心した。
「皆、幸せになれそうですね」
「ね!イントに連れ去られた時にはどうなるかと思ったけど、皆が幸せになれそうで良かったわ」
「なんの話をしているの?」
いつの間にか、リコラルとコーナーが側に来ていた。
「皆が幸せになれそうで良かった、と話していたんです」
「そうだね。皆のお手本になるように僕達が一番、幸せにならなきゃね!」
リコラルがバチンとウィンクしてきた。
「ふふ、そうですね」
ちなみに、女神様と男神様に溝ができたのは男神様の浮気であった。遺跡の調査を続けていたら分かったことだ。
マリアは自分が結婚するならば、リコラルに浮気なんてさせないし、許さないぞと思っている。女神様だってあれほど悲しんでイントに影響を与えたのだ。
自分も怒ったらコワイんだから!ずーっと大事にしてよね!とひそかに心に思っているマリアであった。
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明日、1/2より『公爵令嬢の憧れは冴えない男爵令息様!!』という、公爵令嬢であるルイーズとチェリストであるぽっちゃり男爵令息とのお話が始まります。ルイーズには王子の婚約者がいますが、彼が隣国の王女とイイ感じなのもあってバイオリンに没頭するべく楽団の門を叩きます。音楽を交えたラブストーリーとなっています。どうぞよろしくお願いいたしますm(__)m
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