突然のキス
とてつもなく長い時間、くちびるを吸われていた。
(なに、なに、なに、これは!!!)
混乱したマリアは、苦しさもあってドンドンとルベールの胸を叩いた。しばらくして、ルベールがやっとくちびるを離した。
「はぁはぁ……なにを…するんですか.........」
声を出すと、フラリとした。もともと貧血気味なのに急に息が長くできないような口づけをされて意識が朦朧とする。持っていた本が床に落ちる音がして気が遠くなった。
「マリア!?」
遠くで自分の名前を呼ぶ声が聞こえたのを最後に、深い闇へと落ちたのだった。
………………目を覚ますと、マリアはベッドの上にいた。
(ここはどこ.......?)
ちびっこメイド達を呼ぼうとしてベッド脇の呼び鈴を鳴らそうとしたが、ベルが見当たらない。
「ベルが無い……」
カーテンが閉められているせいで部屋が薄暗くてよく見えない。マリアが手を伸ばしてゴソゴソとまわりを探っていると不意に人の気配を感じた。
「起きたか?」
驚いて声の方を見れば、どうやら戸口に誰かいるようである。
マリアの寝ているベッドに近づいてきた人物はルベールであった。彼は枕元の照明を灯すとマリアの顔をのぞき込む。
「顔色が戻ってきたようだな」
「えーと、なにが起きたんでしたっけ?」
「覚えてないのか?」
寝起きなのもあって頭がボーッとしていて働かない。
「こうやったら思い出すか?」
ルベールの手が伸びてきて親指でくちびるを撫でられた。
瞬時に思い出した。
「キ、キスされたんだった」
「そうだな。あれは悪かった。長すぎた」
「そういうことじゃないでしょう!」
ルベールは全く悪びれていなかった。むしろ、笑っている気さえする。
「ルベール様、なんてことをしてくれたのです!それに、あれからどのくらい経ちました?きっと今頃、レルが私を探しているわ.........」
「そんなことはどうでもいいではないか」
「いいわけないです!」
なかなかまともな会話にならず、どうしようと考える。
「とりあえず..........私にキスしたのはどういう意味が?」
「お前がオレに嫌われているなどと言うから、違うということを証明した」
「それであれが起きたと?」
「ほかになにがある?」
「...........」
(ルベール様はぶっ飛び過ぎてるわ)
「あのですね、ああいったことは勝手にしてはいけないんです。ましてや私は、自分で言うのもなんですが、リコラル様と結婚するのではと言われているのですよ?」
「他人事みたいに言うんだな。本当は望んではいないのではないか?」
「戸惑っているけど、そういうわけじゃ..........ってそいういうことじゃないんですってば!」
「なにが言いたいのか分からん。とりあえず、薬を飲んで寝てろ」
ルベールはマリアの口に無理やり薬を押し込むと、水の入ったコップを口元に押し付けた。
「ゲホゲホッ! だから、勝手に色々とやらないでってば!」
「さっき、診に来た医師がお前は貧血気味だと言っていたぞ。寝てろ」
有無を言わさず薬と水を飲まされた。薬に睡眠作用がある成分が入っているのか、すぐに眠くなる。ルベールが幼子を寝かせるみたいに肩をトントン叩いてくるのでさらに眠気が増した。
「また、寝ちゃいそうじゃないですか......」
「寝ろ」
ルベールはマリアを横にならせると、マリアが眠るまで見ていた。
「…………寝たか。どういうわけか、こいつが気になって仕方がない」
ルベールはマリアの髪の毛をすくうと口づけた。ルベールの頬が赤く染まる。
ルベールはマリアに頬の傷を手当てされてから、マリアが気になって気になって仕方がなかった。ツンツンしていてもやはり年頃の青年であったのだ。
(はあ、どうするかな.........。こいつはリコラルの妻になるというが。けれど、まだ本人は迷っている様子。まだ、チャンスはあるということでいいのだろうか)
ルベールなりに悩んでいた。
…………その頃、レルはマリアを必死に探していた。
(お嬢様がどこにもいない!)
マリアの姿が見えなくなってから4時間が経っていた。図書室をはじめあらゆるところを探したが、マリアの姿が見えずにオロオロとしていた。
ちびっこメイド達やアンゴルにはすでに事情を伝えて、マリアを探している。
(身体など動かしに行くのではなかった........)
激しく後悔しながら王城内を探し回っていると、コルストにバッタリ会った。
「レル嬢………」
「あ、コルスト様………」
コルストとは気マズイ別れをしてから会っていなかった。はっきりした答えを出す前にコーナーを選んでしまったこともあり、レルはコルストに謝罪とお断りの手紙を送っていた。
(.......気まずい。だけど、今はそんなことを気にしている場合ではない)
「あの、コルスト様!うちのお嬢様を見かけませんでしたか!?」
「え、マリア嬢ですか? 見かけてはおりませんが………姿が見えないのですか?」
「そうなんです。かれこれ3時間ほど探しているのですが………一向に見つからなくて」
「では、私も探しましょう。ほかの者にも声を掛けてみます!」
「ありがとうございます!」
コルストはすぐにほかの者にも声をかけてくれた。
(思い切って声をかけて良かった)
すぐにビュッシーもやって来て、マリアを探してくれることになった。
「マリア嬢は……殿下の大事な方ですからね。姿が見えないとなれば探さねば!」
ビュッシーもマリアからお断りの手紙を受け取った一人であった。マリアが断ったのはリコラルのためだと彼は解釈していた。だから、リコラルの大切なものは自分もしっかりと守らねばと、気持ちの整理をつけていた。
マリアを探す騒ぎは、修練から戻って来たコーナーにも伝わって、兵士を投入しての大捜索になった。
「殿下が知る前に探し出せ」
リコラルを心配したコーナーが指示を飛ばす。だが、すぐにリコラルの知るところとなった。
「マリアがいないとはどういうことだ!?」
コーナーの予想通り、リコラルは心配して自らマリアを探し始めた。
皆で大騒ぎをしていると、フラリとルベールが城に帰って来て不思議そうな顔をした。
「なんの騒ぎだ?」
「あ、ルベール! マリアを知らないか?いなくなって皆で探している!」
「……………マリアならオレの部屋で寝ているぞ」
ルベールのまさかの発言にリコラルは耳を疑った。
「今、なんと言った?..........しかもマリアと呼び捨てて呼んでいなかったか?」
「呼び方などどうでもいいだろ。マリアは貧血で倒れたのだ。だから薬を飲ませて寝かしているだけだ」
「なぜお前の部屋で寝かせる!?.........いろいろと言いたいことはあるが、まずはお前の部屋に行く!」
リコラルはイライラした様子でルベールの部屋へと向かったのだった。
ルベールは軍内でナンバー2の立場です。すぐに出動できるように城内で暮らしています。
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