戸惑いのプレゼント攻撃
山のようなドーナツのプレゼントはちびっこメイド達やアンゴル、使用人達に配りまくってようやく無くなった。
たまたま顔を覗かせたリコラルにもドーナツを渡すと、黙々と食べていた。文句こそ言わなかったが、あまりご機嫌は良くないみたいだった。
(嫉妬..........してたりするのかしら??)
自分を敵視するような人物と甘い関係など築けるわけないから心配しないでいいのにと、思う。
..........ドーナツで終わったと思っていたお礼のプレゼントはその後も続いた。
この前と同じように花であったり、ある時はアクセサリーだったり、ドレスだったり........徐々に受け取りがたいプレゼントに変わっていく。しかも、マリアだけでなくレルの分も贈ってくるので、コーナーも気にしだした。
「ドーナツはともかく………アクセサリーやドレスなんていうのはやり過ぎだ。しかも、レル嬢の分までプレゼントするなんて。レル嬢はすでにコーナーと婚約しているというのに」
リコラルが言うと、コーナーも激しく同意した。
「ルベール様は立場的には私の部下にあたりますが、王族の方ですから私からは強く言えません。ぜひ、殿下から一言注意して頂けませんか? 私は、レルが私ではない者から贈り物をされるのがイヤです!」
「......名を呼び捨てるようになったのだな」
「そ、そこは流して頂いて……」
ポッとコーナーが赤くなる。側で聞いていたレルも顔が赤い。
「それにしてもルベールは一体.......。マリアが傷口の手当てなどしてやるから........」
リコラルには港での一件は報告していた。責められているようで、マリアはちょっと反論する。
「血が出ていて放っておくわけにはいきませんでした。まさかこんなお礼の品が贈られてくると思いませんでしたし」
「........もしかしたら、ルベール様はマリア嬢に恋をされているのでは?」
いきなりコーナーが突拍子もない発言をする。案の定、リコラルが思い切り顔をしかめた。
「やはりそうか?」
「ちょっと!そんなこと、あるわけありません! 私はルベール様にいつも悪口のようなことしか言われていないのですよ?」
「..........私が読んだことがある本には、わざと女性に冷たくして気を引く方法もある、と書いてありました」
(どんな本よ、それ)
マリアは心の中で突っ込んだが、コーナーは真面目な顔をしている。
「ともかくこのままにするのはいかんな。マリア、これからは誰だろうと相手にすることはないぞ」
「相手にするというか、ちょっと手当しただけですよ。ルベール様が恩義に厚い方だというだけなのでは?」
「ルベール様が恩義に厚いところは認めましょう。ですが、マリア嬢は肝心なことをお忘れです。イントの男は女性に免疫がありません。女性にとっはて少しのことでも男にとっては大ごとです」
またまた大真面目な顔をしてコーナーが言う。確かにコーナーは、港でちょっと対峙しただけのレルにゾッコンになり、何度もアタックし続けた男だ。あながち間違ってはいない。
「とりあえず、僕からルベールにクギを刺しまくっておこう。皆、迷惑していると伝えれば止めるだろう」
「そこまでは思ってませんが.........」
「気がある素振りを見せてはマリアが危険だからな」
「はあ.........」
リコラルは過保護だった。
…………マリア達はリコラル達と別れると、久しぶりに図書室へと来た。
大人しく本をペラペラとめくっていたレルだが、いきなりスクッと立ち上がった。実は、レルはあまり本を読むことが好きではない。本を読むと眠くなってしまうのだ。
「お嬢様、すみません。私は寝てしまいそうです。少し身体を動かしてきても?」
「いいわよ。そのまま部屋に戻ってもらって構わないから」
「でも、お一人では.......」
「ここで本を読むだけだし、図書室から部屋までは近いわ。心配ないわよ」
「すみません、では行ってまいります」
ちなみに、ちびっこメイド達はすぐおしゃべりをしてしまうので、図書室には連れて来ていない。アンゴルのところへ預けて来た。
(グラムやピースならばしっかりとしているから連れて来ても問題ないけど、タワルはまだ無理よね)
タワルは素直で可愛いが、小さい子らしくすぐに飽きてしまうのだ。きっとおしゃべりを始めてしまうだろう。
マリアもすっかりちびっこメイド達の扱いには慣れ、タワルに関しては母親みたいな気分になっていた。
(今度、ちびっこメイドたちと楽しめるピクニックでも計画しようかしら?)
そんなことを考えていると、抱えていた本を床に落としてしまった。屈んで拾おうとすると、スッと横から手が伸びてきて本を渡された。
「ありがとうございます。あなたは.......」
「おう」
本を拾ってくれたのは眼鏡をかけたルベールだった。眼鏡の印象が無かったので一瞬、誰だか分からなかった。彼も本を数冊、抱えている。
「お会いしたら贈り物のお礼を申し上げたいと思っていました。お気遣いありがとうございました。あんなにたくさんのプレゼント、選ぶのも大変だったのでは?」
「そうでもない。.........それより、リコラルに迷惑をかけるなと言われた。迷惑だと思ったのか?」
「いえ、そんなことはありませんが、あまりにも過分であったのは否めないかと.....そんなに気を使わないで下さいませ。もう十分ですから」
なるべく失礼にならないように言った。
「そんなことは気にしなくていい。オレのしたいようにしただけなのだから。また、いいのがあったら贈る」
これ以上、プレゼントが続いたら大変だ。これはビシッと言うしかないのか、と考えた。彼はハッキリ言わないと分からないタイプの人かもしれない。
「あの……贈り物って相手の人を気遣ったり喜ばせようと思って贈るものですよね」
「なにが言いたい?」
「物事にはバランスというものがありますから、これ以上はもう本当に結構です」
「リコラルにそう言えと言われたのか?」
「そうではありません」
「どうせ、リコラルがなにか言ったからだろう?だからそんなことを言い出したんだ」
「違いますって!.........私がもっと早くルベール様に直接、贈り物について申し上げるべきでしたね。でも、ルベール様に会いにいく勇気がなくて。私のせいです」
「..........なぜ会いに来る勇気がなかった?」
ルベールはマリアが会いに行く、という言葉に食いついた。
「えーとそれは..........ルベール様は女性が苦手じゃないですか。特に、私はズケズケ言ってしまうタイプだから気に食わないと思いましたし」
「なんだと?」
ルベールが凄んだ。
(こ、こわっ!ルベール様はどこに怒ってるの?)
後ずさりするとルベールがズイと近寄った。いつかの繰り返しである。
「お前は勘違いをしている。行動で表わすしかないな!」
そう言うと、ルベールはマリアを引き寄せ、いきなりくちびるを奪ったのだった。
ルベールは人との距離感をはかるのが苦手
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