少しずつ
社会の授業だけ出ることを上田先生に言いに行こうと思って、職員室に来た。でも、職員室には他の先生のいるよね…そう思って戻ろうとしたその時、「あれ?伊藤さん?」この声は!と思って振り返ると、やっぱり。上田先生がいた。「どうしたの?」「先生。」「私今日、社会の授業だけ出てみようと思います。」「うん。わかった。待ってるね。でも、無理しちゃダメだよ。もし無理だったら、ずっと保健室にいてもいいからね」「はい」失礼します。と言ってから私は保健室に戻った。そして社会の授業の前の休み時間。授業の道具を持って教室に向かった。授業が始まるまで波瑠と梓が一緒にいてくれたから全く不安はなかった。はずなのに…授業中に何かないか心配だった。でも、そんな心配いらなかった。授業が始まってからすぐ、先生が教室を回って来て、私に小さなメモを置いていった。「もし何かあったら、授業終わってから言ってね。あと、今日帰る前に職員室に来て。」って書いてあった。そして、授業はつつがなく進み、授業が終わったら、光の如く保健室に戻った。「好花。お帰り。」琴子が待ってた。「うん。ただいま。」「あんたがいない間、結構暇だったんだからね。」全く…琴子は素直じゃないなぁなんて思ったけど、琴子はすごく心配してくれてる。「うん。ごめん。」「ところで、授業どうだったのよ。」「うん。好きな歴史だったから、結構大丈夫だったよ。」「ふーん。よかったじゃん。あんたもついにクラス戻るの?」「えー。それはちょっと…自信ないかも。」「そう。ま、いいんじゃない。ゆっくりで。」やっぱり琴子は優しい。そう思って、でも、口には出せなくて、それから放課後までは、ずっと本を読んでた。そして、上田先生と約束してる放課後。幸いなことに、上田先生は職員室の前にいた。「上田先生!」と声をかけたら、すぐに振り向いてくれて、「伊藤さんか」と言ってくれた。「私のこと呼んだ理由って何ですか?」すると、「うーん。授業中何もなかったかって言うのと、伊藤さんは、これからどうしたいのかなって聞いておきたかったんだ。」「授業中は、何もなかったです。それに、授業終わったら、光の如く帰りましたし。」「うん。知ってる。あれって思ったら、既にいなかったみたい。」先生は、苦笑いしつつも、何もなくてよかったって言ってくれた。「これから…私はどうしたいのかよくわからないです。たしかに、今日の授業は何もなかったけど、そのうち何かされるのかなって思うとやっぱり怖いです。」何か言われるかなって思ってたら、先生は、優しい笑顔でこっちを見ていた。「そうだよね。そりゃあ、怖いよ。俺も怖かったもん。」私の中に疑問が浮かび上がった。「先生は、どうして教室に戻れたんですか?」「うーん…結構、無理矢理行かされた感じかな?俺は、中3になってから教室に戻ったんだ。だから、中2の二学期あたりから、中2終わるまで教室には行けなかった。」そっか…先生も、辛かったんだ。「私、今度から土曜日だけ授業出てみようと思います。午前だけだし。」こうやって、少しずつ自分の気持ちを人に伝えられるようにしていきたいな…「うん。少しずつ教室に戻れるようにしてみよう。自分のペースでいいから。あと、教室に行った日の放課後、何もなかったか聞きたいから、職員室来る事!」「はい。」「そろそろ終わろうか?」と先生に聞かれたから、はい。失礼します。とだけ言って私は帰った。




