社会だけ
私は伊藤好花。ごく普通の女子中学生。ではないかな。私は今、保健室登校中。二学期のはじめぐらいからかな?今はもう、三学期だから、だいたい二学期間教室に行ってない。理由は、クラスでいじめられてるから。その主犯格が、ベズズスだ。ベズズスってのは勝手につけたあだ名だけどね。
コンコン
ドアをノックされた。保健室の先生が入って来た。呼ばれて、私は部屋から出た。
私は、いつもの二人だなって思った。
「好花ー来たよー大丈夫?」彼女は佐藤 梓。いつも元気で、仲良しグループのムードメーカー。でも、すごく繊細で、傷つきやすい。「好花。元気?」彼女は、中本波瑠。去年ベズズスと同じクラスで、いじめられてた。2人とも、私の大事な友達だ。そして、もう1人。そろそろ来る頃かな?そう思ったとき
保健室に1人入って来た。彼女は佐々木 琴子。もう1人の私の大切な友達。彼女も保健室登校中。だから、学校の中の人だと、一緒にいる時間が1番長いかな?
3人の友達がいるから、私は、クラスにはいけなくても、学校にはなんとか来れる。そして、保健室登校中の勉強は、私が先生のところに行って、教えてもらってる。けど、一教科だけ例外が。「失礼します」この声は!この声が聞こえてからの少しの時間が、私は好き。歴史の先生の上田先生が来たからだ。私は、いくつもある教科の中で、歴史が大好きだ。上田先生はいつも、保健室に来て歴史を教えてくれる。
「そしたら、今日やったところね。」
「はい」
30分ぐらい教えてもらったのかな?
「そしたら、今日やったところは、ここまで。何か質問ある?」私は、今日こそずっと聞きたかったこと聞いてみようと思った。
「1つだけいいですか?」
「もちろん。1つじゃなく、2つでも3つでも。」
「あの、上田先生って、どうしていつも教えに来てくれるんですか?他の先生は、私から聞きに行かないといけないのに、先生から教えに来てくださるなんて、上田先生だけですよ?」
「うーん。1つは、来てるかどうかの確認も兼ねて。もう1つは、伊藤さんが、昔の俺に似てたから。」
「え?昔の先生に似てるってどういうことですか?私なんて、クラスに全く行ってないのに。」
「話重くなるけどいい?」
私が頷くと、先生はゆっくりと話し始めた。
「俺は昔、13の時に、自殺未遂で警察にお世話になってるんだ。学校にも行けなくて、何も考えられなくて、ただただ死にたいと思うだけだった。」衝撃だった。でも同時に、納得もした。先生が昔の先生と私が似てるって言った理由がわかった。「でも、伊藤さんは偉いよ。俺は、全く学校に行けなかったんだよ。それに、自殺未遂まで。」先生は、自虐的に笑った。「俺は、伊藤さんの気持ち、少しわかるよ。でも、完全に理解するなんて、できないと思う。どんなに置かれてる境遇が同じでも所詮は他人だからね。俺はそう思ってる。」これで俺の話は終わり。そう行って、先生は締めくくった。そして、「同じような状況にいたから、少しは伊藤さんの相談に乗れるかもしれない。いつでも相談に来てね。ほぼ毎日職員室にいるから。」私は、こんなこと言われるのは初めてだった。いつもいつも、親や他の先生から教室に戻れって言われてるから。「先生。私、いつも親や他の先生から教室に戻れって言われてて、そんな優しいこと言われたの初めてです。ありがとうございます。私、これから、少しずつ教室に戻ってみようと思います。でも、もしダメだったら、先生のところに行ってもいいですか?」「うん。授業楽しみにしてるね。でも、これだけは覚えておいて。無理に教室に来る必要はないからね。授業が無理だったら、ホームルームだけでいい。ホームルームも無理だったら、保健室でいい。俺はいつも伊藤さんの味方だからね。いつでも職員室に来ていいよ。」「そろそろ俺も戻らなきゃね。それじゃ!」絶対に無理しちゃダメだよ。そう言って先生は保健室から出て行った。保健室まで勉強を教えに来てくれる先生は初めてだけど、自分の過去の話をしてくれる先生なんてもっといないだろう。私は、明日の社会の授業だけでも出てみようと思った。




