excavater 13
店員さんにハロワの事を聞いてみた。
「暇なときはね、ハロワの紹介で他のNPCの仕事を手伝ったりしてるのよ。今日あなたが来るって聞いて急いで戻ったの、シャワー浴びている時にドアベルが鳴って慌てちゃった」
そもそもゲーム内にハロワがあること自体おかしい。
妙なところがリアル志向な運営。NPCの扱いも鬼畜。
「またしばらく志願者もこないだろうし、『スグクル』もあるしね…」
そう言われると店員さんが可哀相になってきた。
確かにこの店を訪れる意味はもはや無い。
WIKIの話をしたら、ぜひ手伝わせて欲しいと言われた。
情報を自力で集めるより専門家に聞いたほうが早いのは確か。
翌日会う約束をして店を出た。
早朝。
ピロリロリ~♪
「柵が出てからが本番よ!」
堀師専門用品店店員さんは素手でフィールドの地面に穴を開けながら言った。
「最初に出るアイテムのほとんどはトラップなの。本物はその下に隠されているのよ」
店員さんが地面をボコるたびに水柱ならぬ土柱が立った。
NPCは兵器並、恐るべし。
フラグの後に出現する金網フェンスは取得ルート権を確保する他に、うっかり近づいた他のプレイヤーが穴に落ちてしまわないようにするという意味もあるらしい。
「宝箱系はトラップなの。先に開けちゃダメ、本物が消えちゃうわよ」
店員さんが放り投げた『木で出来た宝箱』を拾いバッグにしまいこむ。
帰ってからのお楽しみ用。
「柵が頑丈になればなるほど、お宝のレア度が高くなるのよ」
当然掘る深さも変わってくる。
LV15で装備可能になった土木作業用ショベルを手にして掘る。
キャラの外見に影響されるのか柄が黄色で先端と取っ手部分がピンク色。
お子様用のプラスチック製おもちゃみたい。性能は普通。
3メートルほど掘り進んだところで手ごたえあり。
『堀師専用ネコの手グローブ』
興奮した店員さんに抱きしめられオレ圧死寸前。
ひと通り堀師の基礎知識を教えてくれたあと、店員さんは用事で帰ることになった。
「困った事があったら携帯で呼んでね」
携帯番号を教えてもらう。
「探査道具をうまく使うのよ」
そうアドバイスをして店員さんは帰っていった。
堀師が掘った穴は午前0時にリセットされるため、むやみに掘ると環境破壊につながる。
選抜試験が行われたのも、それを防ぐためらしい。
ネコの手グローブをつけてみる。掘り心地は良好。性能はショベルの3倍。
ざっくざっく。
ネコババという言葉が頭に浮かんで複雑な気分のオレ。犬のほうがよかったかも。
掃除機みたいな金属探知機を使いながらウロウロしてみる。
ゴツッ。
誤ってMOBの頭にぶつける。イノシシ似のMOB激怒。
装備は堀師のままだったのでオレピンチ。
ネコパンチしてみたけど効果なし。
慌てて『木で出来た箱』を投げつける。
MOBにぶつかった宝箱が開いて手が飛び出し、MOBを中に引き込んだ。
宝箱の意外な使い方を覚えたオレ。




