団地博物館
笠原に連れられたのは、赤羽の団地博物館だった。
「へえ〜、こんなのがあるんだ!面白いね!」琴子が驚いて目をキラキラさせてる。
「同潤会アパートは団地の先駆け、モデルになったビルディングなんだよ。だから、ココにその模型があるんだ。
パールパレスのトイレ見てないのに手洗い場が頭に浮かんだから、何でかな?と思ったよ。
親父が亡くなって団地入る前に、俺全然知らなかったからしつこく聞いてたんだ…中学2年かな?
で母が説明する暇なんかなかったから、ココへ弟達連れて行ってこいと言われて、学びに来たんだよ。」笠原が懐かしそうに眺めてる。
「笠原が頭が良いのは、その何でも学ぼうと言う姿勢だね。
私はそれが無かったから受験勉強苦労したよ。
まず、なぜ?どうして?って思う人間は、学んだ時の吸収率が違うんだよね〜」琴子が辛かった受験勉強を思い出す。
「ココだよ。同潤会アパートのレプリカゾーン。」と笠原が指さす。
「ホントだ!トイレの手洗い用って、昔はこんなに小さかったんだ!蛇口すらない!」琴子が実物を見て驚く。
「うん、だからパールパレスも後から大きな洗面台に付け替えたんだろ。ただし、手洗い用だから、各トイレに1個しかないから恭弥がおびえたんだ。」とクスクス笑う。
「そうかあ〜その当時は最先端でもすぐ廃れてしまうもんね、今でも。
かえって洗面所が発達したから、パールパレスの金ダライ置き場みたいなのは廃れた。蛇口がいくつも並んだ昔の小学校の廊下みたいなのが普通になったんだね。」琴子がうなづく。
昔の台所ゾーンの壁に郵便受けみたいなのがついてる。「これは?」琴子が聞く。
「これもパールパレスにも採用されてたゴミシューターだよ。生ゴミをココに入れると勝手に1階の大きなゴミ箱にゴミが入るんだよ。
「すごい!それって今のタワマンのディスポーザーと同じ発想だね!」琴子がまた驚く。
「あれ?でも、今は使われてない?見てないよね?
団地でも聞いたことない?」パールパレスは普通にゴミ箱があって外の道に大きなゴミネットがあったの見たような。
「う〜ん、うちの団地もこれは無かったよ。
衛生上の問題があったらしくて、すぐに廃れたらしいよ。」笠原が説明する。
「そうなんだ…でも、あの洗面所みたいに使わなくなっただけで、まだあのビルのどこかに存在するんだよね?」琴子が聞く。
笠原はネットの創業時の記事をもう一度見直す。
「やっぱりゴミシューターは付けられてるはずだ。あの手動エレベーターと共に画期的なシステムとして発表されてる!」記事を確認する。
「このレプリカにもあると言う事は、最初の2.30年は使われていたって事だよね?その後は、衛生問題で使われなくなって…壁の中に埋められた?」琴子が聞く。
笠原が太一に写メらして貰ったパールパレスの図面を見るが…それらしい物が見当たらない。
「あ〜、これは難儀だぞう。戦争で資料が乏しいし。
他の初期団地の見取り図を見ながら、ゴミシューターを採用してる団地の設計者の配置のクセからパールパレスのどの位置にあるか?目星つけて、赤外線カメラでシューターの位置を探すしかない!」2人で考えて少し気が遠くなる。
「ほら、先に防火水槽とか展示されてるよ?
昔はアメリカの爆撃投下で建物が燃えた時のために各建物に防火水槽が設置されてたって!
パールパレスもどこかに置いてたんじゃない?」琴子が笠原の話の途方なさにおびえて、他の可能性を探る。
「ちゃんと、読めよ…ほら、防火水槽はゴミ置き場の近くに置かれるのが普通だったんだよ。1番燃えやすいからね。パールパレスのゴミ置き場を探すしか、防火水槽があった場所にも辿り着けないよ。」説明書きを指さして笠原が呆れてる。




