謎解きじゃない
「普通はさ、昔の人が暗号残してそれを解くとかさあ〜そんなもんじゃないの?」探し疲れた5人姉妹も合流した。
「特にそんなトリックも無いんだよね〜」次女役のジュンが文句を言ってる。
「フフッ、ココに集まってたのは欲に狂った1番そんなトリックとか謎解きに縁遠い人達だよ?その当時のヤクザや悪徳弁護士がそんな事考える訳ないよ〜」と末っ子の凛が醒めた感じで言う。
「そうだね〜居るとしたら殺された人達の怨念とか無念だろうね〜ホントに沢山の人が亡くなってるよ。
ネットで確認できるだけで15人以上が事故死自殺させられてるもん。家族の相続争いで結局鴛淵家は絶滅したし。」琴子が淡々と語ると皆沈黙する。
ここは血なまぐさい惨劇のビルなのだ。
「だいたい、あの社長だからね。謎解きならとっくに解いてると思うよ。今でも新宿や池袋の謎解き密室トリックゲーム参加してるらしいし。
ここは、本当の謎なんだよ。血にまみれた。僕らが探すのは本当の死体なんだ!」太一がため息をつきながら図面を畳んだ。
「皆、本業もあるし今日はこれぐらいにしょ?社長だって、多分最初に十分探したはずなんだよ。
あの頭の切れる人が解けなかった、分からなかったんだ。
そんな簡単じゃないよ。」太一は年は若いが、凛と同じで頭が良い気がする。
これは謎解きでも何でもない。70年前の殺人事件を解決できないと死体に辿り着けないのだ。
笠原達もパールパレスを出た。
「結局さ、死体にたどり着くには、執念と根性なんだよな。お前が策で俺をハメたなら配信者ならなかったと思うよ。
お前の熱意と執念が、俺を動かしたんだよなあ〜」なぜか笠原が黄昏てる。
「どうしたの?何か変じゃない?」琴子が首をかしげる。「70年前の事件な上に戦争があったから資料も証言も取れない。ほぼオカルトな噂しか残ってないんだ。アニメ作るとなると1000万以上掛かるのに即OKするレベルの謎だよなあ〜これは。」何だか笠原が眉間にシワ寄せてる。
「あのさ、私には生きるか死ぬかの瀬戸際なんだ。
推しが復活してくれるかもしれないんだもん。
彼だって悩んで悩んで辞める事を決めたんだよ。
それを覆すチャンスなんて!
絶対巡ってこないチャンスなんだよ!
彼の大事な人が困ってるから、巡ってきたチャンスなんだよ!
笠原が嫌なら辞めて良いよ。期限が来年の文化財なるまでなら、私はギリギリまで粘るよ!
諦めない!」当たり前すぎて、話すことだとすら思ってなかった。
笠原が目を丸くして琴子を見つめてる。
「推し活って、スゴいな。そこまでの決意なんだ…」
「…普通の事だよ。人を好きって、それくらいの事でしょ?復活してもらえる為なら!
私は何だってするよ!」琴子には、すごく普通の気持ちなので笠原が何に驚いてるのか、良く分からない。
「…手掛かりって程じゃないけど、この建築家が手掛けた同潤会アパートは、もう全て解体されたけどレプリカが残ってる場所があるんだ。見に行って見る?」笠原が聞いてくる。
「うん、行こう!1mmでも手掛かり探さないと!
これは謎解きじゃない!
持ち手がある山登ってるんじゃないんだよ。パスワードも暗号も無い!
天然の岩山を素手で登るようなもんなんだよ。
それすら正解かも分からない!
生きてる限り絶対諦めないよ!私は!」琴子が微笑んだ。




