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パールパレス  作者: たま


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4/6

洗面所

姉妹チームは、オーナー達の許可を貰ってあらゆる場所をとにかく探す事にしたようで、社長から電話番号を貰って部屋を出ていった。

戦士チームは太一が中心となってビルの見取り図の図面貰い作戦会議に入った。

「私とペアで良いの?戦士達と組んでも良いよ?」琴子が笠原に勧める。

「いや〜、お前から出てるオーラがスゴいぞ。

カフェでずっーーーと俺にへばりついてた時みたいな。70年を解明しそうだわ〜」笠原がクスクス笑う。

琴子は全くおかしくない。

こんなチャンスは無いのだ!

何が何でも死体を見つけてやる!

リチャード3世の死体を見つけ主婦もただの歴史ヲタクで推しの遺体がある場所を現在の駐車場だと確信して大騒ぎして掘らせたのだ。

ただのキチ◯イである。


すでに死んでるのは確かだろう。

相手はヤクザだ。嫁が死んで唯一生き残った婿だ。

しかし、自分らの仲間ならなぜ人柱にしたのだろう?

生かしてハンコを押させまくれば、銀座のこのビルも他の不動産も全て売って大金に出来たのに?

人柱にしたのは、不慮の事故だったのではないか?

殺す予定は無かったのだ。

不慮の事故で死んでしまい、困ったヤクザ達は彼の死体を隠して行方不明にしたのではないか?

「戦争で赤紙が来て、皆兵として駆り出された。

生きて帰れたら、彼の印鑑やら勝手に使って動かそうと考えていたはず。彼には生きて行方不明でないと困るのよ!

ところが、ヤクザ達は誰も帰れなかった?」琴子が笠原に聞く。

「南方軍の歩兵部隊とかだと、ほとんど絶滅したからな。ゲゲゲの鬼太郎の水木しげるが片腕無くしても生きて帰ってきたのが奇跡なんだよ。あの人には生きて帰って漫画を描くって執念があった。」法学部入ってる2人は受験勉強でガッツリ勉強したジャンルだ。

初島の無線知識は全く無いのでお手上げだったが、歴史なら得意だ。

「このビルって、昔の表参道ヒルズ=同潤会アパート建てた人なんだよね?設計者?

そこに偶然殺した人間を行方不明者になってもらわないと困る人達が隠した。

戦争が、急に迫ってきたんだろな。」笠原が受験で仕入れた大東亜戦争の知識をほじくりだす。

「高級でも何でも人が沢山住んでたビルだ。アパートだ。

死体を動かしたら、すぐ目につく…」琴子と笠原は、当時のヤクザ達の気持ちになる。

同じ様な部屋がワンルームが沢山並んだスタイルのビルだ。

昔なので水回りは共同だ。各階に共同トイレがある。風呂は確か地下に共同風呂があったはず。

「独身のためのアパートだったらしい。だから台所は無かったんだね。」笠原が見回りながら流しが無いことに気付く。

「本当だ!じゃあ、朝顔とか洗ったり歯を磨くのは?」琴子が驚く。今とかなり生活様式が違うのだ。

「海外の貴族時代のドラマとかでメイドが部屋に洗面器に水を入れて部屋に持ってくる下りがよくある。

つまり、水は汲んで部屋に持っていくスタイルだったんじゃないか?昔は?」笠原が言いながら階段横に不思議な小部屋があるのに気づいた。

「ここは…物置だな。でも、ホテルでもないのにリネン置き場は要らないよね?」と言いながらロッカーを動かす。「ああ〜やっぱり」と奥をのぞきながら言う。

「何?なに?」琴子も笠原の脇下から顔を突っ込んで中を覗く。

そこには公園の水飲み場みたいな水道蛇口と下の床にはタイルで囲われた水が流せる排水口があった。

「ゲゲッ!本当に公園の水飲み場以下だね。洗面ですらない!」後には今も木のロッカーがある。

「今はギャグで頭に降らせる金属の洗面タライがココに並んで置かれてたんだよ、多分。

朝起きたら、ココでタライに水入れて部屋で顔洗ったりヒゲ剃ったりして、またココに捨てに来たのさ。

それが戦前の独身貴族達の暮らしだったのさ。」笠原の説明に琴子がフムフムとうなづく。

「ゲームでその時代の好きでやり込んだけど、確かに部屋でタライの水と鏡があって身支度してるワンシーンあったよ!そうか!洗面所の概念が無いんだ!その時代は!」琴子がポンと手を打つ。


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