ビルの秘密
「社長、アニメ続編作って下さいよ〜俺見たいな〜」ヲタクの青髪の隆史が希望を出す。
「う〜ん、配信して好評ならね。スピルバーグも1作で様子見してから2話3話と考えたらしいし。
三角関係かと思わせての兄妹設定とかね。敵と見せての父とかね。観客の様子見ながら考えた節多いよね、SWも。」と社長はニヤッと笑う。
元が棋士なので戦況を鑑みて可変的に思考するのが慣れているのだろう。
「それも含めてだが、このビルに事務所を決めたのは、ある噂を聞いたからなんだ…どこかに人柱が埋まってるらしいんだよ。」と声をひそめる。
「人柱?って何?」赤髪の保坂がヘラヘラと聞く?
「…エッ、嘘!イヤや〜」とクリスタ役の太一は顔をしかめる。
「まあ、つまり生き埋めにされたんだよ、昔」社長が趣味悪くささやく。
「このビルを建てた鴛淵一族は、戦前の資産家だったそうだ。他にも東京に沢山の土地や屋敷を持っていたらしい。
だが、相続争いでヤクザまで雇って兄弟姉妹で殺し合ったらしくてね〜その内にヤクザや司法書士や弁護士が本人事故死させて養子に入り込んだり、書類を勝手に改ざんしたりして親族を追い込んで自殺させたり…また、その養子や横取り連中同士も殺し合い最後に一族の娘婿が全てを相続したらしいが…消えてしまったんだよ…
「えっ、じゃあその娘さんは?」琴子が聞くと、「結婚してすぐに事故死してるに決まってるじゃないか?
他の男と入水自殺したらしいよ。」と推しがほくそ笑む。
つまり、皆一族が亡くなり、たった1人生き残った元顧問弁護士の娘も結婚した男に自殺に見せかけて殺されたと。
「そして、その全てを引き継いだ男は組織によって人柱にされたと。戦前にね。その内に戦争が始まり、そのヤクザ組織も消えてしまったとね…だから、このビルはここまで残ってしまったらしい…来年オーナー達に聞いたら文化財になるらしいよ、ココ。
オーナー達と言っても、このビルを愛する人達の後援会みたいな団体でね。1人でオーナーやる勇気は誰も無くてね。自分達は住まないが、誰かが使わないと建物はすぐダメになるからと僕に貸してくれたのさ、格安でね。」と社長がほくそ笑む。
「…何とも禍々しいビルなんですね…知りませんでした。」笠原が顔をこわばらせている。
建って30年で建てた1族は滅び、その関係者も死に絶えたのだ。
そして戦後の焼け野原にポツンとこのビルは東京駅と皇居を眺めながら残ったらしい。
「呪われたビルじゃん!それって!」金髪の恭平が悲鳴を上げる。
「そう。ここが伝説の呪われたビル。パールパレスだよ。」 と社長がうれしそうに両手を広げた。
「まさにシャイニングのオーバールックホテルだな、ここは。」笠原が苦笑する。
「うん、もしかして映画とか好きなの?笠原くん?」琴子が聞く。「まあ、人並みにね。」2人がこそこそ話してると後ろでさっきの女性スタッフが笑っていた。
階段で降りてきたのだろう。会釈して奥のデスクへ向かう。




